コロナ禍で在宅勤務の機会が増え、「慣れない作業環境で仕事がうまく進まない」、「インスピレーションが浮かばない」といった悩みを抱える人も多いのではないでしょうか。
 
そこで今回は、“自宅が仕事場”のクリエイターに、集中力を維持するための作業環境の整え方や、在宅環境でのアイデアの生み出し方、オン・オフの切り替え術などを伺いました。教えてくれたのは、イラストレーター・漫画家の原田 ちあきさん。

誰にも言えない心の声を代弁し、若者たちから圧倒的な支持を受ける、自身の作品のルーツについても語ってくださいました。※オンライン取材

原田 ちあき(はらだ・ちあき)


漫画家/イラストレーター

自らの職業を「よいこのための悪口メーカー」と称し、イラストレーター、漫画家、キュレーター、アパレルデザイナーなど、多岐にわたり活動。 公式ブログ

ポップな中にも毒の効いた作風が若い世代を中心に支持を受けている。著書に、『誰にも見つからずに泣いてる君は優しい』(大和書房)、『原田 ちあきの挙動不審日記』(祥伝社)、『手から毒がでるねこのはなし』などがある。

きれいな部屋で、モチベーションをキープ!

――コロナ以前から「インドア派」を公言されていますが、自粛期間中はモチベーションの面で変化がありましたか?

コロナで漫画の発売記念イベントが飛んだこともあり、自粛期間中はとにかく不安で、仕事が手につかなくなっていました。そこで、「いい運気を部屋に呼び込まなくては!」と家中の掃除をはじめたんです。

別に風水を信じている訳ではないのですが、作業する空間が散らかっていると気分は萎えるし、玄関がきれいになればモチベーションは上がるじゃないですか。いい運気が入ったかはわかりませんが、結果的に部屋がきれいになったので、モチベーションは取り戻せました(笑)

――たしかに、スッキリ片付いていらっしゃいますね(オンラインで部屋の様子を見ながら)。

原田ちあき

掃除はもともと好きなんです。無心になって断捨離や掃除をすることで、気持ちが落ち着きますね。断捨離のコツは、一年使ってないものは処分すること。仕事関係の書類や資料も取っておかない派なので、作業環境はいつもスッキリしています。

おすすめの掃除グッズはホームセンターでも買える化学繊維の雑巾。たっぷり水を吸収するので、床掃除用のワイパーの先に取り付ければ拭き掃除が簡単にできるんですよ!!

仕事場はダイニングテーブル!歴史チャンネルがBGM

――クリエイターの方は、作業机周りにもこだわりがあるイメージです。原田さんはどんな机で仕事をされているのでしょうか?

実は私、作業机を持っていないんです。仕事をするのはキッチンのダイニングテーブルかリビングのこたつ。ざわざわした場所じゃないと落ち着かないんです。

原田ちあき 作業場

ダイニングテーブルで作業して、集中力が切れるとこたつに移動、ということを、だいたい30分単位でくりかえしています。場所が変わることで、気分を変えてまた集中できるんです。

――たしかに、子どもがリビングで勉強すると集中力がアップするとも言いますね!でも、家族の気配は集中力を妨げたりしませんか?

夫には、「今から集中します!」と宣言してから作業に入ります。彼がテレビを見ていても、音は気になりませんね。私は私で、YouTubeの音を聴きながら無になることができるんです。歴史チャンネルの音声だけを延々聴いていたりしますね。

愛猫からのハラスメントが「オフ時間」の合図

――原田さんは愛猫、『いっちゃん』をテーマにした連載もされています。猫に仕事を邪魔される「猫ハラスメント」を受けたことはありますか?

原田ちあき 愛猫

原稿を書いている途中に寝てしまうと、キーボードを踏んで私のかわりに続きを書いていますね(笑)ハラスメントといっても、基本的にいっちゃんは謙虚なんですよ。構って欲しくなると、そっと肩を叩いたり甘噛みします。

そんなときは、気持ちを切り替えていっちゃんの相手をすることにしています。仕事をしなきゃと焦って自分の世界に閉じこもると逆にうまくいかないので、10分触ってまた集中!

愛犬の『とこちゃん』もそうですが、仕事の邪魔をする存在がいることで、自然に「オフ」の時間に切り替えられていると思いますね。

原田ちあきの愛猫

――原田家には愛猫に愛犬、愛ウーパールーパーもいるそうですね!

動物が好きなんです。自分の手で命を育むことが性に合っているんでしょうね。自粛期間中は、植物も増えまして。“彼ら”に触れることで、気持ちが張り詰めている時でも癒しになります。

愛読書やSNSからインスピレーション

――クリエイターの方は、アイデアのインプットの時間を大切にされていると思います。在宅時間の中で原田さんがインスピレーションを得ているものや、アイデアが生まれる時間を教えてください。

漫画や画集を読むことですね。特に刺激を受けるのは、楳図 かずお先生や、荒木 飛呂彦先生の作品です。加えて、その時々でブームがあって、ベタな少女漫画ばかり読んでいたりすることもありますね。

お風呂も大切なルーチンのひとつです。きちんと湯船に浸かって、本を読んだりSNSで人間観察しています。

――原田さんの作品は、涙を流す少女が吐く、毒を含んだ台詞が印象的です。ご自身の作品は、どんなところから着想を得ているのですか?

一番はじめのきっかけは、人間関係で嫌な思いをしたことなんです。怒りを撒き散らすのではなく、自分なりに消化する手段として、作品にしてSNSにアップしはじめました。

それを2年くらい続けていくと、自分自身の怒りを消費しきった。そこで今度はSNSの書き込みから、他人の悩みや憤りに触れ、作品にしていきました。最近は、そこからも一歩進んで、嫌な気持ちを放出しきって腹が立つことがなくなったんです。今は、人を肯定するような絵を描いていますよ。「丸くなる」ってこういうことかと、我ながら驚いています(笑)

――今後挑戦していきたいことがあれば教えてください。

漫画では、ホラーに挑戦したいですね!イラストはより芸術の方向へ昇華させたいです。ありがたいことに色々なジャンルのお仕事をさせていただいているので、それぞれ目標をもって頑張っていきます!

インタビュー・テキスト:原田 さつき/撮影:SYN.PRODUCT/企画・編集:田中 祥子(CREATIVE VILLAGE編集部)