東京を始めとする大都市圏から地方に移住して就業することを「Uターン」「Jターン」「Iターン」と言って、いくつかパターンがありますが、それぞれ何が違うのでしょうか。

東京のような都市での生活は便利な反面、生活コストが高いという難点があります。
また、都市部では待機児童の問題もあり、仕事と子育ての両立がしやすい環境とは必ずしもいえません。

地方は物価が安く、住宅費も抑えられる傾向にあり、自治体によっては住宅・子育て・仕事を支援する制度もあります。
そのため、生活コストを抑えることができ、仕事をしながら子育てもしやすい環境も整っていることも多いので、ワークライフバランスの実現のために地方で働くという選択肢もあります。

この記事を読めば、UJIターンそれぞれの意味だけでなく、地方に移住するメリット・デメリット、地方へ転職・移住することに適するシチュエーションや注意事項を知ることができます。

地方への転職・移住を考えている人は、この記事を読んで参考にしてみてはいかがでしょうか。

Uターンとは

u-turn

地方から都市に移住した人が、再び故郷に戻ることを指します。

「高知県の田舎に生まれ、進学を機に大阪府の中心地に移住。大阪で就職し経験を積んだ後、生まれ故郷に戻る」などのケースが当てはまります。

都会で身につけた高いスキルは、地方でも生かすことができます。そのような経験を歓迎する地方の企業も多いでしょう。

Jターンとは

j-turn

生まれ育った故郷から進学や就職で都会に移住した後、故郷に近い地方都市に移住することを指します。
「石川県の田舎で生まれ、就職を機に上京。結婚後、子育ての環境を考え石川県金沢市に移住する」などのケースが当てはまります。

ある程度の利便性があり、自然も多い土地で仕事がしたいなどという人には魅力的ではないでしょうか。

Iターンとは

i-turn

都市部から出身地とは違う地方に移住して働くことを指します。
「東京都23区で生まれたが、島での生活に憧れ沖縄県の離島に移住する」などのケースが当てはまります。

田舎特有の豊かな自然や穏やかな生活環境などに魅力を感じて、Iターンを決意する人も少なくありません。

どんな人が地方で暮らすことを望んでいる?

Uターン、Iターン、Jターンそれぞれに意味の違いはありますが、ほとんどの場合が地方で暮らすことを念頭に使われることが多いのが実情です。
それではどんな人が地方で暮らすことを望んでいるのでしょうか。

都会の暮らしがあわないと感じている人

都会の暮らしがあわないと感じている人

地方に住んでいたときにあれほど憧れた都会の生活が、いざ始めてみると自分のライフスタイルに合わなかった、ということがあります。
その最たるものが満員電車での通勤です。
「通勤電車なんてそのうち慣れてしまうのでは?」と考える人も少なくないかもしれませんが、心理学者のDavid Lewis氏の研究によると、そのストレスは緊迫した状況で活動しなければならない兵士や警官よりも大きなストレスを抱えていることがわかりました。
兵士たちは目の前の状況に対して引き起こされたストレスに何らかの対応を取ることができますが、満員電車に乗っている人は、目の前のストレスに対応することができない、という違いがあるから、とLewis氏は指摘しています。

【参考】UK | Commuters ‘suffer extreme stress’ – BBC NEWS

そんな通勤電車を毎日のように利用することは、健康上良くない、ということもありますが、心理的な負荷が高まることで都会の生活を困難に感じてしまう人も多くいる、と考えるのが自然でしょう。
また地方と比べ、希薄だと思われている人間関係や都内の騒音などに嫌気がさす人も都会での生活を諦める人が多いようです。

子育ての環境を求める人

子育ての環境を求める人

様々なサービスの拡充により、都会での暮らしはとても便利に感じることがありますが、必ずしもそれが子育ての環境にとっていいかどうかは別の話です。
人口増加に対処しきれない都市部では、保育園の待機児童で溢れ、外で遊ぶにも公園が少なく、危険な道端で遊ばなくてはならない、など子育てを行う上で本来あるべき環境が失われています。
もちろん子供には自然に触れてもらいたいと考える家庭もあるでしょう。
このことから都市部よりは郊外に家を構える人も多くいますが、一部は自分が慣れ親しんだ実家の近くや同じ県内へ移住する人もいます。
子育てを行う上で、子供の面倒を見てくれる親の存在はかけがえのない存在であるため、Uターンというかたちで地方へ移住する人は決して少なくありません。

親の介護

親の介護

日本が抱える問題の一つに高齢化社会があります。
20代のときは60歳前後だった親も、40代ともなれば健康に問題を抱えやすくなる80歳近くになります。
中には二世帯住宅で親と都会で暮らすという人もいますが、高齢のため移動が難しいといったことや、親の希望で今の家や地域を離れたくないという理由で、親の介護を目的にUターンで里帰りする人がいます。

広告大手の電通が、全国の都市部に住む実際にUターン移住を經驗したことがある20~60代の男女約1,700人にアンケートを取ったところ、首都圏での生活にストレスを感じてUターン移住を決めた人(28.1%)に次いで、両親のことを念頭に移住した人が2番目に多い結果(24.5%)ということがわかりました。

【参考】ふるさとの親が心配「介護Uターン」で「働き方改革」を支援 パソナ×地方自治体

この調査結果から見ると家族の事情を理由としたUターンは多いようです。

新天地を求めて地方に移住する

新天地を求めて地方に移住する

日本では首都圏への人口流入が続いている中、地方では過疎化や限界集落化が進むなど社会問題に発展しています。
特に若い世代が都市部へ移住することが多いため、地方に本社を置く企業では人材不足に悩まされるなど人口流入の一極化による弊害は様々なかたちで表れています。
そこで政府や自治体の主導で地方への移住者に仕事の斡旋や住居の提供、あるいは支援金を送るなどの対策がとられるようになりました。
若年層や子育て世代が対象となっていますが、こうした国や自治体からの支援をもとに移住を検討する人がいます。

地方に移住するメリット

地方での生活は、都会にはないメリットが主に4つあります。

  • A.物価・住宅費が安い
  • B.満員電車に乗ることが減る
  • C.子育てがしやすい
  • D. 通勤時間が短い環境を作りやすく、ワークライフバランスがとりやすい

それでは、1つずつ見ていきましょう。

A.物価・住宅費が安い

地方は物価が安いのが魅力です。
都会に比べると地方では年収が低くなる傾向がありますが、地方は物価が安いこともあり、ある程度の年収ダウン分はカバーができるでしょう。
働く業種によっては、転職支援や毎月の支援金を受け取れる自治体もあります。

また、首都圏では住居費が高額になります。

統計局全国物価地域差指数(2007年)
統計局全国物価地域差指数(2007年)

出典[統計局全国物価地域差指数(2007年)]:http://www.stat.go.jp/data/zenbutu/2007/pdf/gaiyo_si.pdf

少し古いデータですが、上記リンクの統計によると、住居費の全国平均を100としたとき、東京都は146.7と突出して高いという結果が出ています。
47番目の沖縄県の66.7と比べると、2倍以上の大きな開きがあります。

部屋を借りる際も、都会ではワンルームのアパートでも月7,8万円ほどかかり、駐車場も借りる場合はさらに2,3万円ほどかかります。
しかし地方では、駐車場付きでも月額7,8万円ほどで借りることができるアパートもあるので、首都圏と比べて住宅費を抑えることができます。

移住・交流推進機構が運営している「ニッポン移住・交流ナビ 」というサイトでは、住まいや子育て、就職や起業などの支援制度が紹介されているので、チェックしておきましょう。
この制度を利用すると、さらに住居費を抑えることができます。

B.満員電車に乗ることが減る

東京のような大都市で働く人は、毎朝満員電車に乗って通勤している場合が多いです。
国土交通省が公開している混雑率データ(下記リンク)によると、ピーク時の東京の混雑率はほとんどの路線で150%を超えており、190%を超えているものまであります。

国土交通省・統計情報(平成27年度)
国土交通省・統計情報(平成27年度)

出典[国土交通省・統計情報(平成27年度)]:http://www.mlit.go.jp/common/001139448.pdf

それに対して、東京以外で150%を超えている地域はほとんどありません。
電車の本数が少ない地方では、基本的に車での移動になるので通勤ラッシュが発生することはほとんどありません。
地方で働けば、満員電車のストレスから解放されるでしょう。

C.子育てがしやすい

地方での暮らしは子育てにも良い影響を与えるでしょう。
現在、都市部では待機児童の問題が深刻化しています。特に東京都の待機児童数が突出しており、出産後職場に復帰できない人も多いようです。
保育所等関連状況取りまとめ
参考資料[厚生労働省(平成28年度)保育所等関連状況取りまとめ]:http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-11907000-Koyoukintoujidoukateikyoku-Hoikuka/0000098603_2.pdf

地方の待機児童数は都会ほどではないので、仕事をしながらでも子育てがしやすい環境にあります。さらに、子育て支援金を受け取れる自治体もあります。

子どもたちが自然の中で遊べる環境も魅力的であり、空気や水がきれいで子どもの健康面にも安心です。

D.通勤時間が短い環境を作りやすく、ワークライフバランスがとりやすい

総務省統計局の調査結果によると、家計主の平均通勤時間は、神奈川県が48分、東京都が43.8分です。
一方、宮崎県は17.7分と最も短く、次いで鳥取県が18.2分という結果が出ています。
出典:[総務省統計局:日本の住宅・土地-平成25年住宅・土地統計調査の解説]:http://www.stat.go.jp/data/jyutaku/2013/pdf/nihon04-3.pdf

職場から自宅までの距離が短ければ、子育ての他に親の介護や趣味などに、より多くの時間を費やすことができます。

地方に移住するデメリット

地方移住にはメリットだけではなく、もちろんデメリットもあります。主に以下の3つが挙げられます。

  • a.経験した仕事を活かせるか見極める必要がある
  • b.地方の慣習に対応する必要がある
  • c.娯楽を楽しめる施設や店舗にある商品数が少ない

1つずつ説明していきます。

a.経験した仕事を活かせるか見極める必要がある

都会に比べると地方は少人数で経営している企業が多く、分業が進んでいません。
これまでデータ分析を行ってきたスペシャリストが、地方の企業では営業も兼業しないといけないなど、望んでいた業務以外の領域を担当する可能性もあります。
そのため、地方に移住する際はこれまで経験してきた仕事を活かせるかを、慎重に見極める必要があります。

b.地方の慣習に対応する必要がある

特に田舎では、近所付き合いが重要になります。人によっては濃密な近所付き合いが苦手だと感じるかもしれません。
地域の行事には積極的に参加し、何かあれば協力するように努めましょう。地域住人とより良い関係を築くためにも、独りよがりな行動は慎むことが大切です。

c.娯楽を楽しめる施設や店舗にある商品数が少ない

田舎になればなるほど、レジャー施設やお店などが少なくなり、物足りなさを感じることもあるでしょう。
また、インターネットショッピングでさまざまな商品を買うことができるようになったとはいえ、実際に店舗で買い物をすることもあると思います。地方の店舗の品ぞろえが都会より少ないことは否定できません。

地方への転職・移住が向いている人

地方でも都会でも働き方は会社、あるいは自分次第です。地方の会社に転職したからといって、プライベートの時間を多く確保でき、のんびり過ごせるとは限りません。
そのため、「自分がこれからの人生を送る上で何を優先したいか」が、地方への転職・移住を考える上で重要となります。

以下の項目が当てはまる人は、地方への転職・移住をこれからのライフプランの選択肢に入れてもよいではないでしょうか。

  • 子育ての環境を充実させ、ゆとりのある時間を優先したい
  • (実家が地方にある場合)経済面などの家庭の諸事情で、実家に帰らないとどうしても親の介護ができない状況である
  • 年収が下がってでも好きな仕事を地方でしたい

まとめ

進学や就職を機に、多くの人が都会に移り住みます。
しかし、満員電車、職場での競争などにストレスを感じることもあるかもしれません。また、子育ての環境に不満を抱くかもしれません。

その点、地方に行くと満員電車は少なく、コストを抑えてミニマルな働き方や生活を実現することもできます。都会に比べて、仕事をしながらでも子育てがしやすい環境です。

地方では人口が流出し、労働人口が減っているため働き手が求められています。優秀な人材を確保するために支援制度を設けている自治体もあるため、働きやすい環境づくりが整ってきています。
地方でも支援制度の利用やインターネットの活用など、仕事を見つける手段を活用して、転職や住まい、子育てをしやすい環境を整えてみるのもよいでしょう。

ワークライフバランスを実現するためにも、地方への転職・移住を視野に入れてみてはいかがでしょうか。

クリーク・アンド・リバー社ではUターン・Jターン・Iターンの転職をサポートしています。「地元に戻って働きたい」、「地方都市での働き方に興味がある」など、ちょっとしたことでも結構です。ぜひご相談ください。