プランナー・企画
プランナーや企画担当者は、主にパチンコ・パチスロ遊技機の特徴をなすゲーム性や遊技システムなどのアイデア提示を中心に、開発全般を取り仕切る大変重要なポジションです。まずどのような遊技機を世に出すのか、そのための骨格を作ります。主としては(1)遊技プログラム(BONUS等大当たり当せんまでのフローチャートコンセプト出し等)、(2)出玉設計、(3)デザインコンセプト管理(ソフト=キャラクター、モデラー、2D・3DCGグラフィック、エフェクト等とハード=筐体、リール構成、盤面、ゲージ構成等)など開発業務の全工程の進捗を統括し、製品化までを導く中心的な役割を果たす遊技機開発の総合プロデューサーです。当然、出玉規制を深く認識していることが必須であり、遊技機規則や内規等の法務知識も必要です。遊技機性能、ゲーム性のトレンドも熟知している必要があります。また本人がアイデアマンであることも重要ですが、それ以上に各プロジェクトメンバーをいかにまとめ上げ、良い製品を作れるかといったプロデュース能力、保通協申請直前の最後まで少しでもより高いクオリティを求める貪欲さも求められる非常にタフな仕事です。ですが、その分自身が担当した遊技機が人気機種となり高稼働を誇ることになれば、これほどやりがいのある職種はないでしょう。遊技機開発会社における企画担当者は、メーカーよりプロデュースをほぼそのまま請け負う形となるので、そのやりがいはより大きくなると言えます。
画像企画・演出企画
パチンコ・パチスロ遊技機の企画内容に基づき、主としてソフトデザイン全般を担当し、そのための様々なアイデアを出します。例えば、キャラクターやゲーム内世界観のプロット設定などを行います。また、各種映像や演出には構成が必須となるので、そのための絵コンテやタイムテーブル、チャートなどを作成し、遊技機企画担当、サブプログラム開発担当者などと密なコミュニケーションも行います。特に遊技機の肝となる映像演出を担うため、遊技機そのもののゲームコンセプト、アニメや映画等のタイアップ機であれば、その原作や元となる映像への見識、知見、思い入れ(情熱)も当然必要です。作業量も膨大なため、常に進行管理や納品スケジュールがタイトになりやすい仕事でもあります。ただ、その分遊技機演出の根幹をなす仕事であるため、非常に密度が高く、誇りをもって臨むことができる職種です。
サウンドクリエイター
パチンコ・パチスロ遊技機のBGMや各種演出時などにおけるサウンドエフェクト、登場キャラクターのボイス、セリフや言い回しなど遊技機から発せられる音全般を担当する仕事です。例えば、平常時、大当たり(ボーナス)やチャンスゾーン等の各ゲームシーンにおけるBGM、タイアップ物であれば劇伴やテーマ曲などの使用選定、オリジナル楽曲や各種演出での効果音の作成、キャラクターボイス担当声優の選定、音声の収録などにも立ち合います。例えば版権機では、開発予算等を勘案して企画担当者等と調整し、声優エージェントやライセンサーと交渉しながら、オリジナルと同じ声優陣をそのまま起用したりすることも出来ます。サウンド全般に関する統括管理を行いますが、自身もサウンドクリエーターとしてギターやキーボード等の楽器を使いながら作曲したり、DTMソフトなどを活用して様々なサウンドを創造していきます。スペシャリストでもあり、企画担当や演出・映像担当等と綿密な調整が求められもする重要なポジションです。
プログラマー
メイン(メーカー)
遊技機の脳幹部分となる大当たりやハズレに関するプログラムを担当する職種です。当せんに至るまでの抽選方法などのプログラミングを行います。メインプログラム設計に使用する言語は主にアセンブラ(Z80)です。出玉性能に直接的に関わるため、現行内規における出玉規制のみならず、遊技機知識、事細かな法規制分野の知識は必須です。メインプログラムは数多くのゲーム要素から、遊技機そのものの企画アイデアを内包しながら、いかにゲームとして矛盾なく表現できるかで遊技機の成否を分けるといっても過言ではありません。メインプログラムの完成度がそのまま遊技機の完成度に直結する非常に重要な仕事です。
サブ(メーカー)サブメイン・サブサブ
いわゆる遊技機のサブ基板に関わる部分、すなわち演出部分全般におけるプログラム設計を担います。今や遊技機の演出に欠かす事の出来ない液晶部分に関わるサブ制御プログラミングは、いわば遊技機の内臓や筋肉部分の働きを成します。コマンド管理、演出音やBGMなどのゲームサウンドやランプ(ライティング)、役物の駆動制御など、大当たり抽選以外のほぼ全てに必要なものです。また、遊技機開発には常に効率化が求められるため、その為に必要となるプラグイン、コンバータなど、開発時間短縮につながるツール類の作成も行います。サブプログラム作成のためのプログラミング言語は、CやC++などを使用します。ゲームの主体をなすシステムの信頼性に大いに寄与する仕事であり、メインプログラムと並びプロジェクト全般に直結する重要度の高い仕事です。
映像制作
3DCGモデラー キャラモデラー モデラー
昨今の遊技機ゲーム内演出におけるキャラクターはそれぞれに特徴的で実に華やかに躍動します。その動きを作るのがモデラーと呼ばれる業務工程担当者です。演出における映像制作のなかで、とりわけゲーム登場キャラクターについて、3次元のオブジェクトなどをMAYA、3DS
MAXなどのソフトウェアを使い、モデリング、セットアップ、アニメーション制作など一連の作業をこなしていくプロセスを採ります。ここで作成されたオブジェクトは3Dモデルとなります。ディスプレイという平面空間内で仮想の三次元空間をつくり、その中(ゲーム内)で様々なモーションを表現します。いわば、キャラクターに命を吹き込む役割を果たすのです。それが3Dモデラー(キャラクターモデラー)の仕事としての真骨頂です。もちろんMAYA、3D
MAX以外にも、Photoshop、Illustrator、After Effectsといった画像・映像編集ソフトを使いこなすスキルや絵コンテ作成能力も必須です。
3DCGアニメーター モーションデザイナー
キャラクターモデラー、3Dモデラーが作成したキャラクターのよりリアルで精緻な「動き」を作っていくのが3DCGアニメーター、モーションデザイナーの仕事です。モデラーの仕事と相関しており、一つの工程として担当者がまとめてやる場合も多々ありますが、モデラーが主としてキャラクターの「核」を作ることに対し、アニメーターやモーションデザイナーは「動」を作ります。モーションだけでなく、その背景の作画も請け負います。当然ここでもMAYAなどのソフトウェアを使いこなすスキルは必須です。制作は様々なパターンで常に生みだされるので、日々新しいことを積極的かつ柔軟に吸収できるしなやかさも必要ですが、ただ柔軟といってもモノづくりの現場なので、漠然ではなく自分なりのビジョンをもち行動できる能動性もとても重要となってきます。
UIデザイナー 2DCGデザイナー
これらの職種担当者は、遊技機の基礎を構成する上で欠かすことの出来ないUIデザインを手がけます。具体的には、遊技機のタイトルロゴであったり、パチスロのリール図柄や筐体のパネル部分、パチンコであれば欠かせない数字図柄、パチンコ盤面やその中の構成を成す役物、ゲーム内登場アイテム、背景など多岐にわたるデザイン全般を手掛けます。企画担当者(プランナー)と制作の打ち合わせを綿密におこない、ラフデザインを数パターン起こし、様々なデザインを進めて行きます。さらに打ち合わせでラフを煮詰めていき、キャラクターへの着彩や、数字、図柄等に関しては、信頼度演出に用いるためカラーバリエーションを多数用意したりします。ロゴ、文字、アイテム、背景、全てに渡ってデザインするための必要な要素としては、各種デザインを立体化することを前提に、様々なツール、具体的にはPhotoshop、Illustrator、CLIP
STUDIO、After EffectsやElement 3Dなどを使いこなすスキルも必要です。
VFXアーティスト エフェクトデザイナー
今やパチンコ・パチスロ遊技機においてCG映像を用いない演出はないと言っても過言ではありません。そんな演出映像において、作成されたCGに対し、さらに現実の映像を掛け合わせたVFXパートを用いた演出画面も多岐に渡って使われています。コンピュータを使って映像を加工するという点においては、CGもVFXもどちらも共通しています。CGは一からキャラや背景など全てを作り上げるフルアニメーションであることに対し、VFXは実際の映像を用いて合成されている映像ですが、その明確な違いはもはやボーダレスの領域まで達しています。それほど映像制作技術のレベルは、常に日々めざましく向上しているといえましょう。遊技機演出におけるVFXアーティストやエフェクトデザイナーは、そういった演出効果を高めるための映像を制作します。具体的には、ゲーム演出内のキャラクター、背景などにおけるバトルシーン、BG、チャンス演出やカットシーンなどでのリアルタイムVFXの制作、各種DCCツールを使用してのリソース作成、演出アイデア出し、データ作成、ゲーム実装などを請け負います。現在の遊技機演出・映像制作に際し、エフェクト無しに行なうことは現実には不可能であり、今ではとても重要性の高い演出構成要素となります。VFXアーティストはゲームの世界観と魅力をエフェクトの側面から追求していきます。自分が制作に携わったエフェクトをゲームに実装していくことで、演出シーンは全く様変わりします。画面の印象をダイレクトに変えていくことの出来るこの仕事ほど、ダイナミズム感が味わえるものはないかもしれません。VFXアーティスト、エフェクトデザイナーにとって必要なスキルや経験としては、3Dリアルタイムゲームでのエフェクト開発経験、MAYAなどを使用したエフェクトのテクスチャ、モデルリソースなどの作成経験、文章や打ち合わせで浮かぶイメージを明確にビジュアライズできる想像力(創造力)、炎、水、煙、雷などの作成、リソース流用の経験、物理ベースでのレンダリング環境におけるVFX作成経験などがあるとより望ましいと言えます。
オーサリングデザイナー
遊技機演出に使われるデザイン画像、映像は、各デザイナーやモデラー達がデザインセンスをふり絞って作り上げられたものですが、それだけでは演出に用いられることは出来ません。各種デザインは遊技機の世界観を投影させるため、演出場面を際限ないほどまでに綿密に編集した後、実際のゲーム演出画面に使われることになります。そのために必要な工程こそオーサリングです。オーサリングデザイナーは、プレイヤーの期待感を喚起させ、極限なまでの楽しさを追求してもらうがため、映像アニメーションには炎、氷、稲妻などのエフェクトなどをオーサリングツールを使って制作・編集してさらに盛り上げます。2D・3Dデザイナーが制作した各種キャラクターなどのCGデザインをさらにオーサリングデザイナーが特殊加工を施すことで、遊技機演出のインパクトを与えます。その出来によっては人気を左右し、遊技機そのものの売上まで直結しかねません。それほどに、オーサリングデザイナーの仕事は重要で、センスも問われる職種と言えます。After
Effectsでのコンポジット、DCCツールのプラグインを使った2D、3Dエフェクト制作業務、液晶制作後半の全体進行ディレクションも請け負います。また、サブプログラマーとの連携は欠かせません。
コンポジッター
「コンポジット」とは「合成する・組み合わせる」といった意味となります。コンポジッターとは、遊技機の演出映像制作において「Vコンテ」の延長上にある制作工程の役割を果たす職種です。たとえば、先述の3DCGデザイナーやモデラーの制作物は主にMAYAや3ds
MAXなどのソフトウェアを用いて制作されます。また、2D系ではPhotoshopやIllustratorなどが主です。コンポジッターはこれら様々なソフトウェアで制作された各種デザイン素材を一つにまとめ上げ、最終的な演出映像を作り上げます。それでもコンポジッターは、ただ静止画を取りまとめるのではなく、実際は映像、つまり動画を扱うので、動画編集ソフトのAfter
Effectsを使いこなし、コンポジット業務を進めていきます。そのため、「Vコンテ」の延長上にある業務と言う訳です。通常「Vコンテ制作」と「コンポジット業務」はそれぞれの工程を分けて考えますが、この二つの仕事はつながっており、業務範囲の解釈は制作プロダクションによってまちまちであったりもします。ちなみに、Vコンテ制作にはAE,Animation Desk、Final Cut Pro、Storyboard Proといった映像系ソフトが多用されます