派遣で働く方のなかには、自分自身の将来を考え正社員へのステップアップを検討している方もいるかと思います。しかしその一方で「派遣から正社員になるのはハードルが高いのではないか」と感じてしまい、一人で悩んだ末に何となく諦めてしまう方もいるのではないでしょうか。

そこで今回は、派遣から正社員になるための代表的な4つのルートと具体的なアクションプランや、転職の面接・面談に役立つポイントを紹介します。

派遣から正社員になることはできる?

厚生労働省の『「非正規雇用」の現状と課題』によると、2021年の日本における非正規労働者の割合は全体の36.7%、そのうち派遣社員は6.8%でした。

「非正規雇用」の現状と課題–厚生労働省

画像引用:「非正規雇用」の現状と課題–厚生労働省

また、非正規労働者というと、「正社員になりたいのになれない人」というイメージがある方もいるかもしれません。
しかし、非正規労働者のうち不本意非正規雇用(正社員として働く機会を得られず、やむなく非正規雇用で働いている人)の割合は年々低下しており、2021年では10.7%と、意外と少数派であることがわかります。

つまり、派遣という働き方を一度選んだとしても、正社員になることを望み、最適な努力をすれば、その目標は十分に実現可能だということです。
そしてそのためには、まず自身の経験やスキルを踏まえたうえで、派遣から正社員になるための最適なルートを模索することが大切です。

派遣から正社員になるための4つのルート

派遣から正社員へのステップアップを成功させるためには、どのようなルートで正社員を目指せるのか、具体的なルートを把握しておくことが重要です。
以下で紹介する4つのルートのなかから、自分に最も適したものを選択しましょう。

今の派遣先で正社員に昇格する

派遣から正社員
同じ職場で働き続けながら、雇用形態を派遣元の派遣スタッフから派遣先の正社員に変更する方法です。

派遣先に正社員登用の仕組みや前例があれば、具体的な話も進みやすいと考えられます。
今働いている職場に正社員登用制度がある場合は、詳細な内容を必ず確認しておきましょう。派遣元の会社に相談して、正社員としての雇用を交渉してもらうのも一つの方法です。

ただし仕事内容がそれほど変わらない場合、企業は人件費を抑えるために派遣という雇用形態を望む可能性が高いことも知っておく必要があります。そのため、正社員登用制度が用意されておらず派遣から正社員になった前例もない場合は、他の職場への転職を検討したほうが良いかもしれません。

派遣先で正社員になった方の体験談を見てみる

正社員として転職する

正社員の選考に自分で応募して、一から転職活動を行なう方法もあります。
今の職場に満足していない、働きたい業界や職場が決まっている、といった場合には、このルートを選ぶのがおすすめです。

今の職場で働き続けながら転職活動をするか、それとも退職して時間に余裕がある状態で転職活動に集中するか、迷う方がいるかもしれませんが、一般的には働き続けながら転職活動をし、転職先が決まってから退職時期を調整する方が多いです。限られた時間の中ですばやく正社員転職を実現するには、自分のスキルや性格をしっかりと分析したうえで、気になる業界や職種、求人を早いうちからチェックしておくことが重要です。さらにスムーズに転職活動を進めたい場合には、エージェントサービスを利用するのもよいでしょう。

紹介予定派遣の仕事を見つける

紹介予定派遣とは
紹介予定派遣とは、派遣先企業と直接雇用を結ぶことを前提として事前に最長6ヵ月間の派遣期間を設けるという雇用システムです。

ただし、直接雇用といっても正社員ではなく契約社員としての登用になる可能性もあることに注意が必要です。また、派遣から正社員に雇用形態が変わるタイミングで、給料の手取りが下がるケースもあります。

紹介予定派遣の仕事に就く場合は、納得感を持って就業できるよう事前に労働条件などをしっかりと確認しておきましょう。

派遣会社の社員になる

派遣先での働き方が高く評価され、派遣元の人材派遣会社で正社員として雇用される場合もあります。ただし、他のルートに比べてチャンスは多くないため、あまり一般的な方法とはいえないでしょう。「声をかけられたらラッキー」くらいの気持ちで、他のルートと並行して検討する程度がよいでしょう。

派遣から正社員になるための具体的アクションプラン

続いては、正社員を目指すために具体的に何をすれば良いのかを考えていきましょう。

ステップアップ

まずは転職エージェントに登録して情報を収集する

派遣から正社員になるルートは複数ありますが、どれが自分にとっての最短ルートなのかわからない方もいるかもしれません。あらゆる可能性を考慮するためにも、まずは転職エージェントに登録して転職全般の相談に乗ってもらったり、有用な情報を収集したりすると選択肢が広がります。

働きながら自己分析や企業分析を行い、希望条件に合う求人を探し出すのは大変な作業ですが、エージェントに登録すればそういった作業を代理で行なってもらえます。プロの力を借りて、効率よく転職活動を進めていきましょう。

自身の市場価値を見極め、スキルアップに励む

自分が本当にやりたい仕事に就くためには、働き始める前に少しでもその業界・職種で必要とされる知識や技術を磨いておく姿勢が大切です。
仕事で使うツールの使い方を学んだり、仕事を円滑に進めるためのコミュニケーション能力を磨いたり、クリエイティブ系や専門職種への転職を目指す場合には、制作物をまとめたポートフォリオをつくったりしておくと、選考が圧倒的に進みやすくなります。
自身の市場価値をできるだけ高められるよう、日頃からスキルアップに励みましょう。

正社員として求められる人材の特徴を理解し、その人物像になりきって働く

同じように派遣として働いていても、正社員として採用されやすい人と、そうでない人が存在します。正社員として採用されやすい人には、おもに以下のような特徴があります。

  • 仕事に対する意欲や熱意がある
  • 責任感が強く、主体性を持って働いている
  • コミュニケーション能力が高い
  • 仕事に活かせる突出したスキルを持っている
  • 「一緒に長く働きたい」と思ってもらえる人柄である

上記の特徴を押さえたうえで、正社員として活躍する自身の姿をイメージしながら働いてみましょう。正社員と同じように働くことができれば、目標達成へのハードルは一気に下がるはずです。

なお、正社員になりたいという希望があるならなるべく早めに転職活動をスタートすることが重要です。
転職市場で最もチャンスが多いのは20代であり、30代、40代と年齢を経るごとに正社員になるのは難しくなります。年齢だけがすべてではないものの、若いうちに転職活動を始めるほうが有利であることを理解しておきましょう。

【派遣から正社員】面接・面談で聞かれる2つの質問

派遣から正社員になるためにクリアしなければならないのが、転職活動での面接や面談です。ここでは、面接・面談で必ずといっていいほどよく聞かれる2つの質問を紹介します。
面接

なぜ派遣で働いていたのか?

人事担当者は「派遣で働いていた理由」を聞くことで、あなたの仕事に対する価値観や目的意識をチェックします。ただし、もし派遣になった理由が不本意なものであったとしても、それをそのまま正直に話すのは考えものです。

例えば、「叶えたい夢を実現するために、一時的に派遣の仕事を選んだ」「派遣の仕事を通して○○を学び、さらにステップアップしたいと考えた」など、ポジティブな方向性でまとめるのがよいでしょう。

なぜ正社員として働きたいのか?

実際のところ、正社員になりたい最大の理由は「経済的な安定を得たいから」という方も多くいらっしゃるかもしれません。しかし「安定した仕事に就きたい」という率直な理由だけでは面接官の心に響きづらく、かえって消極的な印象を与えてしまうリスクがあります。

そこで、「本腰を入れて取り組みたい仕事がある」「今までの経験や知識を活かして、もっと責任ある仕事に挑戦したい」など、前向きな回答をすることを意識しましょう。

企業は、正社員として長く組織に貢献してくれる有能な人材を求めています。したがって、面接・面談の際には、仕事に対する熱意があること、入社後はスキルを活かして大きく活躍できること、将来を見据えたビジョンやキャリアプランがあることなどをしっかりと伝えることが大切です。

クリーク・アンド・リバー社のエージェントサービスでは、面接に関するご相談から実際の面談対策まで、業界に精通した担当者が一括してサポートします。面接・面談に不安がある、なにを話せばよいかわからない、といったお悩みがある方は、ぜひ下記のページからお気軽にご登録・ご相談ください。

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まとめ

一口に「派遣から正社員になる」といっても、今の職場での正社員登用を目指す道もあれば新たな職場への転職を目指す道もあります。
まずは自分に最適なルートを見極め、情報収集やスキルアップなどの適切な努力を続けることで、正社員採用という目標を叶えることができるでしょう。

CREATIVE VILLAGEでは、実際に正社員になった方の貴重な体験談をインタビュー形式で紹介しています。これから正社員を目指す方に役立つ、明日から実践できるヒントも紹介しています。「正社員になって自分の将来を変えたい」という方は、ぜひご一読ください。

派遣先で正社員になった方の体験談