ゲーム開発を志す方であれば、その多くがユニティ・テクノロジーズ株式会社が提供するゲーム開発プラットフォーム「Unity」をご存じでしょう。3Dや2D描写、サウンド再生、ユーザーインターフェース管理、データ管理・作成ツールなど、多様な要素を兼ね備えたプラットフォームです。

ゲーム開発市場で非常に評価が高い開発エンジンであるだけに、Unityで開発されているゲームには有名なタイトルが複数あります。Unityのことをほとんど知らない方やこれから学ぼうと考えている方に向けて基本内容を紹介します。

Unityとは

Unityは、マルチプラットフォームに対応したゲームエンジンで、スマホアプリからパソコン、パチスロまで幅広いプラットフォームに向けたゲームやツールの開発に利用されています。Unreal Engineと並び、ゲーム開発市場で非常に評価が高い開発エンジンです。

初めて触れる人でもチュートリアルに沿って進めるだけで、1時間程度でシンプルなゲームアプリを作れます。また、一見設定が難しそうに見える3Dゲームなども作りやすいため非常に人気です。

ジャンルを問わずUnityで制作されるゲームが増加

Unity入門_Unityで作られたゲームが増加
出典:「Unity Gaming Report 2022」

「Unityゲーミングレポート2022」によると、Unityプラットフォームで制作されたゲーム数が過去1年間で93%増加しています。Unityの開発エンジンを活用する新規クリエイターの数も31%増加しています。また、新型コロナウイルス感染症の影響によりゲーム業界の収益が増加し、その影響は今後も継続の見通しです。

2019年から2021年にわたってリリースされた、Unityで制作されたハイパーカジュアル、カジュアル、ミッドコア、ハードコアジャンルのゲーム数が軒並み増加傾向に。カジュアルゲームは53%増、ミッドコアは54%増、ハードコアは55%増、ハイパーカジュアルに至っては137%増を記録するなど全体で50%増という広がりを見せています。

Unity入門_ゲームジャンル別増加率
出典:「Unity Gaming Report 2022」

ちなみに、全体的な増収額が少ないのは、アクションやロールプレイング、アーケードゲームなどとなっています。16のジャンルのうち12のジャンルで1回の平均支出額が増えるなど、Unityによるゲーム制作に追い風となりそうです。

Unity入門者におすすめのプログラミング言語はC#

Unity入門_オススメ言語はC#

エンジンはC言語とC++で記述され、スクリプトはC#、JavaScript、Booに対応しています。最新仕様を踏まえると、Unityでゲームを作る時のプログラミング言語はC#がおすすめです。C#はMicrosoftが開発している言語であり、Windows向けのアプリ開発にも使用されています。

C#と言うと途端にハードルが高いと感じてしまう方もいるかもしれませんが、視覚的に理解しやすいIDE(総合開発環境)と公式のeラーニング講座が充実しているため、初めてC#に触れる初心者でもサンプルを見ながらすぐに簡単なアプリが開発できます。C#はオブジェクト指向のプログラミング言語です。オブジェクト指向とはオブジェクト(アプリケーションの構造を表現したもの)に分割、組み合わせて作成する設計思考を意味します。

学習難易度は普通程度であり、Microsoftから無償で提供される個人用の「Visual Studio」を活用したり、学習サイトを参考にしたりして習得できるでしょう。また、UnityにおいてもC#を使うことで簡単にゲームを開発できます。

Unityでできることや可能性・ゲーム事例紹介

Unity入門_活用事例

Unityはゲーム開発で重宝されるゲームエンジンですが、他にもXRコンテンツ開発やアプリ開発などもできます。XRコンテンツは医療分野や建築設計分野にも応用が可能です。なお、Unityを活用してこれまでさまざまなゲームが誕生しました。

白猫プロジェクトやポケモンGOはUnityで開発

まずは多くのユーザーを獲得している人気ゲーム「白猫プロジェクト」はUnityが使われています。タップやスライドなどで操作する独特の操作方法が特徴です。

また、世界中で話題になった「ポケモンGO」もUnityで開発されました。任天堂の「スーパーマリオラン」も同様です。「ドラゴンクエストⅧ」など、多くの人気ゲームがUnityによって開発されています。

Unityによってスマホゲームが開発されている背景には、AndroidとiOSを一度に作れる特徴があるからでしょう。

Unityを独学で学ぶ際の流れ

Unity入門_独学で学ぶには

「Unityでゲームを作りたい」という気運が高まった際は、まず何から学ぶべきでしょうか。Unityは基本的に独学で学習サイトによってスキルを習得する人が多いようです。そこである程度の基礎知識を身につけてから、書籍によって詳細を深堀したり、プログラミングスクールで学習したりするのが一般的だと言えます。では独学領域においてはどんな手順で学ぶべきかを5つのステップで簡単に解説します。

ステップ1:Unityの基礎を学習サイトで学ぶ

まずはUnityへの適性があるかを学習サイトでの学びで見極めましょう。ゲーム開発の仕組みや自分が作りたいものが本当にUnityで実現できるのかを確かめつつ、学びを深めるべきなのか、層ではないのかをジャッジすると良いでしょう。方向性がズレてなければ、基礎を1ヶ月ほどで習得しましょう。

ステップ2:C#の基礎を学習サイトで学ぶ

Unityの基礎を学んだら、次は開発に不可欠なC#の学習です。全22回でC言語の入門を習得できるドットインストールで一通り学びましょう。1ヶ月半〜2ヶ月でドットインストールのC#入門を理解できれば、Unityでできることがだいぶ広がります。

ステップ3:簡単なゲーム作りにチャレンジ

基礎とC#を学んだら、いよいよゲーム作りの実践に移りましょう。ただ、ステップ1・2だけで自由に何でも作れるかと言えば、そうではありません。まずは簡易的なサンプルゲームを作ってみて、コツをつかめるようにしましょう。サンプルゲームの作成は本格的なゲーム作りの礎となります。

ステップ4:これまでの学びをチュートリアルでおさらい

ここから学習サイト上での学びをチュートリアルでおさらいするフェーズに突入します。学習サイトにのっていない隠れた機能がチュートリアルには細かく記載されているので、その点を学ぶことでUnityのおさらいをしましょう。

ステップ5:本格的なゲーム作りの始動

ステップ4まで一通り実践すれば、本格的なゲーム作りを始められるでしょう。ただし、最初から凝った面白いゲーム作りをしようと欲張りすぎないことも大切です。まずはできるところから着実に増やし、ゲーム開発のイロハを一から体感しながら学ぶことで身につくことも多いでしょう。

時代に求められる開発を可能にするUnity

【Unity 入門 初心者のまとめ】

  • Unityは多ジャンルに対応する開発プラットフォーム
  • Unity入門者が学ぶべき言語は「C#」一択と言える
  • ゲーム開発だけではなく、できることが多いUnity

Unityはゲームを比較的簡単に開発できるゲームエンジンです。ツールアプリなどの開発も可能な汎用性の高さから、手軽にプログラミングしながらエンジニアとしてのキャリアを目指せる、人気の高い言語でもあります。また、意欲的に学習することで、ゲーム開発だけでなく、XRコンテンツ開発やアプリ開発の領域にも携われる可能性も広がります。今後の社会の発展に大きく寄与する開発プラットフォームであり、現在まったく知識がなかったとしてもゲーム開発を出発点に学ぶことはおすすめです。

C#でのスクリプト記述と言うとハードルが高いかもしれませんが、エディタは直感的に扱えます。豊富な素材を揃えるストアや、さまざまなサンプルと解説が掲載されている学習サイトも充実しています。初めてゲームアプリを作りたい人はぜひUnityに挑戦してみましょう。