年収アップやキャリアステップを考えたときに転職が選択肢の一つとなりますが「自分に合った仕事がわからない」「自分に何ができるのか」と悩む人も多いかと思います。

そのような人にまず必要なことは、スキルの棚卸しをすることです。
スキルの棚卸しをすることで自分の強みを理解し、キャリアステップの方向性やアピールポイントを明確にすることができます。

自分自身を客観的に見つめなおすことで、今までは気付かなかった新たな可能性が見つかるかもしれません。

なぜ転職前にスキルの棚卸しが必要なのか?

保有スキルと転職先企業が欲しいスキルがマッチしているかを確認
転職の際に大事なことは、自分の保有スキルと転職先企業が欲しいスキルがマッチしていることです。
企業に対して、どのようなスキルや経験を活かして事業に貢献できるのかをアピールする必要があります。

そのためにまずはスキルの棚卸しを行い、自分にどのようなスキルがあるのかを整理すること。自分の「できる」や「得意」を客観視することで自分がどのような人材なのかを確認していきましょう。
さらに、今後のキャリアステップの方向性をできるだけ具体的にイメージするし、企業が求める人物像とどのくらいマッチするかを確認します。

自分に今どれだけのスキルがあって、今後はどのように成長していきたいのかを伝えることは、転職先企業とのアンマッチを防ぎ転職を成功させる可能性を上げるために必要不可欠です。
特にクリエイターはスキルが重要視される仕事です。自分が何に強いのか知ることは、自分自身の今後の成長にも大きくかかわる重要なポイントとなるでしょう。

転職前のスキルの棚卸しは3ステップで実践する

スキルの棚卸しと一言でいっても、具体的に何をしていけばいいのでしょうか。やることは大きく分けて3つあります。

スキルの棚卸でやるべき3つのこと

それではひとつずつ見ていきましょう。

1)保有スキルをすべて書き出す

保有スキルをすべて書き出す

今までの成果物の一覧を作る

まずは業務上で制作してきたものをすべて洗い出して、一覧表を作成します。
ライターなら自分でライティングした文章や記事になりますし、デザイナーなら実際に作成したWebページやデザインしたPOPとなります。プログラマーなら開発したアプリなどがそれにあたります。

まずは難しく考えすぎず、過去の業務でやってきたことをそのまま抜き出していってみてください。すべて抜き出し終わったら、それぞれどのような成果を上げてきたのかという視点で再度洗いなおします。それぞれの成果物に対して、どういった観点で制作にあたったのか、狙いや目的、自己分析も含まれているとなおいいでしょう。

この一覧表は、後に作成する「ポートフォリオ」の基本になります。
ポートフォリオの作成について

使ってきたツールをすべて書き出す

次に、それらの成果物を作成するにあたって使用した「技術」や「ツール」についてまとめてきます。バージョンがあるものは使用したバージョンも記載します。

加えて、技術やツールの習熟度や使用年数なども記載しておくとよいでしょう。
これらを見れば、自分は何ができる人材なのかがはっきりしてくるはずです。

メインの業務とは別に覚えたスキルも書き出す

たとえばライターの方だと、Webデザインや出版業界と近い関係で仕事をされているケースが多いと思います。

  • 「CSSやHTMLが書ける」
  • 「Web制作の企画とディレクションができる」
  • 「流し込み程度だったらイラストレーターやインデザインを使って印刷用の版が作れる」

というような関連業務についての経験もあるかもしれません。
これらは一般の方にはなかなかできないことですので、自分のスキルとしてアピールできるポイントになります。

スキルの棚卸し結果をもとに、強み・弱み・方向性を把握する

棚卸しをして、自分のスキルについて客観的に見ることができるようになったと思います。
そこからさらに、自分の強みや足りないものがなにかということを掘り下げていきましょう。転職活動用の自己分析にも通じるステップです。

強み:自分のアピールポイントは得意分野から明確にする

自分の得意分野をアピールポイントとして企業により強く印象付けるにはどうするかを考えます。
もし得意分野がないと感じる方は、「アピールポイントを作るために必要なものは何なのか」という視点で考えていくとよいでしょう。
自分のクリエイターとしての個性を表す部分ですので、相手に与える印象やインパクトを考えて形作っていきましょう。

弱み:苦手なことにも目を向ける

得意なことだけでなく、苦手なことにも目を向けていきます。
過去の業務で苦労したことや足りなかったスキルを見つめなおすことで、自分に必要なことや得手不得手の傾向がよりはっきりします。
今後のキャリアステップでつまづきそうなポイントをあらかじめ知っておくことで、事前に対策することもできるでしょう。

方向性:今後のキャリアステップについて考える

今後のキャリアステップについて、自分の希望する方向性と、客観的に見た自分のスキルや経験がマッチしているかどうかも確認します。
そこから現在の自分に必要なものや、今後習熟すべきスキルを書き出し、将来のイメージをより具体的にしていきましょう。

大事なことは具体的なイメージができることです。
細かな部分まではっきりとイメージできるまで練り上げることで、相手にも自分の希望する方向性を明確に伝えることができるようになります。

わかりやすくまとめてポートフォリオ形式にする

ポートフォリオを作成する
転職の際には履歴書や職務経歴書を作成しますが、クリエイターであればポートフォリオの作成も必須となります。
ポートフォリオを通して、採用担当者に自分がどういう仕事をしてきたのか、どういったことを得意としているのか、どのような考えを持っているのかということまでアピールできます。

ポートフォリオはあくまで成果物を通して自分自身を知ってもらうための資料となりますので、それぞれの成果物に対して書くべきポイントがあります。

まず、ポートフォリオの表紙となる冒頭ページには、自分のプロフィール、キャリア、スキルや経験、クリエイターとしてのポリシーや考え方、これからどんなクリエイターを目指したいのかといったビジョンをまとめます。
自分がどういった人間なのかをわかりやすくまとめることで自己紹介ページとし、次のページから成果物の紹介に移ります。
スキル棚卸しをしながら掘り下げてきた内容がここで活きてきます。

ポートフォリオの重要性を知る

この記事ではポートフォリオ作成のポイントを職種別に解説します。

ライターのポートフォリオ作成のポイント

ライターの作品は文字ベースのため、ただ並べただけではインパクトのあるアピールにはつながりません。
その文章にどういったコンセプトや狙いがあるのか、キーワードやテーマがあればそれらの説明を加えていきましょう。

また、得意ジャンルのものをいくつか用意することで知識の深さを、複数のジャンルで用意することで知見の広さをアピールできるので、自分の方向性に合わせて準備しましょう。
雑誌の誌面、Webサイトなど最終的に掲載された媒体のキャプチャ画像を用意したりするのもよいでしょう。

エンジニアのポートフォリオ作成のポイント

エンジニアであれば、チームでの業務や開発も多いと思います。
しかし、チームでの仕事は自分の担当業務が伝わりにくいため、書き方に注意が必要です。

まずは自分が成果物のどの部分を担当したのかを明確にしておく必要がありますが、「○○を担当」といった簡潔な表現では相手にイメージが伝わりません。
全体的な業務や開発のなかで自分がどこにどのように関わったのか、できるだけ詳細に伝わるように気を配りましょう。

また、プログラミング系エンジニアの場合は、開発環境や開発言語、開発に要した時間なども記載しておきましょう。

デザイナーのポートフォリオ作成のポイント

Webデザイナーの作品は視覚的にわかりやすいため、ほかの職種と比べてポートフォリオの構成がしやすいでしょう。

自分が制作したWebサイトのトップページなど自分の作品性をアピールできるページの画像をいくつか挿入し、成果物作成時の作業環境や作成期間、担当した箇所などの説明を加えていきます。

ただし、画像だけではページの「動き」を表現しにくいため、WebページのURLを記載しておくと興味を持ってもらえたページを実際に見てもらえるかもしれません。

スキルの棚卸しは転職前だけでなく、常日頃から行うようにしよう

スキルの棚卸しは転職時だけでなく、在職中に行うことでも現在の自分の状況を明確にし、将来的なキャリアステップをイメージしやすくなるため、定期的に行うことをおすすめします。

特にプロジェクトが一段落した際には、そのプロジェクトで得た経験やスキルを加えていくことで自分の成長を実感しやすくなり、モチベーションにもつながると思います。

また、ポートフォリオはブラッシュアップしていくことで自分の強力な武器になるため、常日頃から整理・更新を心がけておくと、いざというときに心強いパートナーとなることでしょう。