技術の発展にともない、プログラマーやエンジニアといったIT関連の仕事は人手不足であり、今後も人材の需要が高まっていくと考えられます。そのため、理系出身ではなく文系出身や未経験であっても、プログラマーを目指しやすい状況であるといえるでしょう。

しかし、文系出身者のなかには、これからプログラマーを目指すのは難しそうだと不安に感じる人も少なくありません。

これからプログラマーを目指す場合、どのような企業で活躍したいと考えるのかにもよりますが、国内で十分な収入を得られるようなプログラマーであれば、それほどハードルは高くないものです。

そこで今回は、文系かつ未経験であってもプログラマーになれるのか、プログラマーとして働くための方法も解説していきます。

文系・未経験からプログラマーになるのは難易度が高い?

近年、新卒を採用する企業は文系・理系を意識せずに採用するケースが増加しており、文系であるというだけでプログラマーになるのが難しいということはありません。

プログラマーの採用活動を行う企業に対して行われた「学生時代に何を専攻していると採用に有利か」を調査したデータでは、情報関係と答えた企業が約28%、理系が約12%、文系が約1.3%、専攻は重視しないという企業が約58%にものぼります。つまり、採用する企業側は学生が何を専攻していたのかについて、さほど重視していないのです。
そのため、文系・未経験でもプログラマーになるための難易度は高くないといえます。

しかし、あくまでも文系・理系といった専攻を重要視していない企業が多いだけですので、文系・未経験の場合、面接対策を行わなければ採用されるのは難しいと考えたほうが良いでしょう。学生時代に学んでいた内容とは関連性のない仕事をするのであれば、なぜその仕事をしたいのかを採用担当者に理解してもらい、納得させなければなりません。

プログラマーになるための3つの方法

文系・未経験でプログラマーになる方法としては、未経験でも歓迎してくれる会社に入社する、もしくは独学で勉強をする、プログラミングスクールに通うという3つが挙げられます。

最も有効な方法は、文系・未経験の人材でも積極的に採用している企業に新卒や中途採用で入社する、もしくはアルバイトやインターンで入社して実際に仕事をしながら正社員に昇格するという方法です。

特に、アルバイトやインターンなどで実務経験があると、正社員になった段階で業務の流れや仕事方法を把握しているので、企業にとっても魅力的な人材だといえます。プログラマーとして就職しようとした場合、実務経験の有無が重要視されるため、アルバイトやインターンでの経験があることは有利になるでしょう。

次に有効な方法は、インターネット上で提供されているさまざまな学習ツールを利用する方法です。現在、プログラマーを目指す人に向けた無料のツールが増えているため、少しでも経験を積みたい場合は、無料の学習サイトを試してみるのがおすすめです。

さらに、プロから直接学べるプログラミングスクールに通う方法もあり、プログラミング技術そのものを身につけるのであれば最も近道だといえます。

本やインターネットの情報だけでは理解できなかったり情報が薄かったりするケースも少なくありません。そのため、少しでも不明なことがあった場合に細かくレクチャーしてくれるプロがいることは、非常にメリットが大きいものです。わからないことがあり先に進めないと感じても、その場で質問をして不明点を解消できるので、学習するモチベーションも維持しやすくなります。

独学で学習するのであれば、本を購入して基本的な知識をつけるのも良いでしょう。基礎知識をつけたうえで、システムを作ってみるといった実践も、就職の際に面接でアピールする材料になります。独学でプログラマーとしてのスキルを身につけられるため、行動力があることも面接で示すことができるでしょう。

プログラマーに必要なスキル・知識

プログラマーに必要なスキル・知識

プログラマーは、プログラミング言語を使用してソフトウェアやシステムを作成するIT技術の1つです。そのため、プログラマーとして活躍するためにもっとも重要なスキル・知識は、プログラム言語の理解だといえます。いくつもの言語を認識しておく必要はないものの、一般的な言語や就職後に使用する可能性がある言語については知っておくことが大切です。

プログラミング言語は、1つ理解しているだけでほかの言語も覚えやすくなるため、仕事の内容に合わせて学習すれば難しくありません。しかし、バージョンアップで内容が変更となるケースもあるので、つねに新しい情報を取り入れることが必要です。

なお、プログラミングスキルの習得は必要ですが、企業ごとで必要な技術や知識のレベルには違いがあります。例えば、文系・未経験者や1年未満の初心者を採用している企業は、言語を習得しているかどうかという基本的なレベルでも問題はありません。しかし、プログラマーとしての経験が数年以上必要な、レベルの高いプログラミングスキルが求められる企業の場合は、フレームワークやソース管理、データベースといった幅広いスキルが必要になります。

さらに、プログラミングをする際には、物事を順序立てて論理的に考えることを意識しなければなりません。プログラマーの仕事の多くは淡々と行う作業であり、エラーが発生すると都度修正しなければならないので、プロジェクトを最後まで行う忍耐力も必要なスキルの1つです。

プログラマーは1人で作業を行うことが多いものの、企業によっては共同作業をするケースもあります。特に開発に携わる場合は、先輩・後輩・同僚と協力し合いながら作業を進めることになるので、コミュニケーションスキルも求められるでしょう。

文系・未経験からプログラマーになった人の声

文系・未経験からプログラマーになった人の声

ここで、実際に文系・未経験からプログラマーになった人の体験談を3つ紹介します。

インターンを通じてプログラマーになった文系の男性

まずは、学生時代に文系を専攻し、インターンを通じてプログラマーとなった男性です。この男性は、最初にインターネット上で使用できるツールでHTMLに触れるということから始めました。
「ツールを触ってみても全くわからない状態だったので、独学でプログラミングを学ぶのは不可能であると感じました。そこで、まずはインターンとして入社しようと思い、現在働いている会社のインターンに参加しました。最初の数カ月は何もわからず、先輩にもたくさんしごかれましたが、日々自分の成長が感じられることや、自分が作ったものが周囲の人々に影響を与えられることはおもしろいです。」

また、同じく文系・未経験でプログラマーになった男性も、インターンに参加しています。
「大学生のときにさまざまなことに積極的に挑戦しようと思って、プログラミングを使用する短期間のインターンシップに参加したのが、プログラマーを目指したきっかけです。大学の専攻は文系だったので、インターンシップで初めてプログラミングに触れました。プログラミングを学ぶうちに、人の役に立つサービスを作りたいという気持ちが生まれ、プログラマーになりたいと考えるようになりました。」

IT企業で働く文系の女性

ほかにも、学生時代は文系だったという女性も、現在はIT企業でプログラマーとして活躍しています。
「学生時代は文系で、プログラミングは全く触れたことがなかったので、最初はつまずきの連続でした。プログラマーには理系の人もたくさんいますが、理系の人はプログラミングが作動する原理が好きであったり、自分の思い通りに動かせることに魅力を感じていたりする人が多いです。最初は文系である自分とは考え方が違うことにおどろき、戸惑いましたが、文系と理系では学んできたことが違うので、物事の考え方が違うのは当然だと思います。おどろくことはあっても、文系・未経験だからという理由で仕事に支障をきたしたことはありません」

文系・未経験の立場からプログラミングを学んで活躍している人の体験談からは、自ら学ぶ意欲や協調性、コミュニケーション能力が重要であることがわかります。就職を考え始めてからプログラミングを学んだという人も多く、文系・未経験の方でも十分なチャンスがあるといえるでしょう。

積極的に行動すればプログラマーになれる!

一般的に、「プログラマーは理系の人が就く職業である」という印象を持つものですが、企業側は文系・理系を問わず採用しているケースが多いことから、現在のIT技術職には文系・未経験のプログラマーも増えています。未経験でも学ぶ意欲を上手に伝えることで、十分に採用のチャンスはあるでしょう。

まずは、プログラマーに必要なスキルを身につけ、次に自分にもっとも合う方法で仕事につなげることがポイントです。文系・未経験でも、プログラマーに興味を持っている人、なりたいと思っている人は積極的にチャレンジしてみましょう。