こんにちは、CREATIVE VILLAGE編集部の澤田です。

10月28日(水)、29日(木)にFukushima Tech Create-ビジネスアイデア事業化プログラム-、第3回ワークショップが行われました。
今回は本プログラム内で初めて対面でのワークショップが実現。休憩時間中の名刺交換など、参加者同士の交流がますます活性化しています。

1月に控えるピッチイベント、そしてその先に続いていく事業の礎を築くためのより具体的且つ実践的な「事業モデル構築」プロセスに進んでいきましょう。

<DAY3の講師は…>
熊谷氏・プロフィールはじめまして、株式会社ツクリエ・熊谷です。
大阪大学大学院を修了し工学博士を取得、専門は光学・物性物理学。
大学時代からいくつもの事業立上げやビジネスディベロップメントに関わってきた中で感じるのは「成功率はあげられるとは限らないが、失敗率は下げられる」ということ。運に依存したイベントではなく「継続的な改善プロセス」としての事業立上げノウハウを、全3回の講義を通してお伝えしていければと思います。

新規事業の「失敗率を下げる」3ステップ

技術シーズやビジネスアイデアは3段階の評価(アセスメント)を通じてまずは事業化の芽に育てていきましょう。

1.テクノロジーアセスメント

  • 自分の技術やアイデアに含まれるキーワードから、用途仮説を立てる。
  • 周辺技術や市場を調査し、社会に与えうる影響を把握する。
  • 用途とは?
    自分の技術やアイデアをもとに「何を」売るのかということ。
    要素技術そのものを売ることもあれば、モジュール、製品、ビジネスモデルやサービス、様々な「売り物」としての形が考えられる。

2.マーケットアセスメント

  • それぞれの用途仮説ごとに、想定顧客・ニーズ仮説を立てて検証する。(DAY2にて解説!)
  • 商流の中でのポジションや、他社との関係性(競合/パートナー)を把握する。
  • 売上・コストを見積もる。

3.ビジネスアセスメント

  • 顧客の動向、市場の規模感、自社のポジションを把握する。
  • 商流、パートナー、キャッシュフローの最適化を図る。

今回は技術シーズ・ビジネスアイデアの用途仮説を立てる1.のプロセスを、ワークショップを通して実践していきます。

技術シーズ/ビジネスアイデアのキーワードを抽出する

技術シーズやアイデアは、用途と顧客のニーズが合理的に結びつくことで初めて売り物になります。

たとえば、家庭用の電動ドリル。
アメリカの経営学者レビットの著書『マーケティング発想法』の中に「ドリルを買いにきた人が欲しいのはドリルではなく『穴』である」という言葉があります。
金属加工の新技術によりドリルというプロダクトが完成しても、「DIYで木材に簡単に穴をあけたい」という顧客のニーズがなければ売り物にはならないのです。

ではどのように用途と顧客のニーズを結びつけてやるのか?
まずは、技術シーズやアイデアの特徴をキーワードとして抽出します。
事業化の芽を見出すプロセス

先ほどのドリルの例では、
技術シーズは「高強度と軽量性を両立させる金属加工技術」といえるでしょう。
特徴を表すキーワードは「高強度」「軽量」となりますね。
そこから「高強度」な金属と「軽量」な金属の用途・想定顧客・課題やニーズの仮説をたててみると…以下の図のようになります。
金属加工技術の用途事例

後はDAY2で紹介した通り課題やニーズの有無を検証し、サイクルをまわすことで実際の用途と顧客ターゲット・提供価値を決めていけばよいのです。

ワーク:キーワードを分類する

では、ここでワークにうつっていきましょう。

  • あなたの技術・アイデアの特徴となるキーワードはどんなものがありますか?
  • 特徴や性能を一言でまとめると?
  • それはコアの強みですか?またトレードオフな弱みも認識しているでしょうか?

採択者1名の方のビジネスアイデア場合、以下のようになりました。
キーワード分類フレーム・事例

このように落とし込むことで、技術シーズやビジネスアイデアにまつわるキーワードがそれぞれ、「技術そのもの」なのか、「性能」なのか、最終的に想定される「製品やサービス」なのか。混同することのないよう切り分けて把握することができます。
また強みと表裏一体の弱みが何なのかを認識しておくこともこのワークのポイントです。

用途仮説のヒントは「Web検索」で見つかる

用途については、この段階でなるべく多くの仮説を考えておいた方がいいです。アイデアを発散させるフェーズですね。

全てのアイデアを自分の頭の中からひねり出そうとする必要はありません。
どうするかというと、先ほど抽出したキーワードをWebで検索するのです。そして、そこで見つかった新たなキーワードと元のキーワードを組み合わせてさらに調べていきます。

以下は、上記の調査に適した検索エンジンやサイトです。

Google Scholar(グーグルスカラー)

学術論文に特化した検索エンジンです。抄録(Abstract)から論文を書いた背景にある考えや用途をピックアップしましょう。
https://scholar.google.co.jp/schhp?hl=ja

特許情報プラットフォーム J-PlatPat

特許、実用新案、意匠や商標などの申請状況やステータスを検索・照会できるデータベースです。
【発明の名称】と【図】から用途や申請概要を確認します。また【出願人】欄の企業は顧客と競合どちらになり得るかも確認しておきましょう。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/

オープンイノベーションサイト NINE SIGHTS

大企業が求めている新技術の概要・用途を調べられます。
https://ninesights.ninesigma.com

Web上にはありとあらゆる分野の情報が存在しているため、自分の引き出しからは出てこないであろう分野での用途やニーズと結びつくこともあります。
専門外の話でも、忌避感を持たずにまずは読んでみましょう。
多くの情報に触れて下準備しておくことで、このあとの工程でも発想が広がりやすくなりますよ。

ワーク:用途仮説のブレインストーミング

では、ワークです。

以下の手順でたくさん用途仮説を立て、分類しましょう。ブレスト-アイデアのグルーピング

  1. 技術シーズ/アイデアのキーワードをWeb検索する
  2. 用途のアイデアを1人ブレストする
  3. グループで共有し、出したアイデアを拡張させる
  4. 用途仮説を分野、市場、商流などでグルーピングする
<ワークを終えたプログラム参加者からはこんな声が…>
私は衛星とセンサを併用し、高精度な海洋資源の観測・予測マップを実現すべく参加しています。
ワークショップを通して、具体的なデータ処理方法や取得した海洋データの用途について新たな発見がありました。
「水産資源の加工や流通においてブランディングに使える」「漁師だけでなく、漁船を迎える市場の方にもメリットがある」など、視野を広げることができたと思います。

皆さん、お疲れさまでした!
自分のビジネスアイデアに勝算があるのか、可視化できてきましたか?
「誰に、何を、どのように伝えるか」を考えながら取り組むと今回発見した情報の活かし方がより鮮明に見えてくるはずです。
今回は技術的な目線でリサーチしました。次回はよりビジネス寄りの目線で、顧客・マーケットへの理解を深めていきましょう。

Fukushima Tech Create-ビジネスアイデア事業化プログラム-とは?
東日本大震災によって失われた地域の産業復興を目指す「福島イノベーションコースト構想」内のプログラム。独自技術を用いた起業や新規ビジネス創出にチャレンジする企業・個人をワークショップやメンター制度を提供している。

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