2Dとは「縦・横のしかない二次元の世界」のことで、「2 Dimension」の略です。
日本では2Dというと、ジブリ作品や新海誠作品などのテレビや映画のアニメ作品を思い描く人が多いのではないでしょうか。それ以外にも実は2Dアニメーションは動画や広告、ゲーム、教育関連など様々なものを作る際に幅広く使用されています。

今回はその中でも、ゲーム業界における2Dアニメーションについて、その役割や使用ツール、仕事の流れをご紹介していきます。

1.ゲーム業界における2Dアニメーションとは

ゲーム業界における2Dアニメーションは、ゲーム内容によっても多少異なりますが、
主にキャラクターの表情や身体を動きや、バトルシーンでのモーションやそれに付随するエフェクトを指します。
またそれらの制作を専門としている方々を「2Dアニメーター」と呼びます。

スマートフォンゲームの中のストーリーパートなどで、キャラクターの表情や身体が生き生きと動いているのをご覧になったことがある方も多いかと思いますが、2Dアニメーションというのはただ「動かす」だけではありません。
2Dアニメーターは、キャラクターの個性を理解し、その性格や状況にあった動きをつける必要があり、常に試行錯誤をしながら様々なアニメーションをつけています。
それぞれのキャラクターの個性や、キャラクターが置かれている状況に合わせて動きに変化をつけることで、そのキャラクターが与える印象を大きく操作することに繋がり、2Dアニメーターはキャラクターに動きを与える以上の重要な役割を担っています。

また、3Dが原画(イラスト)を元にモデルを起こすのに対して、2Dアニメーションは原画(イラスト)をそのまま素材として扱えるため、その絵の持つ魅力をダイレクトに活かしながら立体的に表現することが可能です。作品が持つイメージを大切にしたい作者やファンが満足するビジュアルに仕上がることも特長のひとつです。

このように、2Dアニメーションではキャラクターへの理解をアニメーションに落とし込むことが必要となります。元あるキャラクターを動かし、命を吹き込んでいくことは2D アニメーションにおける醍醐味のひとつと言えるでしょう。

2.主要ツールの紹介

主要ツールと表現できるデザイン
2Dアニメーションにも実は制作ツールは複数存在しており、日々新たな制作ツールが開発されるため、ゲーム業界内でのトレンドも目まぐるしく変化しています。
2Dアニメーターとして仕事を継続していくには、このようなトレンドを追いながら自身で様々なツールを習得していくことが求められます。

ここでは、いくつかあるツールの中でも現在多くのゲーム会社で取り入れられている主要なツールを3つご紹介いたします。

Live2D

Live2Dの特長は、2D画像1枚をそのまま動かしているにもかかわらず、3Dモデルを使ったような豊かな表現ができることにあります。
これまでのアニメーションはコマ毎に原画を作画しなければなりませんでしたが、Live2Dでは1枚の原画データをパーツ毎で切り分けたのち、各モーションを制御することが可能になりました。1枚のリッチな2Dイラストを基にアニメーションを付けることで、よりキャラクターを魅力的に表現できるのです。

また、着せ替え等が発生する際には大幅な生産性アップも期待できます。
さらに、Live2Dには「デフォーマ」というオブジェクトを変形させて動きをつけることができる機能がついているため、パーツの形状を大きく変化させることが可能です。

そのため、ゲームの会話シーンで使用されることが多く、そのほかにも最近注目を集めるバーチャルYouTuberの制作にも用いられています。

Spine

SpineはLive2Dと同じく2D画像を分割して動かすツールですが、最大の特長は3Dツールで使用されるボーンを各パーツに挿入してキャラクターを動かすという点です。
制作中にはリギングやウェイトなどの3Dアニメーションツールに似た設定・操作もあるため、細かな設定ができることでより自由度が高くなり、キャラクターを大きく曲げ伸ばしするような変形も可能です。
そのためSpineは全身でダイナミックな動きをさせるのが得意で、表現が平面的かつ全身を大きくアクションさせるようなサイドビュー戦闘シーンなどに向いているツールと言えます。

他にも2Dイラストのアニメーション制作ソフトは多く存在しますが、その中でもSpineは価格が安く、習得が比較的簡単で、ゲームエンジンの「Unity」との連携を考えて開発されているため既にUnityを使用しているゲームクリエイターにもおすすめのツールです。海外産のソフトですが、最近では国内のゲーム制作会社でも採用実績も増えています。

大枠のアニメーション制作は他のツールに比べて直感的に行うことが可能ですが、表情を細かく動かす、立体的に顔を回すなどの繊細なアニメーションの制作には技術を伴います。インターフェイスがAdobe Animateに近い事も特長のひとつです。

OPTPiX SpriteStudio

OPTPiX SpriteStudio はパーツ自体に親子関係を設定することで構造を作り、直接動かしてアニメーションを制作するツールです。Spineほどの細かい変形は付けられないものの、歩かせるなどの標準的動作の制作が容易で、エフェクトに関する機能が豊富である点が特長です。一方でSpineと同じく、立体感をもたせるようなアニメーションにはあまり向いておらず、サイドビューのシーンでエフェクトも含めて作成したい場合に向いています。

3.ワークフロー

ここでは2Dアニメーションを制作する際のワークフローについて説明していきます。

(1)イラストの準備とパーツ分け

まずはじめに、イラストの動かしたいパーツごとに1つ1つを細かく切り分けていきます。
細やかな動きを実現させるためにはより細かなパーツ分けが必要となりますが、パーツ分けを細かくすればするほどのちの工程の塗り足しや描き足しという作業が増え、制作時間の長期化=コスト増につながる要因にもなり得ます。そのため、事前に求められているクオリティラインを見極め、そこから全体の作業を逆算しながら適切なパーツの分け方を考える能力も求められます。

パーツ分けという作業は2Dアニメーションではほぼ欠かせないもので、この「パーツ分け」自体が1つの仕事として成り立つほど重要です。仮に、パーツ分けとイラスト制作を同時進行で行った場合、イラストを描くイラストレーターは2Dアニメーションの知識を身につける必要があり、逆に2Dアニメーターも商業用のイラストを描く技術が必要となります。
そのため、現在はイラスト制作とパーツ分けを別の作業者が行うことが主流となっています。

(2)塗り足し・描き足し

次に、パーツの描き足し・塗り足し作業を行っていきます。この作業は、イラストを実際に動かした際に違和感なく見せるために必要な工程です。

たとえば動かしたいパーツの下に重なるパーツがあった場合、上のパーツを動かした際に下にあるパーツとの間に空白部分ができてしまうことがあります。そういった際に空白部分に塗り足しや描き足しを行うことで、稼働にあわせて違和感なくキャラクターが動いているように見せるために行う大切な工程です。
 

(3)モデリング/セットアップ

続いて、パーツ分けした素材をポリゴンに割り当てていく作業を行います。
使用するツールによって必要な作業はやや異なってきますが、アニメーションの動きをつけていく前に、動きの基礎となる部分のセッティングを行う作業を指します。

ポリゴン数が多いほど緻密な形状を作ることができますが、多くなり過ぎるとゲームに組み込んだ際に負荷がかかりすぎて表示に遅れなどが生じてしまいます。リアルタイムに進行していくゲーム・コンテンツではこのようなことはなるべく避けなければならないため、この工程では必要最小限のポリゴン数で目標イメージに近づけた形状を作る技術が求められます。

(4)モーション/アニメーション制作

最後に、1~4でセッティングを行った素材を使い、いよいよ表情や身体に動きをつけていく作業を行います。
ここでは現実に存在する動きを基準として考えることがとても重要になります。

人間の走る、跳ぶなどの基本的な動きはもちろん、時には現実には存在しないモンスターの動きを表現することもありますが、そのようなキャラクターでも現実に存在するものを参考にしながら想像力を働かせて動きをつけることで動きに説得力が生まれます。また、そのキャラクターが「何のために、何をしようとしているのか」を掘り下げて作ることも重要です。

4.おわりに

ここまで、2Dアニメーションの仕事やツールについてご紹介してきました。
最初にも述べた通り、2Dアニメーションとはキャラクターの表情や身体の動きを付け、「キャラクターに命を吹き込む」大切な仕事です。普段ゲームをする際にキャラクターの動きが気持ちいいだけで、高揚感や満足感に大きく差が出ます。

2Dアニメーターになるには、どんな動きをすれば一番魅力的かを考える必要があるため、普段から動きを正確に捉えるスキルが必要不可欠です。最初から頭の中で思い描いたアニメーションを再現することは難しく、時には根気も必要になりますが、より良いアニメーションをつくるために試行錯誤を繰り返し、努力や工夫をできる人は2Dアニメーターに向いている人と言えるでしょう。

ゲームの世界やキャラクターを生き生きとさせ、動いている姿を見ることや実際にプレイした人たちが喜ぶ顔をやりがいに感じているアニメーターは多く、また、極めれば日本だけでなく国境を越えて活躍できる仕事でもあります。2Dアニメーションに興味のある方はぜひ、挑戦してみてください。

▼クリーク・アンド・リバー社の運営するゲームアニメーションスタジオ
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