新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で、ゲームクリエイターの働き方も大きく変化しています。
在宅勤務で働くクリエイターの方々が多くなり、「生産性はどうなったのか」「皆がどんな在宅勤務生活を送っているのか」「どんなところにメリットやデメリットを感じているか」気になる方も多いかと思います。

この記事では、ゲーム分野のエージェンシー事業を行うクリーク・アンド・リバー社(C&R社)のエージェント・古橋佳典が、在宅勤務を行うC&R社在籍のクリエイター171名にアンケート調査を実施。そのデータを基に、クリエイターの在宅勤務の実態やこれからの働き方について考察します。

日本のテレワークの実態

1.東京23区の中小企業の実態

東京商工会議所が4月8日に発表した、東京23区の中小企業1330社を対象とする調査によると、全体の26%がテレワークを実施しており、従業員数が少ないほど導入が進んでいないという実態がわかります。業種別にみてみるとITなどの情報通信業は54%と比較的高い数字となっていますが、肉体を動かす必要がある業種ではまだまだ実施が進んでいない状況と言えます。

中小企業のテレワーク実施率について
出所:東京商工会議所
新型コロナウイルス感染症への対応に関するアンケート調査結果
http://www.tokyo-cci.or.jp/page.jsp?id=1021764

2.全国の日本の在宅勤務割合

次に、厚生労働省がLINE株式会社と実施した「新型コロナ対策のための全国調査」(第3回調査時点:4月12~13日)を見てみると、オフィスワーク中心(事務・企画・開発など)の方におけるテレワークの実施率は、全国的に増加しているものの、全国平均で27%ということがわかりました。

緊急事態宣言が最初に発令された7都府県だけで見ても、最も進んでいる東京都52%、最も遅れている福岡県で20%と、政府目標の「オフィス出勤者の最低7割削減」にはまだ届いていないことがわかりました。
岩手県や新潟県、島根県など5%未満にとどまる県もあり、全国でも大きな差がある状況です。
※こちらの調査はLINEユーザーのみを対象としていることと、感染症予防の意識が高い人ほど回答する傾向にあるため、実情と乖離がある可能性もあります。

※参考:第1-3回「新型コロナ対策のための全国調査」からわかったことをお知らせします。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_11109.html
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クリエイターのテレワーク状況

1.ゲーム・CG業界の在宅勤務状況

弊社は東京や大阪を中心にゲーム・CGの制作を行っている企業と、派遣や中途人材の紹介、弊社スタジオによる受託開発など様々なかたちで普段からお取引をしておりますが、多くの企業がテレワークを導入しており、他の業種に比べても実施率は高いと感じています。
面接や会議もオンラインでやり取りすることが多く、これまでの働き方と大きく変化が起きています。

2.クリエイターのテレワーク実態調査

ここからは、弊社C&R社に在籍するクリエイター171名のアンケートを基に、テレワークを行うクリエイターの実態を見ていきます。
※回答いただいた方の年齢は20代から50代まで幅広く、男女比はほぼ半々です。
また、職種の割合をみると約60%が2D・3Dのグラフィックデザイナーでその他プランナー、プログラマー、PM、シナリオライター、QAスタッフなど幅広い職種の方にご協力いただきました。

C&R社所属クリエイターの意識調査
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全体を通してテレワークが導入されたことでデメリットを感じる人の割合が多くなる項目はありませんでした。
クリエイターの方々にとってテレワークは相性が良いと言えるのではないでしょうか。
特にストレス面や食事などはテレワークになったことでこれまでよりも良くなったと感じている方が多いようです。
移動時間がなくなり満員電車に乗ることもないため、精神的なストレスが軽減されている人が多く、その時間をこれまで疎かにしがちだった自炊など栄養管理に使うことができているのだと思います。

一方でやはり運動不足だと感じている人は多く、テレワークによるデメリットといえる結果になりました。クリエイターの方々は特にデスクワークが多くなるため、移動がなくなったことにより健康面を不安に感じている方も多いようです。

その他気になる箇所は、「メリハリ」の項目が「良い」と感じている割合と同じくらい「悪い」と感じている人がいる点です。やはり自宅環境によっては作業部屋などがなく、ONとOFFの切り替えに苦労している人も多いようです。
後ほど「4. テレワークでお勧めのアイテムや習慣」にてクリエイターの方々がどんな方法でメリハリをつけたり、リフレッシュしているかをまとめましたので、是非参考にしていただければと思います。

3.テレワーク導入による生産性について

テレワークになりやはり一番重要な項目が「生産性」です。今回はコロナウイルスの影響で半ば強制的にテレワークが導入されましたが、生産性が上がれば今後もクリエイターの新たな働き方として浸透していく可能性が大いに期待できます。

アンケート結果では、テレワークの生産性が「とても良い」と感じている方が24%、
「良い」と感じている人が23%となっており、約半数の人がポジティブに感じていることがわかりました。「悪い」と感じている人の割合が15%程となっていることからも、
テレワークとクリエイターの相性の良さがうかがえます。

「良い」または「普通」と感じている人の理由としては、
・無駄話や周りの弊害がなく作業に集中できる
・スケジュールは変わらずネット環境もそこまで負担がないので特に問題ない
・作業の割り込みがなく集中できる
・直接話していた時間がチャットワークやオンライン会議などのツールに変わっただけなのであまり変化を感じない
といった声が多くありました。

逆に「悪い」と回答した方の中には、
・ついつい甘えてしまい作業スピードが遅くなった気がする
・使用するディスプレイの数が減ったことやVPN接続に時間がかかり生産性が落ちた
・子育てをしつつ業務を行う必要があるため生産性が落ちた
・質問へ対する返答に時間がかかるため待ち時間を考えると生産性が落ちた
といった意見がありました。

モチベーションや作業環境がやはりテレワークのカギになりそうです。
また、子育てをしている方は業務との両立が難しく、ご家族の協力も必要になります。
テレワークにより直接リアルタイムでやり取りができない分、指示待ちの時間が発生してしまう人も多いようです。少ないコミュニケーションで相手の意図を汲み取る力や、自ら考えて自走できる力もテレワークでは重要になってきそうです。

次に、この「生産性」が今回のアンケート項目の何と一番結びつきが強いのかを重回帰分析で分析してみました。すべての項目に5度の重みづけをして質問しています。
これにより、どの項目が一番生産性の向上につながるのかを統計的に説明することができます。
※重回帰分析は複数の量的な説明変数から、1つの量的な目的変数を予測する分析手法です。一つの変数がどの変数との関連が強いのかを分析できます。

重回帰分析

ここで求められた結果は生産性を下支えするのは、PC環境、メリハリということがわかります。しかし、係数の低さから影響はそれほど高くはないようです。他の項目と答え方に大きな差がなかったとも言えます。また、モチベーションはP-値が大きすぎるので除外となります。メリハリの定義も人によって曖昧だと思いますが、この場合集中して仕事をすることだとします。そうすると、この分析の結果は生産性を高めるには良いPC環境を入手して集中して仕事することということになりますね。分析するまでもなく当たり前ですね。

今回は簡易的に質問票を作成したため質問はどれも近しい言葉になってしまいました。そのためそれほど大きな差がでなかったようです。
回帰以外にも相関を調べました。相関分析においても各項目の答え方が比較的近いしいことがわかります。相関から読み取れることだと、生産性と運動が無関係だということが言えます。

4.テレワークでお勧めのアイテムや習慣

ここではC&R社のクリエイターの皆さんがテレワークが導入されてから、実際にどのようなモノを買ったのか、どんなことを習慣にしているのか調査したアンケート結果をご紹介します。
既にテレワークをしている方も、これからテレワークをする方も是非参考にしてください。

■テレワークで新たに購入したモノ
・椅子/机
・PCモニター/LANケーブル/カメラやマイク

テレワークになり椅子や机を新たに購入した人が多かったです。
会社のオフィス家具に比べ自宅作業は体が痛くなったり集中力が続かないことがストレスになっている人もいるようです。
今後のテレワーク生活に備えて、体に負担がかからない椅子や机をご準備されてみてはいかがでしょうか。

その他にも、モニターやケーブルなど会社と変わらない環境で作業できるように追加で購入したかたも多かったです。
テレワークになりビデオ会議をすることが増えているため、カメラやマイクを購入している人もいました。オンライン飲み会などの機会も増えてくるかと思いますので、そういった点でもお勧めです。

■テレワークにお勧めのアイテム
・リングフィットアドベンチャー
https://www.nintendo.co.jp/ring/
自宅で楽しく運動ができるため人気でした!

・バランスボール、ストレッチポール
http://stretchpole.com/product/
悪い体勢で長時間座っていると体に負荷がかかるため、こういったアイテムを使っている人も多かったです。
中にはバランスボールに座って体幹を鍛えながら業務する人も!

・バックジョイ
http://backjoy-jp.com/
スタイル維持や骨盤ケアができる便利グッズ。

・HDMI切替器
https://www.amazon.co.jp/dp/B07SGD63BW/ref=cm_sw_r_tw_dp_U_x_SMMLEbSS6NEER
このHDMI設備は3台の映像・音声を切り替えて、高精細な4K映像の美しさをそのままに1台のテレビやディスプレイなどに出力することができるそうです。

その他にも足湯グッズやフットウォーマーなどテレワークならではの冷え性対策グッズや、お家でできる運動グッズ、健康食品、スマホスタンドなどいろいろなアイテムを使用している人がいました。

■テレワークで取り入れた習慣
・音楽やラジオを聴く
・ストレッチや筋トレ
・YouTubeなど動画を流す
・どうぶつの森を起動しておく

音楽を聴くという人がとにかく多かったです。
音楽はアニソンメドレーを聞いている人もいれば、しばらく行けなくなってしまったディズニーのメドレーを聞いている人など様々でした。
中には聴くだけではなくノリノリで歌って踊るという人もいてとても面白かったです。
その他に多かったのがストレッチや筋トレをしている人。
やはり音楽と運動は我々には欠かせないということを実感しています。
また、どうぶつの森を起動している人も多かったです。1時間ごとに流れる音楽が変わるらしく、時間管理などに活かしている方もいるそうです。

その他面白かったのは「YouTubeのウェザーニュースLiveをみる」という人もいました。24時間やっているそうで、昼間の時間帯はお姉さんが雑談を交えながら天気について発信してくれるので曜日感覚が狂いにくく、在宅で一番よかったそうです。
是非皆さんもそれぞれに合う方法を見つけ、試してみてください!

5.アンケート結果からわかる在宅勤務のメリット・デメリット

アンケート結果により、クリエイターにとって在宅勤務は生産性の向上やストレスの低下などメリットが大きいことが分かりました。
特にデザイナーに関してはPCやネット環境が整っていれば、データを扱うため仕事の分担もしやすく、在宅勤務との親和性が高いように感じます。
一方でデメリットとしてはコミュニケーションロスによる業務への支障、環境面の懸念、モチベーションやメンタルの維持など様々な声もありました。

私が日々クリエイターの方々とお話する中で感じているのは、恐らく職種や役割、開発段階によってメリット・デメリットの感じ方に大きな差があるように思います。

既に運営しているタイトルとは違い、開発中のプロジェクトで特に量産フェーズ前の場合、「どういった遊びにするか」や「どういったデザインにするか」など、皆で案を出し合い基となる部分を作っていく必要があります。

しかしテレワークに切り替わったことで、リーダーなど管理する側の人はメンバーのタスク管理などに今まで以上の時間を取られ、なかなか必要なところに時間を割けていないという声も多く伺います。指示を受ける立場のメンバークラスが多く在籍している企業ほど管理業務が多くなってしまうという問題もありそうです。

テレワークの導入はクリエイターの方々に多くのメリットを生む働き方であることは間違いないので、状況に合わせてうまく活用できる企業が増えていけば、これまでの働き方が今後大きく変わっていくのではないでしょうか。

テレワークの「これから」

withコロナといわれるように今後テレワークの働き方も徐々に浸透していくことが予想されますが、ゲーム業界に限らずテレワークになるうえで課題となっているのが、日本企業の多くが取り入れている『メンバーシップ型』との相性が悪いことです。
 
これまで多くの日本企業は、皆が決められた時間に同じ空間で仕事をすることが一般的で、土日も会社のメンバーと交流をしているという方も多いかと思います。
そういったチームワークが重要とされるメンバーシップ型の働き方において、個々のリーダーシップやコミュニケーション能力、メンバーのモチベーションやメンタル管理などのマネジメント能力が周りへの印象や評価に大きな影響を与えてきました。

しかし、今後テレワークの導入が続いていけば、これまでの日本社会にあったような、「頑張り・人柄・努力」などが見えづらくなっていきます。
現在はこれまでに築いてきたコミュニケーションの蓄積があるため、大きな違和感がなく成り立っていますが、テレワークを長期的に導入すれば評価の仕方や企業の在り方もこれまでと大きく変わっていくと思います。
例えば、新卒や中途入社の方が新たに入社しテレワークで働く場合、「結果」以外でその人を評価することはとても困難です。
現在はメンバーの仕事をしている様子が見えなくても、それぞれがこれまでに貯めた「信用貯金」を減らしながらこれまで多くの日本企業が取り入れてきたメンバーシップ型を保っている状態だと言えます。
 
このようにテレワークやフレックス制度など自由な働き方になればなるほど、クリエイターで言えば成果物となるデータ、営業で言えば営業数字のみを評価せざる終えなくなり、過程ではなく結果を重視した「ジョブ型」に多くの日本企業が変わっていく必要があり、我々働く人々の意識も変えていく必要がでてくるのではないでしょうか。

自分自身でセルフマネジメントをし、個々の能力やスキルを高め、受け身ではなく自分で考え能動的に動けるかどうかが、テレワークが導入されていく社会において今後さらに大切になってくると思います。

最後に

今回のアンケート結果により、クリエイターと在宅勤務の相性は比較的よく、今後も導入が続いていく可能性が高い働き方だということが分かりました。
今後も在宅勤務がメジャーな働き方になり、企業にも変化が起こるかもしれません。
是非この記事を参考にしていただき、在宅勤務をより有効に活用してください。

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活動自粛、在宅勤務状況下でも、専任エージェントが質問にお答えいたします。お気軽にご応募ください。