「App Store Review Guidelinesって、ぜんぶ英語だから正直わからない…」

英語が得意ではないiOSアプリの開発者は、最初の段階でこの難関に直面することになります。

そもそもアプリを開発して流通させるためには、主に2つの窓口があります。
iOS端末か、Android端末かのどちらかの環境を考慮した上でアプリを制作する場合、iOSアプリであれば“iOS Developer Program”に、Androidアプリであれば、“Google Play Developer”にそれぞれ登録して、アプリの申請をする必要があります。

またApp Storeとは、アップル社が運営するiPhone、iPod touch、iPad向けアプリケーションのダウンロードサービスのことで、iPhone利用者数の増加とともに、様々なiOSアプリが星の数ほどリリースされています。

つい先日、人気のゲームアプリがApp Storeからリジェクトされたことで話題にもなりましたが、苦労の末にApp Storeからアプリが承認されて無事にリリースをした後でも、削除される可能性は少なくありません。

その理由のひとつとして考えられることは、100項目を超える“App Storeレビューガイドライン” が、全て英文で表記されていることです。
アプリのリニューアルを重ねることにより、ガイドラインに表記されている内容を十分に理解できていない結果、リジェクト対象となってしまうケースが多いのかもしれません。

そこで今回は、英文で書かれているApp Storeレビューガイドラインの一部を、日本語に訳して、今一度見直してみましょう。

■ App Store Review Guidelinesとは
App Storeへアプリを申請する際に、必ずチェックおかなければならないガイドラインのことで、最近では審査が以前よりも厳しくなり、内容も不定期で更新されます。

【1】Terms and conditions(契約条件)に始まり、【9】Media content (メディアコンテンツ) 、【11】Purchasing and currencies (課金および通貨)、【17】Privacy (プライバシー)、【22】Legal requirements (法的要件)、【25】Extensions (拡張機能)など、第1項目だけを挙げても、その数は全部で29項目です。

29項目のさらに各配下にある第2項目で一番多いものが、【2】Functionality (機能性)で、26項目もあります。何だかこの時点でもう目が廻ってきそうですね…。
まずは一番基盤となる【2】Functionality (機能性)の気になる項目を、一部抜粋してみました。

■ Functionality (機能性)の気になる項目
・2.2 Apps that exhibit bugs will be rejected
→ バグのあるアプリはリジェクト!
これはもう当然のことですが、すべての動作においてバグを確認するのは、かなり大変な作業になります。

・2.4 Apps that include undocumented or hidden features inconsistent with the description of the App will be rejected
→ アプリの説明とは矛盾し、隠された機能が含まれているアプリはリジェクト!
これは意外と、こっそり実装されている方も多い項目ではないでしょうか。

・2.11 Apps that duplicate Apps already in the App Store may be rejected, particularly if there are many of them, such as fart, burp, flashlight, and Kama Sutra Apps
→ 既にApp Storeに存在する同様のアプリ (おなら、げっぷ、懐中電灯、ヒンズー教の経書のようなアプリ)のように、多く存在するアプリの場合はリジェクト!
…逆に「おなら」や「ゲップ」のアプリがたくさんあるという事実に驚きますね…(笑)

・2.12 Apps that are not very useful, unique, are simply web sites bundled as Apps, or do not provide any lasting entertainment value may be rejected
→ ユニークではない役に立たないアプリや、単純にウェブサイトをバンドルしただけのものや、娯楽価値を提供しないアプリはリジェクト!
この判定基準は、個人差もあってなかなか厳しい気がします。前述の「おなら」アプリは、役にたたなくてもユニークで娯楽性があるからOK!という判断でしょうか…。
このような異なった意味も含めて、読み解けば解くほど、なかなか厳しいガイドラインだということが分かります。

■ 他のガイドライン項目について
・11.11 In general, the more expensive your App, the more thoroughly we will review it
→ 一般的な価値よりも、あなたのアプリが高ければ高いほど、私たちは徹底的にそれを調査します!
…Appleから徹底的に調査をされたくなければ、正当な価格を設定した方が無難ですね。

・13.2 Apps that rapidly drain the device’s battery or generate excessive heat will be rejected
→ 急速にバッテリーを消費したり、過度の熱を発生させるアプリはリジェクト!
これは…個人が所有する端末に依存する問題も、別にあるような気がします。また大抵のアプリは、起動しているとバッテリーの減りは早く本体も熱くなるので、かなり難しい項目のような気がします。

■ まとめ
英語でズラッと表記されていると、それだけでも敬遠してしまいがちですが、日本語に訳すことで頭に入ってきやすい反面、逆に意味が分からないといった内容の項目も、なかにはあるかもしれません。

英語表記については、なにも上記のガイドラインだけの話ではありません。はじめにiOS Developer Programに登録する段階から、Appleとのメールのやりとりなど、全て英語です。余談ですが筆者は、登録して11,800 円を支払い、アプリ申請をする段階でくじけて離脱してしまいました…。

ガイドラインについては、たとえ英語であっても熟読して理解した上で、アプリ制作に臨みたいものです。ガイドラインに反していて、「知らなかった!」では済まされません。
せっかく労力を掛けて自分のアプリを世の中にリリースする訳ですから、リジェクトされることなく、唯一無二のオリジナリティが溢れた作品を制作するよう心がけたいものです。