2018年11月14日から3日間、東京・幕張メッセにて開催された「Inter BEE 2018」。国内最大級の音と映像と通信のプロフェッショナル展として、コンテンツビジネスにかかわる最新のイノベーションが国内外から一堂に会する国際展示会です。

展示だけでなくコンファレンスも行われ、各業界の最先端で活躍する企業やキーパーソンが登壇。セッションテーマについて熱弁をふるいました。
その中から、今エンタテインメント業界で注目される、今年12月にオープンを控えた屋外常設型エンタテインメント『SAKUYA LUMINA』について、このプロジェクトを手掛けた制作チームメンバー(電通、吉本興業、電通テック、Moment Factory)が登壇。その舞台裏について語りました。

『SAKUYA LUMINA』とは?

最新のデジタル技術を駆使した、インタラクティブなデジタル・アートによって、幻想的な音や光と自然が融合した、大阪城公園で繰り広げられるナイトウォーク・アクティビティ『SAKUYA LUMINA』。2018年12月15日にオープンします。

この『SAKUYA LUMINA』は、カナダのデジタルアート集団「Moment Factory」が企画開発し、北米・アジア圏で展開している「ルミナ ナイトウォーク」シリーズの9作目となる最新作。その土地がもつ固有の文化や美しい自然にインスピレーションを受け、幻想的な光と音、演出、映像、そしてインタラクティブな仕掛けを通じて、言語を超えて人々の心を動かす体験型ナイトウォークです。
大阪城を擁する大阪城公園を舞台に、未来からやってきた少女アキヨを主人公に、さまざまなスピリット(妖精)たちと一緒に未来への帰り道を探す冒険物語が繰り広げられます。

日本に“ナイトエンタテインメント”というジャンルを確立させる布石となるか?『SAKUYA LUMINA』のチャレンジ

このアクティビティを開発したMoment Factoryは、ルミナシリーズ以外にも、マドンナや安室奈美恵といった著名アーティストのライブで映像演出を手掛けるなど、特にエンタテインメント業界内ではその名を知られた集団。数年前から彼らの存在を知り、注目していたという電通のコンテンツビジネス・デザイン・センター ディレクターの國枝氏は、ルミナシリーズを実際に体験し、「これを絶対日本に持っていきたい」と固く決意したと言います。
「PCやスマートフォン上で繰り広げられるコンテンツではなく、どんな場所でも、デジタルや映像技術を駆使すればエンタテインメントになり、人と人をつなげていくことができるとMoment Factoryのディレクター マーク氏から言葉をいただいて、なんて素敵なんだろうと思いました」。

このプロジェクトに参画している吉本興業の企画部長吉川氏は、東京ではなく大阪という場所を選んだことについて、大阪府は平成29年度時点で訪日外国人客(インバウンド)数が年間1100万人となったことを挙げました(※)。
また、このプログラムの表現の部分についてたずねると「クリエイティブに大阪らしさも盛り込ませていただくべく、いろいろと提案させていただいた。大阪の名物たこ焼きにちなんだキャラクターとか、Moment Factoryのクリエイティブに沿いつつ、よしもとのお笑いの要素も取り入れてもらって今の形となりました」と述べました。
※大阪観光局調べ

Moment Factoryのディレクター、マーク氏はSAKUYA LUMINAの実現にあたり配慮した点をこう語りました。
「環境を守りながら展示することに最も気を配りました。そしてその場所を尊重すること。そのうえで、笑いや喜び、幸せを大切にしながらコンテンツを作り上げました。このような参加型のアクティビティで大事なのは、参加者がその場所や、ストーリーの一部になりたいという願望を叶えること。見るだけでは自分を抽象化するに過ぎないので、触って感じるというインタラクティブ性は欠かせないですね」。

大阪城公園という立地を選んだものの、実施するためには様々なハードルがあったと國枝氏は振り返ります。
「SAKUYA LUMINAが展開される場所は大阪城公園の中でも“特別史跡エリア”というところ。承認を得るために約1年も費やしました。このようなプログラムを屋外で、しかも常設で実施するというのは非常に大きなチャレンジでした」。

このプログラムの技術で中心的役割を担った電通テックの柴本氏は、音やプロジェクションマッピングによる映像などといった演出を行うための機材や配線には相当な苦労を重ねたと言います。
「とにかく史跡エリアのため、かなりの規制がありました。ケーブルを敷くために地中に埋めようとすると掘ってはいけないと。また、木々の間に配線を通そうと試みたが、木に触れてはいけないと。試行錯誤で大阪城側と話し合いを重ねながら決定していきました」。
「政府サイドへもご相談し、ご協力を仰ぎました。それにより、滞っていた進行がスムーズに動き始め、実現へと大きく歩を進めることができました」(吉川氏)。

特別史跡エリアという特殊な場所を選び、しかも3年間も常設で展示されるという、国内では類を見ないプロジェクトを実現させたことは、日本のエンタメ業界にとって大きな進展だと、司会の株式会社ハートキャッチ代表西村氏は評価しました。
「このSAKUYA LUMINAが一事例として、これから国内にこのような常設展示物がどんどん増えていくことを期待したい。メディアアート界隈で課題として語られるのは、現在日本には常設展がないこと。お目当てのプログラムが展示される短い期間を狙って日本に訪れるというのは観光客にとって負担になるのではと思います」(西村氏)。

「昨今は多数のデジタルインスタレーションがいろんな場所で見られるようになりましたが、SAKUYA LUMINAの素晴らしい点は、ストーリーテリングがあるところ。アートワークとかアートインスタレーションではなくて、ストーリーをたどりながら、最新のデジタルによる映像や表現を、自然の森に仕掛けを入れていくことで体感してもらう、そんな新しいナイトエンタテインメントを今後増やしていきたいと思います」(國枝氏)。

展示概要

イベント名 SAKUYA LUMINA 大阪城ナイトウォーク
会場 大阪城公園内 特設会場
開催期間 2018年12月15日オープン(3年間の常設を予定)
開催時間 18~22時 (年中無休)※雨天決行、荒天中止
主催 サクヤルミナ製作委員会
公式ホームページ https://sakuyalumina.jp/

(CREATIVE VILLAGE編集部)