絵を描くことが好き、美しいものが好きなど「デザイナーになりたい」理由は人それぞれです。デザイナーという仕事は一つにまとめて考えられがちですが、ありとあらゆるモノには「デザイン」が存在し、それだけデザイナーの種類もあります。

デザインするモノが異なると、デザイナーの仕事も任される範囲も違いがでてくるため、別の分野で活躍していくことになります。
今回はデザイナーの仕事について、その種類と仕事内容、活躍分野について見ていきましょう。

デザイン関連の仕事はどんなものがある?

デザイン関連の仕事はどんなものがある?

デザイン関連の仕事をする職業には「デザイナー」という肩書きが付くのが一般的ですが、デザイナー以外にも「アートディレクター」「CGクリエイター」などさまざまな仕事があります。

デザインの仕事をする上でキャリアのベースとなることが多い「デザイナー」は、色や形・模様・フォント・レイアウトなどを工夫してモノを美しくしたり、親近感を醸成したり、機能的にするための仕事をします。

一見、プロダクトの外観や見た目を作り上げる仕事と捉える人が少なくありませんが、実際は視覚的な要素にとどまらず、製品の使いやすさなど、目的に応じた部分まで踏み込むのがデザイナーの仕事になります。

デザイナーとアーティストは似て非なるもの

デザイナーはセンスが問われるため、アーティストと混同されることもあります。ですが、アーティストはテーマに応じた「表現」をする職種です。一方デザイナーはクライアントの意向を反映し、商品を売る・使いやすくする・分かりやすくする「目的」のためにデザインを施す、商業的な要素が大きい職種です。

たとえ素晴らしいデザインをしたとしても、それが人に受け入れられず目的が達成されなければ、デザイナーとしての評価は下がってしまいます。デザイナーの仕事は、自分がデザインしたものが他人に受け入れられて評価される=対価を得る必要があるほか、問題解決の責任も担っています。この点が「アーティスト」にはない要素になります。

こんなにある!デザイナーの種類

有形無形問わず「モノ」にはデザインが施されています。ホームページなどをデザインする仕事には「Webデザイナー」という人が関わりますし、文房具のデザインを行うのは「プロダクトデザイナー」の仕事です。
私達が一番身近に感じることができる、ファッションの分野では洋服をデザインする「ファッションデザイナー」であることは広く知られています。

一方、ゲームの分野ではゲームの中のキャラクターをデザインする「キャラクターデザイナー」や背景だけをデザインする「背景デザイナー」も存在します。
最近では、モノではなく日々の生活を充実させるようなアドバイスを行う、「ライフスタイルデザイナー」なども浸透してきました。

デザインするものによってデザイナーが持たなければならないスキルや知見も異なります。たとえばWebデザインの場合、パソコン/スマホなどさまざまなデバイスで見られることを想定してデザインするため、コーディングやアニメーションの知識など、Web関連の技術的な要素も知っておく必要があるでしょう。
家電のようなプロダクトデザインの場合は、デザインする上でエンジニアや工場と打ち合わせを行い、量産が可能かどうか、機能とデザインが両立できるかなどについても同時に検討します。つまり一口にデザイナーと言っても、個々によって必要な技術は違うということができます。

Webデザイナーの仕事

Webデザイナーの仕事

Webサイトのデザインや企画構成、ユーザーが使いやすい画面構成かどうかを検討して画面の設計・デザインを行います。
デザイン性だけでなく、サイトの目的やターゲットに応じて、情報にたどり着きやすいか・使いやすいかといったユーザビリティの観点も必要です。Webデザイナーのなかには、ユーザビリティの設計に特化した「UI(ユーザーインターフェイス)デザイナー」という職種もありますが、最近ではWebデザイナーがUIデザインも行うケースが多くなっています。

Webデザイナーは見た目の華美さだけではなく、機能性も考慮したデザインを制作する必要があります。なぜなら、Webデザインはユーザーの使いやすさを考慮しなければいけないからです。

そして、Webデザイナーになるにはデザインやアイコン、ロゴの制作を行うために多くのWeb会社で採用されているPhotoshopやIllustratorを扱える能力は必須でしょう。コーディングまで担当するのであれば、Dreamweaverも扱えなければなりません。

上記ソフトウェアを扱えれば、Webデザイナーとして一通りの業務には対応できますが、それに加えてWebサイトの土台であるHTMLとCSSの知識も必要です。さらに、jQueryのカスタマイズができると業務の幅が広がります。

最近ではWordPressを用いたWebサイトが増えているため、WordPressの基礎知識やカスタマイズ能力もあるのが望ましいです。WordPressのカスタマイズには、デザインスキルのほかにプログラミング言語の一種であるPHPの基礎知識が必要となる場合があります。

また、クライアントの要望でサーバーへのアップロードまで担当する場合は、FTPの知識も必要になります。このように、Webデザイナーはデザイン能力に加えて、プログラミングスキルやシステムの知識も求められる仕事です。

Webデザイナーの活躍場所

もっとも代表的な活躍場所はWeb制作会社です。Web制作会社は、大きい規模の会社から数人規模の会社までありますが、さまざまな業種や商品、プロジェクトのWebサイト作成に携わることになります。また、企業によってはWebデザインを自社で行っているところもあり、一般企業のデザイナーや広報部で活躍するケースも少なくありません。実力がつけば、Webプロデューサー・デザイナーとしてフリーランスで活躍する人もいます。

Webデザイナーは、クライアントがイメージしている内容や要望を踏まえたWebデザインを制作する仕事ですが、企業に所属して活動する場合とフリーランスとして活動する場合で担当範囲が大きく変わることがあります。

Web制作会社に所属しているWebデザイナーは、担当が細かく割り振られています。クライアントからのヒアリングはWebディレクターが担当し、Webデザイナーはデザイン、もしくはコーディングだけを担当することも多いです。

一方、フリーランスのWebデザイナーは、デザイナーとしての仕事だけではなく、Webプロデューサーやプロジェクトマネージャー的な役割まで1人で担当していることも多くあります。そのため、クライアントからのヒアリングからコンテンツの提案、デザイン制作、コーディング、サーバーへのアップロード、公開後のフォローまで行う場面もあるでしょう。

もし、フリーランスのWebデザイナーになりたいのであれば、幅広い知識やコミュニケーションスキルが大切です。

グラフィックデザイナーの仕事

グラフィックデザイナーは、ポスターや新聞・雑誌・パンフレットなどのデザインを行います。複数の仕事を抱えながらスケジュール管理を行うため、デザイン力はもちろんのこと、管理能力も求められます。

また、印刷物は一度世に出回ると簡単には修正できないため、誤植や間違いがないように正確性も求められます。
オープン性の高いWebデザインと比べ、グラフィックデザインの制作物は限定的なターゲットやエリアで使用されることが多いです。大変な面もありますが、媒体によってデザインの幅も広がるため、グラフィックデザインの仕事にデザインの面白さをより強く見出すデザイナーも多いようです。

グラフィックデザイナーの活躍場所

デザイン事務所やプロダクションのほか、広告代理店や出版社で活躍するデザイナーもいます。

クライアントの要望をヒアリングして、それをデザインとして具現化するのがグラフィックデザイナーの仕事です。そのため、企画やコンセプトに沿ったデザインを制作できるスキルを持っていなければならず、デザインの知識や引き出しが多ければ多いほど、仕事の幅は広がります。

小規模な案件では、クライアントと1対1でやり取りをして進めることもありますが、大手広告代理店がクライアントの場合など規模の大きい案件では、アートディレクターやコピーライター、カメラマンなどと連携してデザインを作り上げることもあります。
そのため、大規模な案件も担当したいのであれば、デザインスキルと合わせてコミュニケーションスキルも必要でしょう。

それぞれの企業で経験を積み、実力や管理能力をつけた後はフリーランスデザイナーとて独立することも可能です。また、アートディレクターやプロデューサーへとキャリアアップをしていくチャンスもあります。

キャラクターデザイナーの仕事

アニメや漫画のキャラクターを専門にデザインする、キャラクターデザイナー。オリジナルキャラクターや、原作からイメージしたキャラクターをデザインします。最近は日本のアニメや漫画は高い評価を得ており、日本でキャリアを積んだ後に海外で活躍するケースもあります。主にアニメ制作プロダクションやゲームソフトメーカーなどで活躍します。

キャラクターデザイナーの活躍場所

主な活躍場所はアニメ制作会社やゲーム制作会社です。
特別な資格が必要の無い職業で、実務経験を積んでいることや高いスキルを持っていることが望まれます。実力や実績が認められれば、フリーランスとして活躍できる職業です。

アニメやゲームのキャラクターであれば、プロデューサーや脚本家、アートディレクターなどが考えた設定をもとにデザインしたり、自分で設定を組み立ててオリジナルキャラクターをデザインしたりと、さまざまな方法があります。

デザインするキャラクターの数がそこまで多くなければ、自分1人ですべてのキャラクターデザインを行う場合が多いですが、キャラクターの数が多い場合はチームを組んで制作することになるでしょう。

また、アニメやゲームのキャラクター以外には、商品や企業の宣伝キャラクターをデザインすることもあります。この場合には、その商品や企業の背景をしっかりと理解した上で、コンセプトやイメージに沿って制作していくことが大切です。

ゲームデザイナーの仕事

ゲームデザイナーは、ゲームのキャラクターや背景、コアとなるアイテムなどゲームに登場するモノをデザインする仕事です。

ゲームの世界観をしっかりと理解したデザインワークが必要となるほか、CGを用いてゲームをデザインするため、プログラミングなどのスキルが必要になる場合もあります。一般的には専門学校などでゲームデザインについて学び、卒業後はゲームソフトやアプリ会社、玩具メーカーなどで活躍します。

ゲームデザイナーの活躍場所

ゲーム制作会社が主な活躍場所です。ゲームは複数のプロジェクトチームで制作されることが多く、そのなかでデザインを担当します。大規模なプロジェクトになるとデザインも複数人で担当することも珍しくありません。また、ゲームデザイナーが制作したものがゲーム上できちんと動かなければならないため、ゲームプログラマーと協力して制作を進める場面もあります。

ゲームデザイナーは以前から需要がありましたが、子供だけではなく大人もゲームをやることが珍しくない現代では需要が高く、人気もある仕事になっています。最近ではテレビゲームやモバイルゲーム、スマホアプリなどゲームの形態の幅も広がっているため、今後も活躍の場は広がっていくことが予想されます。

自分独自の色を出すよりも、ゲームの世界観やシナリオ、そのキャラクターの設定内容などを理解した上で、それに沿ったデザインを制作することが求められる仕事です。

そのほかのデザイナーの仕事と活躍場所

ファッションデザイナー

ファッションデザイナー

洋服をデザインするファッションデザイナー。ファッションデザイナーには自分のブランドを持つ「オートクチュールデザイナー」と、企業に勤める「企業内デザイナー」の二つがあります。

多くの場合まず企業内デザイナーとして経験を積み、技術やセンスを磨いて独立して自分のブランドを持つといったキャリアを踏みます。独立後はフリーランスのデザイナーとして、さまざまな企業から受注して活躍する人もいます。

服のデザインはパタンナーやテキスタイルデザイナーなど、多くのスタッフとチームとなって作り上げられていきます。そのためファッションセンスはもちろんですが、さまざまな専門知識やコミュニケーション能力が問われます。また、つねに流行にもアンテナを張っておく必要がある仕事です。

専門学校でファッションデザインを学んで企業に就職するのが一般的で、在学中に校内コンテストなどで優秀な結果を残すことができれば、卒業後に大手ブランドへ就職することも可能です。アパレルの販売員を経て、ファッションデザイナーに転身する人もいます。

インテリアデザイナー

家具やカーテン、什器など内装全般を監修して室内の演出を行います。インテリアの中でも家具のデザインを専門に行う「家具デザイナー」や、照明のデザインを専門に行う「照明デザイナー」などもあります。

インテリアデザイナーは個人宅だけではなく、ホテルやオフィス、美術館などあらゆる室内のインテリアを手がけます。活躍場所は建築業界やハウスメーカー、デザイン事務所など、フリーランスで活躍するインテリアデザイナーも多くいます。

クライアントに納得・満足してもらえる空間をゼロから創造しなければいけないため、デザインセンスだけでなく、つねに新しい発想も求められます。

また、自分のイメージした空間を明確にクライアントへ伝えられるプレゼンテーションスキルも必要です。言葉で伝えるコミュニケーションスキルのほかに、CADのスキルがあると視覚的にイメージを伝えられます。

美術系の大学や専門学校で従来のデザインを学ぶことも役立ちますが、最近ではインテリアデザインや空間デザインにより焦点を当てた学部を設けている学校もあるため、インテリアデザイナーを目指すのであれば、このような学校を探すと良いでしょう。

プロダクトデザイナー

文房具や家電などの生活用品や、自動車などの輸送機器まで、あらゆる製品(プロダクト)のデザインを行い、「インダストリアルデザイナー」と呼ばれることもあります。製品のターゲットや特性、使いやすさや素材を検討し、機能とデザイン性を両立させたデザインが求められます。

活躍の場は自動車、家電などメーカーのデザイン部門がメインとなるでしょう。企業で経験を積んだ後、独立してフリーランスとして活躍する人やデザイン事務所を立ち上げる人も多くいます。ほかのデザインと比べ、高度な専門知識が必要であるため給与や条件面では厚遇ですが、狭き門であるのが実情のようです。

資格が必要な仕事ではありませんが、ほかのデザイナーと同じく美術系の大学や専門学校で学んだ経験があると有利です。立体的なデザインを制作することも多いため、造形学部や工学部で学んだ経験も活きるでしょう。

テキスタイルデザイナー

服飾やインテリアなどのテキスタイル(生地)をデザインします。生地を作る糸やプリントの染色方法、糸の織り方などを企画・デザインする専門職で、主にアパレルメーカーや繊維メーカーで活躍します。

服飾系の専門学校や大学で学んで、卒業後に企業へ就職するのが一般的な就職経路です。芸術的なセンスが求められるのはもちろん、衣料学や染色学など高度な専門知識も必要で、色彩に関する知識も求められます。

ある程度の設備が必要な仕事であるためフリーランスになる人は少なく、多くの場合は企業に所属して活躍しています。

エディトリアルデザイナー

エディトリアルデザイナー

文章がメインで、ページ数が多い書籍や新聞、カタログなどをデザインするエディトリアルデザイナー。文字量が多いため、美しく読みやすくデザインすることが求められます。また、書籍において表紙だけをデザインする「ブックデザイナー」の存在も重要。ブックデザイナーのデザインによって、書籍の売り上げが左右されるとも言われています。

多くの場合、プロジェクトに関わる複数の人とディスカッションしながらデザインを作り上げるため、デザインセンスに加えてコミュニケーションスキルも必要です。

クライアントの要望を具現化するため、デザインの基礎知識や引き出しが多く必要とされ、美術系の大学や専門学校でデザインを学ぶことや、デザイン事務所で勤務していた経験が活きる職業です。

企業に所属して働く場合は、デザイン事務所や出版社が主な活躍の場所です。企業で経験を積んでからフリーランスになる人や、自分でデザイン事務所を立ち上げる人もいます。このように、能力次第で働き方を選びやすい仕事だといえるでしょう。

CGデザイナー

「CG」とは、コンピューター・グラフィックスのことを指します。CGデザイナーはCGソフトを使用し、2次元や3次元のデザインを行います。最近ではアニメーションや映画などで良く使われているほか、建築や自動車などの設計関連業務でも良く活用されています。映画会社や映像プロダクション、メーカーなどが活躍の場となります。

デザインを専門に行っている企業のほか、業種に関係なく社内のデザイン部門で活躍している人も多い仕事です。

比較的、学歴や経験は求められませんが、専門的で高度なスキルは必要です。CG制作にはデッサン力が重要であるため、美術系の大学や専門学校でデッサンや彫刻などを学んでいると業務に活かせます。

海外でも需要の高い仕事であるため、高いCG制作スキルに加えて語学力があれば、国内の企業に留まらず海外の企業でも活躍できるでしょう。必要な機材と作業場所を確保すれば業務可能な職種のため、独立してフリーで活躍している人も多くいます。

まとめ

このように「デザイナー」にはさまざまな専門性があり、Webからグラフィック、乗り物や日用品まで広い分野において専門的な知識を持ったデザイナーが活躍しています。また、フラワーデザイナーなど、ここに列挙しきれない分野のデザイナーも数多く存在しています。

デザインが必要な分野の数だけデザイナーの活躍フィールドもあるということになりますが、デザイナーを志すならまずは「何のデザインをしたいのか?」を考える必要があります。そして、それぞれのデザイナーに応じたスキルを学べる学校を選ぶと良いでしょう。

デザイナーは学歴に関係なく就職できる場合もありますが、職に就く前に学校などで必要なスキルを学んでおけばスムーズに業務へ入っていくことが可能です。近年、デザイナーの仕事はより細分化しています。それに伴い、今後は益々専門的な知識や高度なスキルが求められることが予想されるため、仕事として始める前に必要なスキルは学んでおくことが望まれます。また、どの分野のデザイナーでもつねにスキルを高める意識は必要といえるでしょう。

デザイナーはモノやサービスの問題をデザインで解決することが最重要課題です。そのため、デザインしたいモノが明確でないと良い結果を出すのは難しいかもしれません。

デザイナーの仕事はどの分野であれ、明確な形や答えがあるものではありません。その反面やりがいも大きく、自分の手がけた製品やサービスが世に出ていくという感慨深い仕事でもあります。企業に所属し経験を積んだ後に独立して、フリーランスで働くことも考えられるため、将来独立を目指している人にも向いている職種です。

まずは自分がどんなデザインを手がけたいのかを考えるところから、スタートしてみてはいかがでしょうか。