ACC賞、TCC賞、International Broadcasting Awards・・・数々の広告賞を受賞する広告界の雄、原宿サン・アドにて、プロモーショングループを統括する一筆将人さんに、これまでの生い立ちからプライベートなことまで、ざっくばらんにお話を伺いました。

ちょっと変わったことを思いつくバカ。

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学生時代は哲学とか映画に憧れてました。
「あぁ、僕はジャン=リュック・ゴダールのように、アンナ・カリーナのような女優を妻にするんだ!」みたいな(笑)

当時は日本の大学で化学を専攻していたんですが、映画を勉強したいと思って、ニューヨークの大学に転入しました。本当はソルボンヌに行きたかったんですが、そんな頭もなかったもので・・・。

でも、大した収穫も得られず日本に帰ってきて映画美学校を卒業。その後映画の現場もいくつか経験したんですが、まぁとにかく怒られるばかりで、食べていくこともできなかったので断念。

「とにかく働かなくちゃ」と思い、日本文化の研究所みたいな小さくてコアなプロダクション編集工学研究所に入れてもらい、“マルチメディアエディター”という何やら立派な(?)肩書をいただき、1ヵ月以上会社に泊まったりしながら、TV番組の企画や教育ビデオ、CD-ROMの企画制作なんかをして、死ぬほど働いていました。

ここでもよく怒られました(笑) 所長の松岡正剛さんには、「情報の左右上下を見てみろ。アイデアなんて簡単に出るだろ。」なんて言われるんですが、そう言われたら余計わからなくなっちゃって、「わかりません・・・。」といったら「ナンセンスだ!」と一喝されたり。 その頃は、ただ面白いことを見つけることに夢中で、ちゃんと考えることができなかったんですよね。

でも、知の巨人といわれる松岡さんをはじめ、当時はあまりよく分かっていませんでしたが、たくさんのプロフェッショナルたちの仕事ぶりを目の当たりにできたこと、今となっては貴重な経験だったなぁと思っています。

Webとの偶然な出逢い

その後、『Web Designing』という雑誌の編集に参加させてもらい、そこではじめて、Webを多方面から体験することができました。

それからはWebをつくる側にまわり、ippitsu02インフォメーションアーキテクチャーとかクリエイティブディレクターとかの肩書でいろいろな企業のWebサイトを制作し、この頃から、考える下地みたいなものができてきて、面白いことを思いつくだけのとこから、少しずつ、「面白いよ」って伝えられるようになっていったような気がします。

今は原宿サン・アドで、Webを中心にメディアを横断したプロモーションのプランニングをやっています。 映画や雑誌、Webをやってきた経験をプロモーションという、いわば何でもありの現場で活かすことができているような気がします。

一筆さんにとっての「クリエイティブ」とは?

こういう大きなワードに答えられるような人間ではないのですが・・・(笑)

20代前半は、まるで芸術や錬金術のような茫洋とした印象を持っていたのですが、今はそれがもう少し具体的になって、「人の心や体を動かすコトやモノをつくることなんじゃないか」と思うようになりましたね。

映画もWebも広告も、なんだって人と人とでできている社会で起こること。人は心と体とでできているのだから、それを動かせるようなものができれば、クリエイティブといっていいんじゃないかと。
正解かどうかはわかりませんが(笑)

最近はまっているもの

坐禅をほぼ毎日してます。
家の近くの禅寺が毎朝7時から坐禅会をやっているんで、それに参加したり、自宅で坐ったり。
なんか、いいんですよ。

たしか桂 枝雀という落語家が言ってたんですけど、「タバコは深呼吸をするために吸うんや」と。 僕も以前はタバコを吸っていたのですが、やめてしまってから確かに「そうだなぁ」と思って。

それは冗談みたいなもんですが、1時間くらい坐って、自分を空っぽにしていっぱい空気を吐くと、それだけで「なんか、いいなぁ」と思えるんですよね。

若手クリエイターに一言

「バカは死ななくても治る!」

僕は今まで本当によく怒られてきたので、お先真っ暗な状態が長かったです。
でも、だからこそ、ダメな人でもなんとかなるもんだなぁと思うんです。

僕みたいに「情報の上下左右を見ろ!」と言われてピンと来なくたって、いつしかわかる日が来るものです。

楽しい毎日を。


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