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「相手の心をHOOKさせるマーケティング」TAC出版『#HOOKED』刊行記念トークイベントレポート

商品や広告が溢れる今、 私たちはどのように工夫して注目を集めればよいのか…。そんな疑問にさまざまなヒントやエッセンスがギュッと集められた消費マーケティングの解説本『#HOOKED』。著者はイギリスの消費者心理学者パトリック・ファーガン氏ですが、日本語版は解説付きとなっており、その解説を元電通総研・研究主席の四元正弘氏が担当されました。
日本の広告事例なども盛り込みながら編集されたこの『#HOOKED』の出版を記念し、7月にはトークイベントを開催。TAC出版編集担当の浅井啓介氏と、本の解説者四元氏が、消費者マーケティングの観点から、人の心を動かし、行動を促す“HOOK”とは何か、そのヒントをいろいろと語られました。(写真左から、TAC出版浅井氏、元電通総研四元氏)


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一般の人々の“マーケティング”についての大きな誤解

(浅井)本日のイベントにお越しいただいた方の多くは特に心理学とかマーケティングに従事しているというよりも、一般企業で仕事に携わっている方とお見受けします。意外と一般の方に関心ある人が多いんですよね、マーケティングって。
(四元)でもね、私が思うのは、世の中のマーケティングって、みんな誤解している部分が多い、ということなんですよ。たとえば、ドラッカーって有名でしょ?あの“もしドラ”で一躍注目されましたよね。あの人は経営学の神様ですからね。でも一部では“マーケティングの神様”みたいに捉えられている。

もう一つ、誤解されている点は、マーケティングとは、“作ったものをどう売るか”という戦略を立てるものであると捉えられていること。でも私から言わせるとそれは間違い。マーケティングとは、“売れるものをどう作るか”を考えることなんです。売る行為をせずに、消費者から選ばれて買ってもらうように仕向けるのが、本来の『マーケティング』なんです。

この本のカバーには「つい買ってしまった」とありますが、人間は“ついやってしまった”の連続。この行動パターンを把握したうえで人を動かすには、心理学もある程度知ったうえでマーケティングを実践してビジネスに活かす。これが基本中の基本だと思います。

人気のなかった商品がいきなり売れ始める“魔法のキャッチコピー”

(浅井)四元さんは「売るためのマーケティングは敗戦処理」ともおっしゃっていますが、後発の商品の場合だと、やっぱり「売るため」のマーケティングになるんじゃないかと思うんですが、いかがですか。
(四元)ではサントリーのビール商品、プレモルの事例を紹介しましょう。「プレミアムビール」というジャンルの商品が1970年代にサッポロビールから発売されます。麦芽100%、厳選された国内ホップ、水は天然水、匠が丁寧に作った高品質、というのを売りにしていた。しかし当時は全然売れなかったんです。そこから時が流れて2005年、サントリーから発売されていた『ザ・プレミアム・モルツ』、略して“プレモル”が急に売り上げを伸ばし始めたんです。
サントリー曰く、その年にモンドセレクションのビール部門で最高金賞を受賞したということなのですが、爆発的に売れたのは、クリスマス商戦の時期に打った、ある広告がきっかけなんですね。
その広告とは『最高の週末を』というキャッチコピーをうたったものだったんです。

消費者の“心”をつかめば売れる!心理学も取り入れたマーケティングとは

(四元)サントリーはそれまで、プレモルを“最高のビール”として売ろうとしていたものの、売れなかった。そこで、戦略を変えて『最高の週末を』と言い始めたら売れ出したんです。この場合、プレモルはわき役で、主役は消費者という関係。消費者が主役になるストーリーのある広告に変えることで、消費者の“心”をつかむことができたというわけなんです。

この事例で分かったことは、実は消費者は「高品質なビール」を飲みたい、というよりもがんばった自分自身へのご褒美として乾杯する“時間”や高品質なビールを味わうことで感じる“豊かな気持ち”を求めていたんだということ。それらを提供したり、演出してくれる小道具がプレモルなんですね。
消費者は何を求めているのか。そこの理解を間違えると、最後まで間違えたままになってしまうんです。

もう一つ、今度はターゲットを主婦にした商品の事例をご紹介します。
インスタントコーヒーのフリーズドライ商品を販売したあるメーカーは、事前に行ったテストマーケティングで“こんなに簡単でおいしいんだったら、絶対買う!”と高い評価をもらっていたにも関わらず、販売開始後はなかなか売れなかったんです。
そこでメーカーは消費者心理に詳しい心理学者にお願いして実験をしてもらったところ、最初に行った、手間がかからずおいしい、という機能訴求が実は女性に響いていなかったということがわかった。女性(主婦)たちはこの商品で家族から手抜きをしていると思われてしまうのではないか、という心理が働いてしまい、購入をためらっていたという結論に至りました。そして、それを解決するアドバイスをもらい、テレビCMに取り入れたところ、今度は爆発的に売れたというんです。

そのアドバイスとは『家族団らん』。この商品だと手間いらずで本格的なコーヒーが淹れられる。すると忙しかった朝食の時間にゆとりが出来る。家族と朝の食卓が囲めて、おいしいコーヒーを飲んで家族の笑顔が増えるよね、というシーンをほんの数秒CMに挿入したんですね。
主婦が本当に求めていたのは、朝から家族団らんで皆を笑顔にしている“私”、そんな自分の姿だということなんです。
このケースのように、きちんと消費者の気持ちを理解しないと、せっかくのいい商品なのに売れないままではもったいない。そこを考えるのがマーケの面白さでもあり、怖さでもあると思います。

HOOK(仕掛け)をうまく使い分けるコツとは?

(浅井)本の中ではたくさんのHOOKやルールが載っていますが、どう使っていくといいんでしょうか?
(四元)確かにいろんなルールが載っていますが、すべてを同時に使う必要はもちろんないです。
「ハロー効果」は有名ですが、これは好感度の高いタレントがある商品を使うとよく見えるというものです。日本では特によく用いられがちな手法でもあります。
対して海外では、商品の広告や宣伝には一般のモデルを使うケースがほとんど。これは同調性の法則といって、消費者である自分と近いような人がやるのがいいということで、著名人はむしろ使わない。このように、いろんなルールを、ターゲット別などいろんなケースに応じて使い分けたり、組み合わせたりと試行錯誤しながらバランスよく取り入れていくといいのではと思います。

私が考えるマーケティングとは、人の笑顔が見えて、笑顔になりたいから商品を買う、そのための手法。笑顔、で突き詰めていくと、自分が好きなものは他人もきっと好きなはず、とシンプルに考えるのもありだと思います。人の心を動かすものは、細かく考えるよりも案外単純なことだったりすることもあるでしょう。だからまず自分が好きなものはなんだろうか、という見方から考察することも一つのやり方だと思います。

プレゼント情報

『#HOOKED』
消費者心理学者が解き明かす「つい、 買ってしまった。 」の裏にあるマーケティングの技術

本体価格:1,800円+税別

・著者:パトリック・ファーガン(消費者心理学者)
・訳者:上原裕美子
・解説:四元正弘(元電通総研・四元マーケティングデザイン研究室代表)
・出版社:TAC出版

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(CREATIVE VILLAGE編集部)