「大規模リニューアル」、最も大切なことは?

2016年12月19日(月)、「UX & Service Sketch」(リクルートホールディングス主催)が開催されました。 「大規模リニューアルプロジェクトの舞台裏」をテーマにしたイベントをお伝えします。

「UX & Service Sketch」とは?

サイトのリニューアルや新規構築をする場合、UX(ユーザーエクスペリエンス)はとても気になるところです。サイトを訪れた人がどんな反応をしたのか、不満を持ち二度と使わなくなっているのでは。UI(ユーザーインターフェース)はどうするのか、その導線や仕組み、ギミックをどうするか・・・・考え始めれば、きりがありません。

開発や新規事業にチャレンジした先人達はどんな手段を講じ、そして成功や失敗を経験したのか。今回の「UX & Service Sketch」は、誰もが知るサイトや管理ツールから、水族館のリニューアルを担当したクリエイティブな方々が登場。それぞれのスピーチからキーになった発言を登壇順にピックアップします。

4名の リアルな体験談は、どんなテキストにも勝る

「Radiko」のリニューアルを担当 SCHEMA,Inc. パフォーマー 橋本健太郎氏

1,300万人が利用しているラジオサービス「Radiko(ラジコ)」。2016年10月に新たに追加された新機能『タイムフリー』と『シェアラジオ』のサービス開始時と合わせてリニューアルを担当されました。

「リニューアル前からしっかりと設計されていたものに、大きな機能を追加することでUIとして成立するものにまとめるのは、かなり苦労しました。またリリースまで1年10ヵ月以上の長期プロジェクトでは、多くのステークホルダーが関わるため、コミュニケーション力が重要になります。

大規模プロジェクトのクリエイティブの現場にこそ、営業スキルが求められつつあると考えています。クリエイターの皆様も、制作の枠にとらわれず、常に視点を柔軟に切り替えて、クリエイティブ力と営業力を身に着けたハイブリッドクリエイターとしてプロジェクトに臨むことをおすすめします!」と、話されました。

「日経電子版」のリニューアルを担当 THE GUILD 代表 深津貴之氏

「確実に良くするUI/UX」というタイトルには、ゆるぎない深津氏の自信がみなぎっていました。

「リサーチ(分析)とプロトタイピング(試作モデル)にとにかく時間をかけます。いきなりつくりはじめるから失敗するのです」と、一刀両断。日経電子版のリニューアルでは、競合サービスのリサーチとプロトタイプの検証を4ヵ月間、徹底的に行って矛盾点を潰してから、数週間で一気にグラフィックを仕上げたそうです。

「思いつきの大規模リニューアルは博打でしかない。制作に取りかかる前に、出来る限りの調査を行う。そのリサーチとプロトタイピングにクライアントの理解を得て、予算と時間を取るのが一番大切」という貴重なアドバイスをされました。

「Backlog」のリニューアルを担当
ヌーラボ プロダクトマネージャ 縣俊貴氏、エンジニア 藤田正訓氏

オールインワンのプロジェクト管理ツールとして4800社以上で採用、月間約16万人が使用する「Backlog」。2ヵ月前に行なわれたリニューアルについて、ホットな話題です。

「リニューアルは、当初の見込みより人員や時間もかかり、1年以上のプロジェクトになりました。機能の削除はせずに画面をスッキリとさせ、更新性の高い画面構成にした上で、『Backlog』のコンセプト『仕事の中に楽しさを』を守ることに重点を置きました。

ツールに関して自分たちが一番理解していると思っていましたが、ユーザーテストを経て気づくことがたくさんありました。既存ユーザーが滞りなくリニューアル後のUIへ移行できるように、時間をかけて段階的に切り替えるなどの工夫をしました。リリース後もダッシュボード画面をユーザーの指摘から改良したり、常に改善を続けています。

コンセプトの設定は重要、ユーザーとのコミュニケーションが大切、リニューアルは最後まで粘り強くあきらめないで行う」、とまとめられました。

「サンシャイン水族館」のリニューアルを担当
サンシャインエンタプライズ カスタマーコミュニケ―ション部 次長 二見武史氏

「プロからの脱却」とうテーマで語り始めた二見氏。

「サンシャイン水族館のリニューアルで重要視されたのは、プロの視点ではなく、お客さん視点に落とし込むということでした。

水族館としての学術的指針である教育・研究・種の保存と、お客様の「楽しみたい!」という考えの間にあるギャップを埋めること。そして、どうやったら社内全体を巻き込めるかを考えました。リニューアルプロジェクトを成功させるには、社員のハートの改革をすることが重要」と、マネジメント視点も踏まえてお話をされました。

最後に

4名のスピーチが終わった後、ディスカッションや質問が行われ、その中で数多く出てきたのは、「第三者視点でのリニューアルの重要性」と、「現場の意思決定者と話が通じるコミュニケーション」という内容のコメントでした。

サイトもサービスも、使用するのは人。制作するのも人。
体験者だからこそ語れる、大規模リニューアルの究極の解答を得たイベントでした。

(2016年12月19日 CREATIVE VILLAGE編集部【取材:Progre_t】)