近年スマートフォンの高性能化や5Gのサービス開始、動画配信サイトや各種SNSの利用者増加などにより、インターネットのコンテンツにおいて動画が全盛の時代を迎えつつあります。それに伴い映像・動画クリエイターの需要は拡大していますが、年収1,000万円以上を稼ぐクリエイターと、あまり稼げないクリエイターに二極化しているのが現状です。なぜクリエイターによって「稼げる」「稼げない」の格差が顕著となっているのでしょうか

映像・動画クリエイターとしての実績を4~5年積み、さらなるステップアップを成し遂げたいと考える映像・動画クリエイターにとって、動画全盛時代にはどんなスキルが必要なのでしょうか。オファーが絶えない人気クリエイターとして、稼ぎ続けるための条件を紹介します。

「稼げる」「稼げない」の二極化が進む映像・動画クリエイター

映像クリエイターの稼ぎ方_動画撮影

映像・動画クリエイターが増加している背景には、動画制作の敷居が下がり参入のハードルが下がっている点が挙げられます。
以前までは高価な撮影・編集機材が必要でしたが、最近は一眼レフによる撮影も当たり前になっており、ある程度のスペックを搭載しているパソコンがあれば編集作業もスムーズに行えます。また、InstagramやTikTokなどのSNSで活躍する映像・動画クリエイターは、もはやスマートフォン1つで撮影も編集も行っているのが現状です。

そのため、テレビ番組などのような凝った映像制作を行う人から、自身のSNSアカウントを軸にフォロワーやファンを増やすことを目的の人まで、ありとあらゆる人が映像・動画クリエイターが自称する時代になりました。

映像・動画クリエイターが飽和状態に陥っている今、単価の高い仕事を大量に受注して年収額が1,000万円を超える「稼げるクリエイター」と、単価の高い仕事をあまり受注できない「稼げないクリエイター」との二極化がより顕著になってきています。

単に「撮影ができる」「編集ができる」クリエイターは淘汰されがち

「稼げる」「稼げない」の二極化が進む理由は単純で、より仕事ができるクリエイターに依頼が集中しているからです。単に「カメラで映像を撮影できる」「動画の編集が可能」というだけでは、すでに稼ぐことが困難な時代に突入しています。

そうした実作業だけを受託する簡単な依頼に関しては、より安い単価で引き受けてくれるクリエイターが選ばれる傾向にあります。このように映像・動画クリエイターとしてのスキルを磨かなければ、仕事がなくなるか、より低単価で仕事を受けざるを得ない状況に陥る恐れがあることに危機感を抱くべきでしょう。

一方で依頼者側のニーズを汲み取れるクリエイターは、選ばれやすくなります。たとえば撮影であれば、ただカメラを回せるだけでなくライティング音声収録の知識があると有利です。クリエイターがワンオペで回すような小規模の案件だと特にカメラマンにもそうしたスキルがあると、強みだと言えます。編集であれば、デザイン力の有無も重要になります。画面構成ができるアートディレクションのスキルも兼ね備えているクリエイターは今後も生き残っていくでしょう。

稼げる映像・動画クリエイターの条件は、「技術+ビジネス感覚」

映像クリエイターの稼ぎ方_ビジネス感覚のイメージ

稼げる映像・動画クリエイターになるためには、多角的なスキルが必要です。ただ、スキルとは前述したライティングや音声収録、アートディレクションなどの専門的な「技術面」だけではなく、「ビジネス感覚」を磨くことも含まれます。

たとえば、現場でクライアントやディレクターから言われるがまま動画を撮影・編集しているだけのクリエイターには、残念ながら需要はありません。ビジネスパートナーとして「何をすればクライアントやディレクターが仕事をしやすいと感じてもらえるか」という視点で、現場で喜んでもらえる対応を実践できるかがキーになります。クライアントから選ばれ、必要だと思われるクリエイターになるためには、「受け身で指示を待っている姿勢」から脱却する必要があるでしょう。

ディレクターやクライアントと対等な関係性で案件を進められるか

仮に幅広いジャンルの映像に対応できる撮影・編集スキルがあったとしても、ディレクターやクライアントの御用聞きになってはいけません。

仕事のできる映像・動画クリエイターほど、必要なタイミングで提案を行えるものです。つまり、「依頼者の課題を理解し、提案で解決に導く能力」が求められます。動画でどういったソリューションが最適なのかを常に提案でき、ディレクターやクライアントと対等に意見交換をしつつ案件を進められるクリエイターは、どこの現場でも「頼もしい」と重宝されるでしょう。

そうした信頼されるクリエイターは、より上流工程から多岐にわたりプロジェクトに関わることもできるはずです。「クライアントの課題を正確に把握したうえで、企画段階から参加してソリューションを提示する」「現場におけるオペレーションや、チーム全体のディレクションを遂行する」「ナレーション原稿の執筆など、クリエイティブな部分にも関与する」など、積極的に介入していきましょう。現場で常に「自分がいかに貢献できるか」を示せるクリエイターが市場で高く評価されるのです。

「依頼者のニーズ・意図」を体現できる映像・動画クリエイターが強い

映像クリエイターの稼ぎ方_絵コンテ

趣味で制作する動画であれば、「自分が楽しめる方法で好き勝手に撮影して、こだわりを詰め込もう」という姿勢でも問題はありません。しかし、仕事として(報酬を受け取って)制作する場合、依頼者のニーズを汲み取って動画の撮影・編集を行うことができなければ、プロとして失格です。依頼者の意図に沿わない内容の動画を納品し続けていると、やがて敬遠されるようになり、映像・動画クリエイターとして稼ぎ続けることが困難になるでしょう。

大切なのは、発注者が何を求めているのかを徹底的に考え抜くことです。たとえば、「商品を紹介する動画」では、通常、「SNS映え」や「シネマライクな映像」は求められません。「自分が得意な撮影方法」「やりたい撮影方法」を強引に選択するのではなく、「依頼者が求める映像」をきちんと汲み取ったうえで、的確な提案や最適な成果物に落とし込みましょう。

依頼者は「クリエイターを選べる立場」という認識を

映像・動画クリエイターは飽和状態にあり、クラウドで仕事を募集すると、1日で20人くらいのペースで応募が来ることも珍しくはありません。つまり、依頼者は「クリエイターを選べる状況」であることを常に認識することが重要です。依頼者の課題・ニーズを正確に把握し、意図を汲み取った対応ができるかどうかで、依頼者側の満足度も大きく変わってくるでしょう。

応募の段階から他のクリエイターよりもやる気を見せることも大切です。たとえば、「一般的なものよりワンランク上の機材をオペレーションできる」「動画内のライティングも対応できる」などの長所は、メールのやりとりや応募のコメントでも積極的に発信しましょう。依頼者はそうした姿勢には敏感です。企画・演出・撮影・編集など、さまざまな領域のスキルを身につけ、依頼者の意図を正しく実現できるクリエイターを目指しましょう。

ニーズを汲める映像・動画クリエイターは今後も稼げる

映像クリエイターの稼ぎ方_まとめ

【映像・動画クリエイター 稼ぐ のまとめ】

  • 映像・動画クリエイターは、「稼げる」「稼げない」の二極化が進んでいく
  • ビジネス感覚も身につけて、「パートナーとして組む価値」を提供すべき
  • 稼げる映像・動画クリエイターになるには、依頼者のニーズ・意図を正確に汲み取ること

動画制作の敷居が以前よりも下がっている昨今では、各種SNSや配信サイトでもさまざまな動画がありふれています。「キレイな映像を撮影できる」「動画の編集が可能」というのは、もはや当たり前のスキルであり、単に「動画の撮影や編集のスキルがある」というだけでは今後の案件受注は難しいでしょう。

だからこそ、「技術」に加えて「ビジネス感覚」も持つことが重要です。依頼者に認められる対応ができなければ、「パートナーとして組む価値がない」と判断されかねません。今後、プロの映像・動画クリエイターとして、たとえば、年収1,000万円以上を目指すのであれば、依頼者のニーズ・意図を正確に汲み取ることが先決です。「プランニング段階から関与する」「現場でディレクションを行う」といったプラスアルファの価値を常に提供し続けましょう。

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