今回は、2022年6月15日にオンライン開催した“SNSマーケティングとは~デジマ入門 vol.8~”のイベントレポートをお届けします!

この記事で得られる学び

  • 一般的なブログ運用とSNS運用の違い
  • ターゲットを見極めた効果的なSNS運用
  • 自社に合ったSNSの選び方用

1.SNSマーケティングとは ~デジマ入門 vol.8~

TwitterやInstagram、FacebookなどのSNSを用いたSNSマーケティング。最近ではSNSを個人で使用するだけでなく、多くの企業が「企業アカウント」を作り、自社商品の告知やブランディングを行っています。ここでは効果的なSNS運用を実現するため、SNSマーケティングのメリット・デメリット、各種SNSツールの違いや特徴から考える効果や戦略についてお伝えします。

2.登壇者紹介

大石 直美(おおいし なおみ)氏
webコンサルタント、webプロデューサーwebディレクター。EC、ポータルサイト、ニュースメディアやコーポレートサイトまで、幅広いジャンルのコンテンツ企画に制作から運用まで携わっている。

3.「SNSとは何か」について考えよう

皆さんがSNSマーケティングを行ううえでは、「フォロワーを増やしたい」「自社商品を買ってもらいたい」という狙いがあると思います。この機会にまずは「SNSとは何か」という原点について、考えてみましょう。

SNSとは、個人間のコミュニケーションを促進し、社会的なネットワーク構築を支援するサービスのこと。もっと簡単に言えば、交流をしたり、意思を伝えたりできる「対個人が色濃く出るツール」を指します。

デジマ入門Vol.8_SNSとは何か

たとえば「自社商品を買ってもらいたい」と発信したとしましょう。でも、よくよく考えれば「買ってもらいたい」という情報発信は「自分の気持ち」ですよね。SNSの特性上では、それよりも受け止める側のモチベーションを考え発信することが重要になるでしょう。

4.SNSの特徴について知ろう

SNSを運営する際に重要なことは、「SNSは単なる情報発信ツール」ではないと理解すること。そしてSNSの特徴をおさえた運営をすることが重要です。

では、SNSとブログの違いを見てみましょう。一般的に、ブログはユーザーが「能動的」で、SNSはユーザーが「受動的」であると言われています。というのも、ブログは基本的に情報を発信するツールであり、閲覧者を増やすために検索エンジンを使って流入を促すことも多くあります。そしてユーザーは「何か調べたい」という目的を持って、記事を閲覧します。

一方のSNSは、ユーザーは閲覧時にあまり目的を持っておらず、タイムラインに流れてきた記事を受動的に見ることがほとんど。そのため、発信力を付けるには「フォローやフレンド」を増やし、ユーザーが知りたい情報を流し、ユーザーの目にとまるよう意識する必要があるのです。

5.SNSマーケティングで目的を達成するには、「対個人」について考えよう

SNSは対個人のコミュニケーションツールであるため、情報がほしいというよりは「趣味が似ている」「好きなものが同じ」「同じ目標を持っている」など、その人のライフスタイルがフォローや閲覧の基準になります。ターゲット以外の人も閲覧する可能性が高いと考えられます。

たとえば、自分が運営している会社のアカウントで海外ドラマについてTwitterでつぶやいたとします。そうすると、それを見る人は「海外ドラマの情報がほしい人」「配信情報がほしい人」「キャスト情報がほしい人」など、趣味や興味が似ていても細かいターゲット以外の人、趣味が似ていても「目的」が違う人が閲覧する可能性もあるのです。なので、継続して閲覧してもらうためには、全体の細かいターゲットを意識することが重要となります。

また、これも意外と見落としがちなのですが、企業アカウントの運営側は「ユーザーは自社に興味がある」「発信した情報をすべて受け取ってくれる」と思いがち。しかし、一方的な情報は受け入れられません。そのため、最初は「自分達の組織を知ってもらう」「興味を持ってもらうこと」を重視し、閲覧を増やすための「興味・共感を持ってもらう発信」と「一方的な発信」のバランスを考えることが重要となります。

6.SNSマーケティングには“順序”が重要!

では、SNSを活用するには何から手を付ければ良いのでしょうか? ここでは、目的を達成するための順序について紹介します。

知名度が低い個人、企業の場合は「認知」「ブランディング」「企業利益を生む情報発信」を、段階を追って行うようにしましょう。いきなりアカウントを開設しても、よほどの知名度がない限り誰も見てくれないので、この順序は必ず守ってください。

デジマ入門Vol.8_SNSでできること

「認知」の段階では、潜在層、つまりまだ企業のことを知らない、将来の顧客になる人へのアプローチを行いましょう。まずは、ユーザーが知りたいと思われる情報発信をして好感度を上げること。どんどんエゴサして、自分達に関連すること、自分達ができることは何か調べて発信してみてください! 好感度を上げれば、情報発信した際にそれを受け取ってもらえるベースを作れるでしょう。

7.どのSNSを使うか、見極めよう

続いて、どのSNSが自分や自社のアカウントに最適か見極めていきましょう。各SNSの特徴について、下の図を見ながらご説明します。

デジマ入門Vol.8_どのSNSを使うか

縦軸が「ユーザーとの親しくなりやすさ」、横軸が「ユーザーとの親和度」を指します。この図を見ると、ユーザーとの繋がりやすさはTwitterが一番だとわかります。一方FacebookやLINEはユーザーと親しくなるのは難しいツールに位置付けられています。「そこからの情報がほしい」というユーザーとでないと需要と供給がマッチしづらいため、こうした位置付けになったと考えられるでしょう。

また、TikTokやYouTubeにも「面白い動画をずっと見る」「単純に動画を見ている」という側面があるため、ユーザーとは繋がりにくいツールに位置しています。

また、ユーザーとの“距離感”もSNSの特性を知るうえで見逃せないポイントです。たとえばTwitterの場合は、投稿へのリプライやDMでフォロワーと交流ができますが、Instagram、TikTok、YouTubeではユーザーがわいわい集まって返信する、という雰囲気はありません。

下図でも各SNSの特徴をより細かく紹介しているので、ユーザーとの付き合い方を知る参考にしてください。

デジマ入門Vol.8_各SNSの特徴

8.SNSマーケティングとしての広告運用

広告を出す際は、単純な「セグメント(ユーザーの細分化)」以外に、「何を目的にして広告を出すか」を考えましょう。商品・サービスを直接売りたいのか、フォロワーを増やしたいのか、目的によりアプローチが変わってきます。

たとえばTwitterのプロモツイートでは、ユーザーとの親和性を測ってツイートができるので、単純なセグメント以外にも細かい分析をしたうえで、ユーザーのことを考えたツイートができます。

デジマ入門Vol.8_SNSの広告運用

9.SNS運用の注意点

ここでは、実際にSNSを運用するうえでの注意点を見ていきます。まず、投稿する際は必ず下書きをし、第三者のチェックを入れるようにしましょう。

また、なかには認知度を上げるためわざと「炎上」を狙う投稿もありますが、これは要注意です。というのも、炎上はアカウントの好感度によって規模が変わるからです。なので、ユーザーと信頼が築けていない段階で炎上投稿をすると、瞬間的に話題になってあとは終わり、となってしまうでしょう。

何度も申し上げているように、SNSは対人ツールです。ユーザーに受け入れてもらうためには、好感度アップが欠かせません。人は接触時間より、「接触回数が多い相手に好感を持つ」という特徴があります。そのため、アカウントを開設して初期の段階では、なるべく接触回数を増やしましょう。エゴサしてユーザーにとって有益なアクションを取るのも一つの方法です。

また、SNSの場合「第三者の投稿」が本人の投稿よりバズることも少なくありません。Twitterで言えば、本人の投稿を誰かがリツイートしたものがバズるといった感じです。ほかにも、「共感」を呼ぶ投稿がバズることもあるので、広くアンテナを張って情報を拾い、投稿するようにしてみてください。

10.SNSでの宣伝は“控えめ”がベスト

では、自社商品やサービスを宣伝する際はどうしたら良いのでしょうか? 結論から言えば、広告を控えめにすることです。そして、「これくらいだったら何も感じない」というバランスを保つことを心がけましょう。というのも、SNSで受け入れられるのは「共感できる」情報や、ユーザーにとって「嫌がられない」情報だからです。

たとえばシャープでは、ユーザーに「こんな商品がありますよ」と他社製品をおすすめしたところ、広く拡散されたという事例があります。自社で扱っていない製品をユーザーに教えてあげることで、商用的でないと判断され「共感」を生んだ結果でした。

対人ツールであるSNSで、宣伝ばかりするとユーザーは引いてしまいます。そのため、投稿に宣伝を入れる場合は、投稿全体の1~2割程度にとどめておくのがベストでしょう。

11.まとめ

今や、専用のSNSアカウントで自社商品・サービスをPRする企業は少なくありません。しかし、SNSの特徴やユーザーが何を求めているかを理解しないで発信し続けると、空回りになってしまう危険もあります。SNSが対人ツールであること、共感を呼ぶ投稿をすること、宣伝色を強く出さないことなど、今回教わった内容を踏まえ、適切なSNSマーケティングの第一歩としましょう!