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『物語の生まれる場所 at 銀河劇場 vol.2』 大宮エリーさん

作家、映画監督、演出家、CMディレクターなど、様々なジャンルで活躍する大宮エリーさん。『思いを伝えるということ』展などの来場者が参加する体験型個展も数々発表し、2014年には朗読と音楽のセッションイベント『物語の生まれる場所 at 銀河劇場』を開催しました。
今回はその vol.2の開催を前に「お手紙みたいな温かいイベントにしたい」と準備をする日々のことや、エリーさんが通して行っている“伝える”ということについて、またクリエイティブについて思うことなど…お話を伺いました。

 

■ 言葉で誰かの人生が良い方向に動き出すこともある

kouho_2_IMG_1541小さい頃から、自分が人に何かを伝えようとする時には、口下手だったので手紙にした方が伝わるなぁという感覚はありました。好きだった先生が辞めてしまった時に「先生の授業はすごく良かったのに」と手紙で送ったら半年後に先生が戻ってきてくれたことがあって。
「自信がなくなっていたところで、あの手紙で人生が動かされた」とおっしゃって復職されたんです。小さい頃にいじめられていた時期もあって、言葉で傷つけられたこともあったけれど、言葉の力は良い方にも働くんだなぁと実感しました。言葉で誰かの人生が良い方向に動き出すこともあるんだなと思って、言葉って面白いなと思ったのが、言葉に興味を持ったきっかけですね。

ただ、それを仕事にできるとは思っていなかったので、東大の薬学部に在籍中の就職活動では自動車会社、交通機関からメーカー、商社まで幅広く33社くらいは受けましたね。その結果、受かったのが広告代理店で、そこでコピーライターとして、言葉を使った仕事に携わることになりました。

コピーライターから始まって脚本家、CMディレクター、エッセイストなどいろいろ取り組みつつも、基本、あまり自信がないので、この仕事、私がやる方が良いのかな?って考えてしまうタイプなんです。

でも、仕事は一期一会ですし、依頼をいただいた時にこういうこともできる可能性があるのかなって、見出してもらっているような感じですね。音楽番組のMC(TBS系列『アーティスト』<2013年〜2014年>)などは、まさにそうで、知識も司会業の経験もあるわけではないので自分がいることで、ミュージシャンの方がリラックスできるような場を作ることぐらいしか、できることがなかったので、それを徹底的にやりました。

 

■ 朗読と音楽のセッションイベント『物語の生まれる場所』のはじまり

前に朗読のイベントに呼ばれたことがあって、自分の書いた本を朗読するのは最初、恥ずかしくて嫌だなと思ったのですが(笑)やってみたら皆が集中して聞いてくれているのが分かって、泣いている人もいたんです。
音にのせて言葉を伝える、しかも自分の演出で淡々と、朴訥と読むことで、ちゃんと伝わったので「これ、すごく面白いな」と思って、それが朗読と音楽のセッションイベント『物語の生まれる場所』を始めたきっかけでした。

本を書いていると読んでいる人に向き合う機会はないので朗読で交流が生まれる…言葉を声に出して、音楽と一緒に混ざり合うことで、皆がそれぞれの頭の中に映像を浮かべることができるんじゃないかと思って、耳で聴く映画のようなことができたら良いなという想いがありました。

『物語の生まれる場所 at 銀河劇場 』の様子(2014年開催)

『物語の生まれる場所 at 銀河劇場 』の様子(2014年開催)

2014年に、小さいレストランでイベントを始めた時に、また何人か涙している人がいて、場が一つになる感じがしたんです。涙を見た時にその人の感情が伝わってくる気がして、どういうところで泣いているかも不思議と感じ取れて、これは何なんだろう、それが分かるまでやってみようと。
そして、ホテル・クラスカでやってみたり、フェスでやってみたりして、一回、区切りで劇場で開催することになりました。銀河劇場で作った700人のお客さんとの空間は、感無量でしたね。

今回のvol.2を共に作る原田郁子さんとは3年前から一緒に曲を作っていて、私が書いた言葉に原田郁子さんが歌をつけてくれました。原田郁子さんが曲作りのために滞在していた小淵沢に誘われて、お蕎麦を食べて、温泉に入って、夜通し飲んで(笑)でも、結局はそういう時間で曲作りができていたんです。
そこでバッと言葉が書けて、彼女がピアノを弾き始めて作ったのが『変わる』という曲でした。

 

■ 変わると決めた瞬間から変わり始めてる

kouho_4_IMG_1562原田郁子さんと作った『変わる』という曲には“変わると決めた瞬間から変わり始めてるんだ”という言葉があります。変わりたいけれど変われないジレンマに悩んでいたんですが、実は決めた瞬間から変わり始めているんだという…。
そう思うと安心する、変われていないんじゃなくて少しずつ変わっているんだという。そういうので私も救われた部分があって、そういう「本当のこと」を言葉と音楽で発信していくのが大事なんじゃないかと思いました。

そしてもう1曲作ろうかと話していたら、私の書いた『物語の生まれる場所』の本から「つぼみ」という文章が凄く良いと原田郁子さんが言ってくれて。つぼみがモチーフとなると「咲くよ」という応援ソングが多いのに“咲かないつぼみ”というところが新しくて良いと言ってくれたんです。そこで彼女が曲を作って私が朗読するイベントを博多でやったら「励まされた」とか「音楽を聞いて初めて泣いた」という声が寄せられました。「つぼみ」もそうですが、最初に作った「変わる」の音源化の要望はずっとこの3年間ありましたが郁子さん的にもう少し熟成させたかったみたいで、やっと時を経て、音源を作り始めました。今回その「変わる」だけ、そして今回の劇場公演限定として、take1の初々しい生々しいバージョンを500枚だけCDにしました。ジャケットも布で手作りです。お守りみたいな作品。ぜひ会場でゲットしてもらえたらうれしい‥。

話はずれましたが、その「つぼみ」ができてSoundCloudで公開したところ、メッセージ性が高くて、お手紙みたいな歌だといわれ、私たちもそう考えていたので、嬉しかった。
この「つぼみ」「変わる」を、お手紙みたいな温かいイベントで届けたいな、と考えました。

『物語の生まれる場所 at 銀河劇場 』の様子(2014年開催)

『物語の生まれる場所 at 銀河劇場 』の様子(2014年開催)

そこで今回の『物語の生まれる場所 at 銀河劇場 vol.2』では、チラシも自分たちで刷って、当日、料理人であり友人の青山有紀さんが会場でスペシャルフードを作ってくれるのですが、それもどういうのがいいか皆で考えていて…という具合で、時間のない中苦しいんですが(笑)文化祭みたいに、準備しています。
みんなにとって、特別なクリスマスになるように。なにか、みんなにとって、”変わる”きっかけになるような、時間、場にしたい、と思っています。心に火を灯すぞッ♡

12月24日はバンド形式でいろいろな音に触れられて、25日は郁子さんと2人なのでライブペインティングも入っていろいろな色に触れられる感じになるかと思います。
スペシャルゲストも決定しました!私たちの仲良しのミュージシャンがやってきてくれます!

ワンドリンク、スパークリングもプレゼント。ぜひ、クリスマス気分、おひとりでも家族ででもお子様連れでも、ぜひいらしてくださいね!

 

■ クリエイティブは思いやり

kouho_6_IMG_1604今回のイベントを共にする郁子さんに「大宮エリーはいろいろなことをやっているようでいて、一つのことしかやってないよね」と言ってもらって、私もそう思っていたので、とても嬉しかったんです。
よくマルチみたいに言われるんですが、MONOなんですね。なぜかと言うと、赤裸々に自分の生き様や素を見せることで、こういう奴もいるんだなぁと思ってもらえるような、そういう伝え方しかしていないからで。
それが絵だったり音楽だったり、テレビ番組に出てみたり、文章だったり映画だったりというチャンネルが違うだけで、やっていることは自分の素を見せる、気持ちを赤裸々に表現するということなんだと思います。
恥ずかしくもあり、勇気がいることですが、それをやることで何か伝わることがあるんじゃないかという、それだけなんですよね。

言葉で伝える、音楽で伝えるという以外にも、アクションで伝えることもあるし、皆と相互で会話することで伝わることもあるし、いろいろなベクトルを試してみたいという想いがあって、今回のイベントもその一つの形なのだと思います。

これから、伝えるということや言葉に携わる仕事をしたいという人にとっては、やっぱり「想像力」が大事だと思います。趣味ではなくて、プロとしてお金をいただくことを考えると、誰かに届く、刺さるとか、その人の気持ちがすっきりしたり明るくなるものを考えるべきで、例えるなら料理に近いんじゃないかな。

うどんが食べたいという人に、いくら自信があるからと言ってカレーを出しても不幸ですよね。相手がどういうものを望んでいるのか、寒かったり風邪気味なら汁物が良いかなとか生姜を入れると良いかなとか、でも、そこに加えて、自分がカレーを作りたいならデザートにカレー味のクッキーを添えてみるとか、そういうプラスαはあり得ると思うのですが、相手の立場に立つことが大事で、そういう意味では、“クリエイティブは思いやり”だと思っています。


■イベント情報

『物語の生まれる場所 at 銀河劇場 vol.2』
12/24(木) 開場18時 / 開演19時
言葉と音楽 そして、クリスマスソング

出演:大宮エリー(詩、朗読、バイオリンなど)、原田郁子(曲、歌、ピアノなど)、
芳垣安洋(ドラム、パーカッションなど)、高良久美子(ヴィブラフォン、マリンバなど)、鈴木正人(ベースなど)
& あの、スペシャルゲスト!(ギター&ボーカル)

12/25(金) 開場18時 / 開演19時
言葉と音楽 そして、ライブペインティング

出演:大宮エリー(詩、朗読、バイオリンなど)、原田郁子(曲、歌、ピアノなど)
ふたりきりで、どっぷり!!!

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☆☆☆☆以下のサイトで音源が聴けます!「つぼみ」☆☆☆☆

http://www.ellie-office.com/ginga/

■SOUND
『つぼみ』(radio live ver.) 大宮エリー(詞、朗読、バイオリン)/原田郁子(曲、歌、ピアノ)
<大宮エリーさんコメント>
この曲の中の“咲かないつぼみもあるんだよ”という言葉はクリエイター向けかも。
いつか咲きたいけれど、咲けば良いってものでもなくて。咲くと枯れていくし。
つぼみには未来や夢が詰まっている。だから、咲かない不安じゃなくて、咲かない未来や夢、を持ち続けようと。咲かない夢は、ずっと、続くんです。そして、ずっと、楽しい!!!!
そんな、メッセージを書いているので聞いてみて欲しいです。きっとそれで楽になる人も多いんじゃないかと。自分も、なかなか咲かないってずっと言われてて(笑)
でも、咲かなくてもいいやって、これでいいやって思って書きました。
今は、未来がどうなるか分からない楽しみがあるかなと、物語は続いていくという感じがして良いんじゃないかなと思っています。
ぜひ、クリスマス、いわば「大宮チャペル」でシスター郁子と、エリーがお待ちしております!

profile

大宮エリー(おおみや・えりー)

作家/脚本家/映画監督/演出家/CMディレクター/CMプランナー


1975年大阪生まれ。広告代理店勤務を経て、2006年に独立。映画「海でのはなし。」で映画監督デビュー。主な著書に、『生きるコント』『生きるコント2』(文春文庫)、『思いを伝えるということ展のすべて』(FOIL出版) 、『思いを伝えるということ』(文藝春秋)、 絵本『グミとさちこさん』(講談社)。2008年、舞台の作演出として「GOD DOCTOR」(新国立劇場)、2009年に「SINGER 5」(紀伊国屋ホール)を発表。また、2007年よりテレビドラマの脚本、演出も手がけている。「木下部長とボク」「ROOM OF KING」「the波乗りレストラン」「デカ黒川鈴木」(脚本のみ)「三毛猫ホームズの推理」(脚本のみ)「おじいさん先生」(演出のみ)「サラリーマンNEO」(脚本参加)。2012年より来場者が参加する体験型個展を数々発表。「思いを伝えるということ」展(渋谷PARCO MUSEUM、札幌PARCO、京都FOIL GALLERY、せんだいメディアテーク)、2013年より「A House of Love」(表参道EYE OF GYRE) 、「生きているということ」展(渋谷PARCO MUSEUM)、「大宮エリー展」(東京gggギャラリー、大阪dddギャラリー)、「愛の儀式」(中之島デザインミュージアム)、「星空からのメッセージ展」(コニカミノルタプラザ)。2013年秋、東京スカイツリー、池袋サンシャインシティーにてプラネタリウムの演出も行う。現在、週刊誌「サンデー毎日」、雑誌「DRESS」にて連載を担当。J-WAVEにてパーソナリティーとしても活躍中。

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