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ドラマ『新★乾杯戦士アフターV』 ストーリー構成・監督 細川徹さん

見た後に何も残さないバカにこだわったコントを続けてきた「男子はだまってなさいよ!」の主宰として、作・演出を手掛けるほか、10月から新作映画の撮影中、『となりの関くん』などテレビドラマの脚本・監督、アニメのシリーズ構成など幅広く活躍する細川徹さん。10月からは戦った後のヒーローの“打ち上げ”だけを描いた『乾杯戦士アフターV』の第2期シリーズがスタートします。“今までにないヒーロー”としてネットを中心に話題となった彼らの復活を前に、ご自身のことや「無駄にパワーアップした」という本作のことなど、お話を伺いました。

 

■ 「面白いことを考える仕事をしたい」という想い

ものづくりに携わりたいと思ったきっかけは、小学生の頃に体感した漫才ブームです。ビートたけしさんたちが出てきた時に「面白いことを考える仕事をしたい」と思ったのが最初ですね。周りに漫画を書いている友達もいて、その頃からものを描いたり考えたりするのが好きでした。大学に入ってからは映画研究部に所属して、作った短編などをプロの人や自分が好きな人に見せて、仕事を紹介してもらうようになって、今の仕事に繋がりました。

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大学の映画研究部は、ゴダール好きとか『ポンヌフの恋人』好きとかばっかりで、上映会もそういうテイストの作品が多くてつまらなかったんです。もっとエンターテイメントな作品というか、笑えるような面白いものを作ろうとしていたので、異色の存在でしたね(笑)その頃から作風が変わっていなくて、自分でもびっくりします(笑)

卒業後は、主にテレビの放送作家の仕事をしていました。放送作家の仕事はオファーが来たものは、ジャンルに関わらず引き受けていましたが、グルメ番組とか、自分の興味のないジャンルの仕事だと、どうしてもストレスが溜まるので(笑)同時に舞台など自分の好きなことをやるようになっていきました。
テレビのバラエティ番組で宮藤官九郎さんと一緒になり、シティボーイズのきたろうさんの2人芝居を一緒に書いたものが、大人計画の社長に気に入ってもらえて、いろいろ仕事を依頼されるようになり、そのうちに「いろいろ仕事をお願いしているから、いっそのこと入る?」と声をかけられて「じゃあ入ります」という感じで大人計画に所属することになりました。やはり舞台はずっと自分にとって大切な存在で、改めて思うのは、やりたいことをやれる場所が必要ということです。
自分のやりたいことを人に見せることで、やりたいことに近い仕事が来るようにもなると思います。

 

■ 一行で面白いものは面白い

様々なジャンルの仕事をする中で、企画については“一行で面白いものは面白い”と実感しています。一行くらいで簡潔に伝えてもらった企画にのれるか、のれないかで参加するかの判断をしています。

(C)「新★乾杯戦士アフターV」製作委員会

(C)「新★乾杯戦士アフターV」製作委員会

2014年に第1期として放送された『乾杯戦士アフターV』も「ヒーローが打ち上げをする話」と聞いた時に、それだけで面白そう!と思いました。ありそうでなかった設定で、ヒーローものなのに戦闘シーンはなく、本当に打ち上げしかしない…それだけで撮るという縛りがあるから面白いです。低予算を逆手にとると、いろいろなアイデアが逆に出たりします。
『アフターV』では、ヒーローという日常と離れた存在を、日常に近づけるのが“あるあるネタ”なんです。レッド(村井良大)、ブルー(加藤和樹)、ピンク(吉川 友)、イエロー(バッファロー吾郎A)、グリーン(飛永 翼<ラバーガール>)それぞれのキャラクターがはっきりしていて、居酒屋のお会計の時に必ず姿をくらますピンクとか、四十肩に悩むイエローとか…日常生活の感じが溢れています(笑)ヒーローものというよりは、会社の飲み会のリアリティですね。なので自分の周りから集めたエピソードも取り入れています。

 

■ 無駄にパワーアップした第2期

2015年10月からスタートする第2期『新★乾杯戦士アフターV』は、実はいろいろ試行錯誤しています。悪の総帥たちと5人のヒーローたちの関係は、近づき過ぎない、言うならばギリギリの馴れ合いが面白いところなので、そのさじ加減のコントロールが難しいんです。

(C)「新★乾杯戦士アフターV」製作委員会

(C)「新★乾杯戦士アフターV」製作委員会

第2期での一番大きな変化は、採石場に行ったところです。ヒーローものでよく爆発が起こる採石場に、オープニングを撮りに行きました。本編に戦闘シーンはありません(笑)そこは変わりませんが、2期は、最後の方、少し闘っている感じも出ていて、第1期の内容を受けつつ、さらにドラマが先に進んでいるので第1期を見てから見ると、無駄に(笑)パワーアップしているポイントも分かると思いますし、見る人にとっては楽しい無駄になっていると思います。あと、CGの分量が増えていますね。CGの量が増えながらも低予算は変わらずなので(笑)、舞台は福岡になっても基本的に東京・浜松町で撮影しました。博多には僕とカメラマンの方と助監督さんと製作の方、4人だけで行って外観などを撮ってきました…本当に必要最低限の人数です(笑)

 

■ 表現したいことは、どんなに変わっていても良い

長く仕事を続ける中で、オファーをいただくものと、自分からやりたいことを発信するもので、バランスを取っているところはあるかもしれません。例えば2015年8月まで上演していた舞台『男子!レッツラゴン』(原作:赤塚不二夫)は、もともとは、2010年に舞台化した「天才バカボン」の再演、という話だったんです。
2010年に「天才バカボン」を舞台化させてくださいとフジオプロさんに頼みに行き、実現したのですが、気に入っていただけて、ちょうど赤塚先生の生誕80周年の年なのでその再演をしませんか?という話を2年前にフジオプロからいただきまして。でも、赤塚先生のアニバーサリーですから、再演よりは、絶対、誰も舞台にしない「レッツラゴン」で舞台をやりたいのですが、どうですか?とこちらから提案しました。

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その一方で、サンリオピューロランドで行われている「レディジュエルペットの魔法のミュージカル『誕生!リトルレディジュエル』」の脚本・作詞・演出のように、絶対、普通、僕には来ない仕事もやってみると、新たな面白さを発見することもあります。

このショーは、お客さんにスマホを渡して、それと連動させるショーなので、そういう新しい試みも面白かったし。このショーに携わったことで、今度はアトラクションをやってみたくなってしまったほどです。ピューロランドの方には、今度アトラクションを変える時に僕にやらせて欲しいと言っています(笑)

これから、ものづくりに携わりたいという方に対しては、作ろうとしているものを好きになった方が良いと思います。僕自身『乾杯戦士アフターV』にしても、原作のある『となりの関くん』のドラマ化にしても、まず、好きになるところからです。基本的に、そこから作り方を考えています。表現したいこと自体は、どんなに特殊なことでも、それを人に伝える方法さえ考えれば良いのだと思います。内容を媚びて分かりやすくする必要はなくて、内容が分かり辛くても、作品の中でうまく「これは分かり辛いけれど、こうすると楽しめるよ」と提示できれば良いと思います。キャリアから来る開き直りも手伝っているかもしれませんが(笑)自分自身、その方法がわかってきたようにも思っています。


■作品情報

『新★乾杯戦士アフターV』
テレ玉ほか全国8局で2015年10月3日(土)~放送スタート

(C)「新★乾杯戦士アフターV」製作委員会

(C)「新★乾杯戦士アフターV」製作委員会

村井良大 加藤和樹 吉川 友 バッファロー吾郎A 飛永 翼(ラバーガール)
朝倉あき シソンヌじろう 原 金太郎 シソンヌ長谷川忍 美沙玲奈 中谷 竜 
JUN(BEE SHUFFLE) 小西成弥 大堀こういち 
斉木しげる

ナレーション:楠 大典
ストーリー構成・監督:細川 徹
脚本:宮本武史 細川 徹 音楽:上野圭市
主題歌:「新・アフターVのテーマ」流田Project (5pb.Records) 
エンディングテーマ:「正義の心~平和のために~」アイドルカレッジ (Stand-Up ! Records)

■オフィシャルサイト

http://afterv.tv/

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細川徹(ほそかわ・とおる)

19711015日生まれ。埼玉県出身。脚本家・演出家・映画監督。コントユニット「男子はだまってなさいよ!」として、話題となった舞台「天才バカボン」(出演 松尾スズキ・荒川良々・釈由美子)の作・演出を手がけるほか、シティボーイズライブや温水洋一と大堀こういちのユニット「O.N.アベックホームラン」などの作・演出を長年担当。脚本家として「おじいさん先生 熱闘篇」や人気アニメ「しろくまカフェ」(シリーズ構成も)、「バカ昔ばなし」などの脚本・監督を手がける。映画監督としては、「ぱいかじ南海作戦」(出演 阿部サダヲ・永山絢斗・佐々木希・貫地谷しほり)でスクリーンデビュー。今秋、次作の撮影が待機している。

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