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『ヒットするゲームを生み出すために必要なこと』 株式会社カプコン 執行役員 CS第三開発統括 兼 第三開発部長 辻本 良三さん

ゲームというエンターテインメントを通じて“遊文化”をクリエイトする株式会社カプコンは、ゲーム業界の先駆けとなるヒットタイトルを多数リリースし、『ストリートファイター』シリーズや『バイオハザード』シリーズなど、オリジナリティあふれる作品は、国内だけに留まらず海外でも高い評価を受けています。

なかでも、マルチアクションで楽しめるハンティングアクションの決定版となる『モンスターハンター』シリーズは、今年で10周年を迎え、累計販売本数2,800万本(2014年6月末時点)を誇る大ヒットとなっています。そして、待望の最新作『モンスターハンター4G』が2014年10月11日(土)にリリースされます。

そこで今回は、『モンスターハンター』シリーズの多くの作品を手掛けられたプロデューサーである辻本良三さんに、ヒットするゲームを生み出すためのヒントや、ゲームクリエイターに求められることなど、お話を伺いました。

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© CAPCOM CO., LTD. 2013, 2014 ALL RIGHTS RESERVED.

 

■ 人を喜ばせたり驚かせたりしたい

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ファミコン世代なので、家庭用ゲーム機はもちろんゲームセンターにも通って『ストリートファイター』など、いろんなタイトルのゲームをしていました。かたや小学校・中学校では野球をやっていたので、一時期は野球選手を目指していた頃もありましたね。

子どもの頃に好きだったゲームは、ゲームウォッチだと『オクトパス』とかよくやりましたね。ファミコンだと『ドラゴンクエスト』『チャレンジャー』『スーパーマリオブラザーズ』で、特に『MOTHER』では、ゲームの世界観に強く惹きこまれました。

「人を喜ばせたり驚かせたりしたい」という気持ちが強かったので、頭を使ってモノを作る仕事がしたいと思い、1996年にプランナーとしてカプコンに入社しました。

当時は対戦型格闘ゲームといったアーケードゲームが盛んな時期で、『マーブルVSカプコン』や『ウォーザード』を制作している部署に配属され、例えばボーナスステージの企画や、敵のキャラクターを考えたりと、一年ほど様々なタイトルのサポートをしていました。

『超鋼戦紀キカイオー』という対戦型格闘ゲームで、アーケード版からドリームキャスト版まで手掛けた後、『アウトモデリスタ』というレースゲームのメインプランナーや、『バイオハザード アウトブレイク』のネットワークゲーム運営とかに関わっていました。このころくらいからカプコンとして家庭用ゲーム機のネットワークに本腰をいれていった感じです。

 

■ モンスターハンターについて

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© CAPCOM CO., LTD. 2013, 2014 ALL RIGHTS RESERVED. ※モンスターハンター4Gの画面写真です。

そこで生まれたのが、カプコンが最も得意としているアクションゲームの『モンスターハンター』です。僕は初代モンスターハンターは、開発終盤に先ほどと同じくネットワーク運営で関わっていたのですが、モンスターハンターは、「誰でも参加できるマルチアクションゲーム」というのが大きなコンセプトでした。
何をしたら楽しいと思ってもらえるか、どうしたらできるだけギスギスしない協力プレイができるのかを考えて制作されてました。また登場するモンスターのモーションであったり、アニメーションだったり、ゲームの世界観にも拘っています。

このゲームは、ハンターランクがあがってもプレイヤーキャラ本体がレベルアップするわけではありません。だからプレイヤー自身の腕前をあげていくしかないんですね。そのためには、回避しながらも攻撃をしたりガードしたり、体力をこまめに回復したりという立ち回りを同時にうまく対応していかなければなりません。ですから、ひとつのクエストをクリアして乗り越えられた時の達成感を味わってもらいたいです。

通常のクエストが50分という制限時間にも訳があって、人間の集中力が持つ時間って限界があると思うんですよ。学校の授業も40分から50分なので、それ以上に長い時間だとプレイする時に躊躇するだろうし、短い時間で簡単に討伐できてもなかなか達成感には結びつき難い。そういったゲームのルールはこちらで設定できるので、プレイヤーがいかにそのルールにハマってくれるかということを毎回考慮しています。

プレイヤーの人物設定については、初期シリーズから幅を持たせています。というのも、オンラインでもプレイできるゲームなので、その中で目立ちたかったり、人と違うものにしたかったり、プレイヤーの様々な発想に対応する為にも、顔や髪型、装備の種類にはかなりのバリエーションを用意しています。

装備も、全てのものが格好いいわけではないんですね。「他のプレイヤーが着ているような装備は嫌だ」とか、「防御力は弱くても自分はこのデザインが気に入っている」といったように、オンライン上では顔や装備がコミュニケーションの役割を担うので、そういったところから会話へと繋がっていくと思うんですよ。

 

■ 新作ゲームを作る際に心がけていること

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『モンスターハンター4G』は、前作から遊んでくれている人がどれだけ満足してくれるかに拘って制作しました。モンスターハンターが持つストーリー性をさらに膨らませて、ゲームのボリューム感はもちろん、新しい機能も追加した結果、皆様に満足していただけるような作品に仕上がったと思っています。

今年で10年目となるシリーズということもあり、プレイヤーが飽きを感じてくるかもしれないし、提供する側の自分たちも手詰まり感がでてきてしまうかもしれない。この2つが本作の課題でもありました。
そこで前作から“高低差”というものを追加したり、最新作では仲間やアイルーを使ってジャンプができるようにしたりと、さらにゲームの幅を広げようと考えました。また新しいモンスターが登場することで、新たな立ち回りも求められてきます。

新しいゲームを立ち上げる時は、ディレクターやプランナーと一緒にご飯を食べに行って、「次はどんなゲームをつくろうか」という軽いディスカッションをすることが多いですね。「今度はここを変えてみよう」とか、「こういう要素は実験的に入れてみよう」とか、ざっくりとした話の流れから、真剣な会議でチームのみんなと共有しながら方向性を決めていきます

ユーザーがプレイしたいと思っていることを実現していくのが私たちの役割なので、例えば何か無意識にやりたくなってしまうようなことは本質的なことに繋がります。それをゲームの中で楽しみながらやってもらうための工夫を、意見を出し合いながらブラッシュアップを重ねます。

ただ重要なことは、いくら面白い要素であったとしても、モンスターハンターでなくなってしまったらダメなんですよね。モンスターハンターはアクションゲームなので、アクションの表現にとことん拘り、それが更に進化したと思われないといけません。ですから、それぞれのゲームが持つ“特性”を大事にしながら、独自の世界観を壊さないように心がけています。

 

■ 移りゆくゲームの環境について

2000年初期に、当時所属していた部署で家庭用ゲーム機でオンラインゲームを先駆けて作ろうという取り組みがありましたが、当時の通信環境というのはまだまだ整っていなくて、ナローバンドの環境でゲームができるようにするために、かなり試行錯誤しました。通信速度が遅いので、できる事も限られてくるし、それを考慮したゲームの展開を考えなくてはなりません。

また当時は、家庭用ゲーム機でオンラインゲームをプレイするとなると、まずはテレビとゲームを接続して、さらにゲーム機に別売りのネットワークアダプターを接続して、インターネットに繋げて設定をする。といったように、ゲームをする前の段階でプレイヤーがやらないといけないことがたくさんありすぎたんですよね。

その反面、携帯用ゲーム機だと、起動させてオンラインモードをオンにするだけで、すぐにオンラインゲームが楽しめる。家庭用ゲーム機から携帯用ゲーム機へ移行していくことにより、オンラインゲームへの敷居を劇的に下げ、マルチプレイの楽しみを体感してほしいという気持ちでした。

ゲームを作る際にはまず、プレイヤーの環境を十分に考慮しないといけません。だから、環境から考えたゲームづくりというのは大切になってきますよね。ネット環境が整っていない時代を体感していたことが、今となってはいい経験になっています。

 

■ ヒットするゲームを生み出すためには

ゲームというのは、絵画のように部屋に飾ってもらうためのものではなく、一人でも多くのユーザーにプレイしてもらうために制作するものです。
新作ゲームを期待して待ってくれている人に届けたい。じゃあその人達は、どんなものを求めているのか、思わずプレイしたくなるような、おもしろい内容に仕上がっているか。ゲームを作る側は、常にプレイヤー側の立場に立って意識し考えることが大切です。

流行りの手法を追いかけるのも、ひとつの手段としては有りかもしれませんが、そのゲームのどこの要素がおもしろいかを見極めることが、まず前提にあります。ゲームのジャンルというと、ある程度限りがあるので、それを見極めた上で、おもしろいと思う感覚をしっかり変化させて導入するなら構わないと思います。
そのためには、ひとつのゲームの中に何か光るものや、ユーザーがひっかかる要素がちゃんと織り込まれているかが重要になってきます。

ただ、ユーザー全員に受け入れられるゲームなんてものは100%存在しません。家庭用ゲームなら、数時間ぶっ続けでもガッツリ遊んでもらえる要素を散りばめたゲームを作るし、携帯用ゲームなら、長く遊んでもらえながらも短時間で気軽にも遊べる要素も入ったゲームを作る。環境によって求められてくる条件が異なってくるので、ユーザーがどんな環境でゲームをするのかを考えて制作することが必須です。

家庭用ゲームでも、スマートフォンのアプリゲームでも、「おもしろい」と判断し、最終的に選ぶのはプレイヤーなので、今後ハードの環境があがっていけばもっとシェイプされて実現できることも増え、ゲームの幅もどんどん広がっていくと思います。

 

■ 本質を見極められる人になってほしい

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自分がおもしろいと思えることに、どれだけ自信を持てるか。これは、とても大事なことです。ゲームに限らず、普段の生活をしていて、映画を観に行ったり本を読んだりした時に、どこがおもしろいのかを見つけ出せること。そして、それが何故おもしろいのか、おもしろくないのかを、自分の中でしっかり見極めて処理できるかどうかが重要です。

そして、おもしろいことを見つけたら、そこで終わるのではなく、次はそれを人に伝えるためにプレゼンテーションをしてみる。また、他人にもおもしろいと共感してもらえるには、どのように伝えたら良いかを考えて話を展開していく。
そのことを習慣づけることによって、おもしろいモノを創りだすための訓練にもなってくるし、ゆくゆくはターゲットに向けてモノをつくるということにも繋がっていきます 。

私はプロデューサーですが、制作だけでなく、宣伝といったプロモーション活動まで行います。せっかくチームのメンバー全員で時間と労力をかけて作りあげたものなので、完成して世に出したら終わりではなく、その作品が埋もれる事がないように、一人でも多くの人に伝えるところまで持って行くことが大切だと思っています。

また、例えばですがゲームの完成披露イベントを開催しようと思ったら、イベント自体はすぐにできるものなんですね。でも、そこで参加している人々に何を伝えたいのか。その本質を考えていないと、イベントとしては成り立たないんです。
ただ、「イベントをやりました。」という漠然としたもので終わってしまうので、何においても中身がしっかりしていないと、お客さんには伝わらないし、こちらの思いも相手には届かないんですよ。

だから、相手が思う「おもしろいこと」を先回りして考えてモノをつくり、それをプレゼンテーションするためには、「本質的におもしろいことってなんなんだろう」ということを常に考えて見極められることが大切です。そうすれば、何かをやりたいと思った時に、その発想が生きてきます。
だからこそ、本質を見極められる人になってほしいですね。


国民的ハンティングアクションの最新作 『モンスターハンター4G』いよいよ登場!

高低差のあるフィールドや未知のモンスターの登場により進化した『モンスターハンター4』の世界はそのままに、 新たな魅力を追加して“G”へと引き継がれるシリーズ最新作『モンスターハンター4G』。

新拠点となるドンドルマに降り立った我らの団が繰り広げる新たな冒険の物語が始まる。
また、過酷で雄大なフィールドに旧砂漠を追加。その環境下に棲息する人気モンスターの復活や、黄金に輝く鱗をまとう新モンスター『セルレギオス』が登場。

また、シリーズ最多となる全14種類の武器が集結し、新しいアクションも加わりました。さらには狩りをサポートするオトモアイルーがパワーアップ。“ジャンプ”や“ビースト”という新しい特性を持つオトモの登場により、これまで以上にハンターの強い味方になってサポートしてくれます。

マルチプレイを快適に楽しむ追加機能の導入、更なる高みを目指すG級クエストなど、圧倒的なボリューム感を遊びつくすことができます。MH4のセーブデータをほぼ引き継いで始めることも可能。
個性的なキャラクターとのストーリーが繰り広げられ、未だかつてない冒険が始まります。

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© CAPCOM CO., LTD. 2013, 2014 ALL RIGHTS RESERVED.

発売日:2014年10月11日(土)
希望小売価格:パッケージ版 5,800円+税
ダウンロード版 5,546円+税
対応ハード:ニンテンドー3DS(tm)
ジャンル:ハンティングアクション
CEROレーティング:C(15才以上対象)
公式ホームページ:http://www.capcom.co.jp/monsterhunter/4G/

(2014年10月3日更新)

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辻本 良三(つじもと・りょうぞう)

株式会社カプコン
執行役員
CS第三開発統括 兼 第三開発部長

プランナーとしてアーケードゲーム開発に携わり、その後数々の家庭用ゲームソフトのゲームプランナーを担当。 2007年発売の『モンスターハンターポータブル2nd』以降、一貫してシリーズのプロデューサーを務める。

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