和に関する様々な物事を取り上げ、日本の良さを伝える『和風総本家』。輪島塗に使う漆刷毛を作る職人など、かなりディープな世界にスポットを当てることも多い同番組のプロデューサーを務めるのは、テレビ大阪の庄田真人さん。

そのようなディープで、他の番組が扱わない世界に着目する理由を、番組作りにもなぞらえて「出演者がスポットライトを浴びてはいますが、その陰でADさんがリサーチをしたりしています。そういうところにも注目して欲しい」と明かします。さらに、同番組を支える存在として、多くのファンを持つ、マスコット犬の豆助についてもお伺いしました。選出のポイントや、現場でのエピソード、そして未だに破られない“7代目の壁”とは??

バラエティ花盛りの時代に抱いた、憧れの気持ち

10代の頃、『オレたちひょうきん族』『天才・たけしの元気が出るテレビ!!』『とんねるずのみなさんのおかげです』など、楽しいバラエティが花盛りの時代でした。
お笑いが大人気で、ダウンタウンが大阪から東京に進出する頃で、何かお笑いに携わる仕事がしたいと思っていました。でも、どんな仕事があるかも分からず、自分が芸人になるのは無理なので、芸人さんたちと一緒に仕事ができればという淡い憧れを抱いていましたね。

そんな中、大学で所属していたラグビー同好会の2つ上の先輩が、大阪で制作会社に就職したんです。今は東京でテレビ番組の演出をされているのですが、当時の先輩はADで、アルバイトとしてそのお手伝いをする機会がありました。荷物運びとかのお手伝いのために何度か現場に行ってADの仕事内容を見るうちに、大変さや楽しさが分かるようになりました。

そして就職活動を経て、縁あってテレビ大阪に入社し、1年目から制作に配属になりました。途中1年だけ報道に配属されてニュースに携わりましたが、それ以外は18年間制作現場です。2004年、フットボールアワーのお2人と1年間一緒に作った関西の深夜番組は大きな転機になりました。2003年の『M-1グランプリ』でフットボールアワーが優勝した後の初冠番組で、お2人と日々話し合いながら進めていきました。後藤輝基さんは僕と同い年、岩尾望さんは1つ下で当時29歳くらい。吉本のプロデューサーも同い年で、関西の局なので、関わる人がそこまで多いわけでもなく、若い自分たちで試行錯誤できるチャンスがありました。

それからフットボールアワーも売れていって、東京に進出していきます。その2005年頃のタイミングで僕もテレビ東京に出向になりました。そこで東京の番組作りに携わり、名だたるヒット番組を手掛けたプロデューサーやスタッフがいる環境で刺激を受けたこともあり、2004年~2005年の2年間は、変わり目として印象に残っています。

ディープな職人さんの世界を取り上げることに込めた想い

現在、プロデューサーとして参加している『和風総本家』は、和に関する様々な物事を取り上げ、日本の良さを伝える番組です。
『和風総本家』にはプロデューサーとして初回から関わっているのですが、前身の特番は初代のプロデューサーと今も携わっているチーフ作家と総合演出の3人で始めた企画だったようです。当時、『クイズ!ヘキサゴン』とか知識や雑学を扱うクイズブームの時期で、そこで日本人としての知識や教養を試すような感じの前身番組『和風検定』が誕生し、そこからレギュラーになったのが『和風総本家』です。原型がクイズにあって、「和の職人」が1つのコーナーとしてありました。そこで今にも繋がる「何を作っている職人さんでしょうか?」というクイズ部分に対する視聴者の方の反応が良くて、いつしかメインになっていきました。

最近では、輪島塗に使う漆刷毛を作る職人さんなど、かなりディープな世界を取り上げることも多いのですが、初期からスタッフがほとんど入れ替わっていないので、例えば輪島塗など、ものづくりにスポットを当てるところから始まって「あれは、もう取り上げたよね」というものが増えていきます。

そこで、もう少し掘り下げたら、さらにいろいろな職人さんがいるのではないかと考えました。輪島塗の作り手の方はスポットライトを浴びることも多いですが、調べていくと、さらにその方を支える道具や材料にもこだわりや技があることが分かります。それは他の番組が扱わないところなので、そこに注目するようになりました。番組作りも同じで、出演者がスポットライトを浴びてはいますが、その陰でADさんがリサーチをしたりしています。そういうところにスポットを当てたい、という想いですね。

クイズの問題としてはかなりの難問ですが(笑)もう1つのヒントを出すと分かってしまうと思うんです。そのヒントは提示せずに、出演者陣に「難しいよ!」などと突っ込まれながらも、謎めいた見せ方をした方が面白いと思って現状の形でやっています。

豆助の“その後”も撮影できる理由は…

番組のマスコット犬である豆助は、番組スタートの3ヶ月後くらいから登場しました。最初は割と大きい犬でした。『和風総本家』には硬いイメージがあったので、多くの人に親しんでもらえるよう、柴犬好きなチーフ作家の発案で、「柴犬がお使いで和菓子屋さんに行って、和菓子屋さんのおばあちゃんに和菓子を詰めた風呂敷を首に巻いてもらって帰ってくる」というような架空の設定を作りました。豆助という名前なので、もう少し小さい方が可愛いんじゃないかと、4代目くらいから子犬(0歳)にするようになりました。

今回の18代目で初めて黒柴を起用しました。柴犬は茶色のイメージですが、豆助候補を全国に探しに行くと、端っこに黒いのがいたりするんです(笑)いっぱい生まれるので、黒いのも白いのもたまにいます。豆助っぽい子がいれば黒でもありと考えて幅広く探しました。

豆助っぽさ…というのは、コロコロしていたり愛らしさというか、綺麗な茶色というのは毎回心に留めています。その上で、今回は耳がたれた子を重視しようとか、丸い感じの子を探そうとか、毎回の豆助っぽさがあります。先代との違いを見せようとして、毎回の基準を決めていく感じですね。18代目の黒の子は典型的な黒柴の子犬というか、それを豆助っぽさの基準にしました。黒柴の子犬はシベリアンハスキーの子犬に近くて…白と黒の2色だとハスキーに見えてしまうので、豆助っぽさには茶色を残したくて、一部に茶色が入っている子を18代目に選びました。スタッフは0歳を起用し始めた4代目からずっと半年に一度犬たちを見ているので、皆、顔を見たら何代目か分かります(笑)

豆助にはそれぞれの代ごとにファンがいて、twitterのアカウントも代ごとです。7代目がDVDも写真集も一番人気でいまだに壁が破られていません。当時は写真集やDVDを出すとも思わず豆助を選んでいたのに、遊び半分で出したら7代目で出したものが大ヒットしたんです。今ではすっかり成犬になって普通のご家庭でのんびり暮らしていますが、DVDには特典で、その後の豆助の様子が収録されています。

初期はオーディションで選んでいましたが、4代目くらいからは全国のブリーダーさんに「生まれた子いませんか?」とスタッフが問い合わせたりして探しています。そして0歳の時期を過ぎたら、番組関係者や社員など、最後まで可愛がってもらえる人にお譲りしています。なので、その後の様子も撮影することができるんです。現役の豆助としての撮影はすぐ済ませて、早くそれぞれの家庭で落ち着いた生活ができるようにしています。現役の豆助としては0歳の時の撮影なので、タレント犬っぽい動きも一切しません。お座りもできない時に、たまたま座ったのを撮って、寝ていたら寝ているのを撮って…という感じです。撮影する方は苦労していますが、そこが良いんでしょうね。

職人さんの世界と映像業界に通じるもの

この仕事をしていると、「番組見てるよ」とか「豆助かわいいね」と言われるのは嬉しいですし、豆助のイベント等では知らない人からも声をかけられたりします。自分たちの作ったものを、多くの方に見ていただくのは、なかなか刺激のある仕事だと改めて思いますね。

10年は修業というような職人さんの世界と、映像業界には通じるものがあって、苦しい職場の代表格のようにも言われますが、修業期間は長くてもその先に待っているスケールの大きなものを励みにがんばって欲しいです。日本はテレビやラジオの制作力が世界で一番だと思います。日本の職人さんのものづくりも世界で一番だと思うので、若い人に日本のマスコミ業界の世界一をキープして欲しいですね。

今、他にも魅力的な仕事が増えているというのもあるかと思いますが、若い子が少なくなってきているので、もう少し憧れて入ってもらえるような業界にしなければ、とも思っています。

番組情報

『和風総本家』
テレビ東京、テレビ大阪ほかにて
毎週木曜 よる9:00~
http://www.tv-osaka.co.jp/ip4/wafu/

プレゼント

(左)豆助っていいな。歴代ベスト【初代~十一代目】DVD(右)和風総本家十六代目と十五代目豆助 オフィシャルフォトブック
(左)豆助っていいな。歴代ベスト【初代~十一代目】DVD(右)和風総本家十六代目と十五代目豆助 オフィシャルフォトブック
  • 豆助っていいな。歴代ベスト【初代~十一代目】DVD
  • 和風総本家十六代目と十五代目豆助 オフィシャルフォトブック
  • 七代目豆助ポストカードセット(5枚組)&クリアファイル(1枚)セット
  • 十二代目豆助ポストカードセット(5枚組)&クリアファイル(1枚)セット
  • 十三代目豆助ポストカードセット(5枚組)&クリアファイル(1枚)セット

※応募フォームにて、ご希望のグッズの選択が可能です

応募締切

2017年4月9日(日)

応募は締め切りました。