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~飛躍するクリエイター~ 第31回 佐藤 裕記 3DCGデザイナー

ときおり、日々当たり前のように制作現場に立てていることに、無性に喜びを感じることがある。3DCGデザイナーの佐藤裕記もそのひとりである。
「いま試験的にチーフデザイナーに挑戦させてもらっています。プロジェクトをまとめていくのは大変ですが、どんなことも自分にはいい刺激になります」
佐藤とCGとの幸運な関係は、“好き”と“感動”の積み重ねによって築かれてきた。

 

■ 念願の現場につけた!

 現在、ダンデライオンアニメーションスタジオで、3DCGデザイナーとして、劇場アニメーションをはじめ映像作品を制作しています。それまでは約5年間、空間演出を手がけるコマデンで、嵐や浜崎あゆみさん、福山雅治さんらのコンサートや東京ガールズコレクションなどのイベントで流れる映像の3DCGを担当していました。大きな会場や、有名なアーティストの仕事を担当させてもらい、とても恵まれていたと思います。だけど、当然ですけど、お客さんが見ているのはアーティストで。自分の仕事をメインで見てもらいたい、3DCGデザイナーとしてもっと技術をもっと上げたいという思いで、転職を決意しました。
 2012年の1月から、ダンデライオンアニメーションスタジオに所属し、大詰めを迎えていた劇場アニメーション「BLOOD-C The Last Dark」(12)にも参加させてもらいました。「BLOOD-C The Last Dark」のスタッフロールに自分の名前を見つけたときは本当に感激しました。友だちにも自慢したり(笑)。「やっと希望する場所に立てた!」と思いました。

 

■ CGは本当に面白い!

 CGの道に進みたいと思ったのは高校生のときです。ずっと映画とゲームが好きだったんですが、ファイナルファンタジーシリーズやアニメ映画「トイ・ストーリー」(95)を見て、CGに興味を持つようになりました。その頃、テレビでも「ビーストウォーズ 超生命体トランスフォーマー」(97)といった3DCG作品が出はじめ、CGクリエイターという仕事があることも知りました。
 もともと大学進学は希望してなくて、高校卒業後は就職を考えていたんですが、だんだんCGの勉強をしたいという気持ちが大きくなってきて、偶然CMで見た日本工学院専門学校に興味を持ちました。体験入学にも参加し、あこがれのCGの世界に近づける気がして、思い切って進学を決めました。
 いまはCG制作ソフトMayaのプロですが、日本工学院に入って初めてコンピュータに触りましたし、それまでネットも使ったことがなかったんです。本当にゼロからの出発でした。だけどCGをやり始めたらすごく面白くて、どんどんのめり込んでいきました。
 CG制作には計算も必要ですし、何よりデッザン力が大事だと思います。実は僕は、子供の頃から数学と美術が得意で、特に絵を描くのは大好きでした。絵心のある人とない人では、モデリングのできが違ってくるんです。自分の得意なことを活かせる分野が、ずっと興味を持っていたCGだった。ラッキーでした。高校卒業時にあきらめず、CGの道を目指し日本工学院に進んで本当に良かったと思います。
 日本工学院での勉強は楽しくてしようがなかったです。僕はコンピューターグラフィックス科2年制(現・クリエイターズカレッジCG映像科)だったんですが、クラスの友だちとは好きなものが同じだから意気投合できたし、目指す世界が一緒だから、張り合う気持ちもあって、切磋琢磨しながら毎日CG制作に打ち込んでいました。
 当時から、フル3DCGアニメーションに一番興味がありました。転職したのと同じ理由で、実写やゲームの一部ではなく、そこでもCGは重要な役割を果たしているとは思うんですけど、3DCGがメインとなる作品に携わりたいと考えていました。

 

■ 何ものにも代えられない感動

 就職はゲーム会社を1社だけ受けました。その会社がイベントで使うフルCG映像作品の制作部門を目指していたんですけどうまくいかず、そのまま卒業。しばらく独学でCGのスキルを磨きながら、就職活動の一環でGAMEJOBというサイトに自分の作品を載せていたら、クリエイターエージェンシーのクリーク・アンド・リバー社から連絡あり、まず派遣社員としてコマデンで働き始めました。
 コマデンで3DCGを担当していたのは僕だけだったので、ダメ出しをされることもなく、自由にやらせてもらえたし、即戦力として活躍できたのでやりがいはありました。だけど、2、3年目から、このまま続けていても自分のスキルが上がらない、もっとレベルの高い3DCG制作者たちの中でやってみたいと思うようになりました。
 そんな中で巡り会ったのがダンデライオンアニメーションスタジオでした。HPにある、『自分の子供にも誇りを持って見せられるような作品を目指してます』という言葉に感銘を受けたし、自分もそういう作品に挑戦したいと思いました。
 実際にダンデライオンアニメーションスタジオにはすごい3DCGクリエイターがたくさんいました。入社して1年半で、ずいぶん自分のスキルも知識も上がったと思います。アフレコにも連れて行ってもらい、映画の試写会にも招かれたり、前職でもコンサートに招待してもらい手がけた映像が流れているのを見てそれなりに嬉しかったんですけど、もう比べ物にならない感動で。やりたいものがやれていると、こんなに感動するのかって(笑)。
 ここまで来るのに5年かかりましたけど、諦めようと思ったことは一度もありません。CGが本当に好きだから続けてこられた。諦めなかったというより、好きだから、これしかなかったんです。確かに、好きで初めても人間関係なんかでダメになる人もいます。でもまずは、自分の“好きだという気持ち”を信じて、やってみることです。好きなことがやれている感動に代えられるものなんてありません。しかも、やればやるほど好きになる。CGに出会えて、CGを仕事にできた自分は、本当に幸せ者だと思います。
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劇場版 BLOOD-C The Last Dark(12)
【完全生産限定版】【Blu-ray】
©2012 Production I.G, CLAMP/Project BLOOD-C Movie

 
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佐藤 裕記(さとう・ゆうき)

3DCGデザイナー
1986年東京生まれ、千葉県育ち。2008年 日本工学院専門学校コンピューターグラフィックス科2年制(現・クリエイターズカレッジCG映像科)卒業後、コマデンにてコンサートやイベント映像の3DCG制作に携わる。2012年1月より、ダンデライオンアニメーションスタジオに所属。主な作品に、映画「劇場版BLOOD-C The Last Dark」(12)ほか。

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