イベント会場写真
イベント会場写真

ロサンゼルスで世界最大級のゲーム見本市「E3」が開催され、VR(仮想現実)が話題となった6月15日、東京・恵比寿で世界最高水準の一体型VRデバイスが発表されました。

『IDEALENS K2』。
中国成都市に本拠を構えるアイデアレンズ社が、前機種『IDEALENS K1』に続いて今秋発売を予定しているヘッドマウントディスプレイ(HMD)の日本初披露となりました。

■ 軽量オールインワンHMDを開発できる技術力

日本では知名度はないものの、アイデアレンズ社は世界で初めて一体型、オールインワンのHMDを量産化した企業。元々グーグルの開発者であった宋海涛(ソン・ハイタオ)氏が立ち上げた企業は、高い技術力を武器にVRプロダクトの研究開発、VRコンテンツの配信サービスを手掛けています。

「日本初上陸の『IDEALENS K2』」
日本初上陸の『IDEALENS K2』

その新製品の発表会には、出版社やゲーム会社などのコンテンツ企業。そして日本と中国からのメディアもあわせて100名以上が招待されました。アイデアレンズ社の勢いそのままに、会場は360°スクリーンが取り囲み、最新のVRデバイスの登場を心待ちにしている人達の熱気があふれていました。

そんな中、いよいよアイデアレンズ CEO 宋海涛氏が登場。『IDEALENS K2』の295gという世界最高水準の軽さや、優しく包み込む装着感、最大120°の広視野2.5Kという高画質という特性が語られました。さらに7月に北京で行われる製品発表会では、視角180°の後継機種『IDEALENS K3』も紹介する予定と話はよどみなく進んでいきました。

■ 「Upper Mid Range」のVRデバイスを人々が求めていた

続いて登場したIDEALENS USのビジネス開発ディレクターBrent氏のプレゼンテーション。『IDEALENS K2』が注目されている理由の説明がありました。VRで先進的なアメリカではOculus Riftなどの上位のHigh End機種、スマートフォンに取り付けるだけのGEAR VRなどのLowEnd機種、そして中間的なMidRange機種が多数出ています。しかし、アイデアレンズ社がアメリカやカナダで数々の発表会を実施して分かったことは、人々が求めているのは、そのどこにも属さない「Upper Mid Range」デバイス。それがまさに『IDEALENS K2』ということでした。オールインワンで装着が楽でありながら、全てを体験できる高画質。「これを求めていた!」ビデオ紹介の中で体験者が語っていましたが、これは体験した多くの人が感じることのようです。

■ 日本のコンテンツを世界へ、VRは個人ユースへ

実機体験の様子 「装着感はソフト」
実機体験の様子 「装着感はソフト」

ステージ上での発表は続き、クリーク・アンド・リバー社(C&R社)社長・井川幸広が壇上に。5年ほど前からVRやAR(拡張現実)に関心を持ち、密かにデバイスやコンテンツを調査していた結果、たどり着いたのがアイデアレンズ。映画やテレビ、ゲーム制作などで実績を持つC&R社が、日本の優れたコンテンツを世界に広げていける製品と感じて、サポートすることになったいきさつが語られました。協力の仕方など詳細はこれから検討していくとのことですが、檀上で井川から紹介されたのがハウステンボスの澤田秀雄社長。澤田社長は、VR/ARは現在はBtoBの色合いが強いが、2~3年後には個人使用のツールになっていくと語っていました。

近いうちに、もっと進化したVRデバイスが登場して、ゲームだけでなく建築や医療などありとあらゆる分野で、日本のコンテンツや技術が世界に進出すると話していた通り、この2社はこれから大きなチャレンジをしていくことでしょう。

■ 『IDEALENS K2』の実力は本物だった

実機体験の様子 「体験した人は魅了される」
実機体験の様子 「体験した人は魅了される」

そして実機体験。宋氏が語っていた、独自のポジショントラッキングシステムなどによってタイムラグ17ms(ミリ秒)が実現されていて、違和感のないVR映像を体験できました。一体型なので通常感じる重量感やケーブルがつながっている煩わしさがありません。この着け心地は、他のHMDでは味わえない特殊なものです。映像によって浮遊や落下の感覚もリアルに感じられ、没入感はトップクラスと言えます。

既に様々なメディアで『IDEALENS K2』のスペックや特性は語られているので簡単に。価格は7月に北京で発表とされていますが、iphoneの上位機種位の金額との話もありました。重量は本体だけで295g、ケーブルが無い分本当に軽く感じられます。リフレッシュレートは90hz、OSはIDEAL OS(Android™based)、メモリーは32GB。9軸センサで、Wi-Fi、Bluetooth4.0を搭載。マイクロUSB、3.5mmオーディオ入力、microSDカードスロットも付いています。

■ 今日一番感じたこと

実機体験の様子 「思わず手が出てしまう」
実機体験の様子 「思わず手が出てしまう」

日本と中国のメディアから様々な質問が飛び交う中で、VRについて印象的な回答が壇上からありました。

「VRはゲームだけではない。ソーシャルプラットフォームになる」。
確かに、この日の発表会で登壇した各氏は、近い将来VRが社会で当たり前に存在するようになることを見据えて発言していました。当たり前のストーリーを語るように。

東京・恵比寿2016.06.05…。VR元年の到来を感じる1日となりました。

(2016年6月20日 Progre_t)