宮藤官九郎監督の【地獄】を舞台にした完全オリジナル作品『TOO YOUNG TO DIE!若くして死ぬ』。本作は、不慮の事故で17歳にして命を失った高校生・大助(神木隆之介)が、地獄専属ロックバンドを率いる赤鬼のキラーK(長瀬智也)と出会い、現世へのよみがえりを目指して奮闘するコメディ。

6月25日(土)からの公開を前に、宮藤官九郎監督、そして監督とともに唯一無二の世界観を作り出した、美術担当の桑島十和子さん、小泉博康さんが、トークイベント「Meet the Filmmaker」に登場!

宮藤官九郎監督
宮藤官九郎監督

「Meet the Filmmaker」は、第一線で活躍する映画作家の生の声が聞ける人気のイベント。これまで山田洋次監督や岩井俊二監督など名だたる名匠たちが参加し話題になる中、遂に、初参加となった宮藤官九郎監督らが登場すると、満席の会場からは盛大な拍手が。
本作では『地獄』と、『現世』の2つのパートで物語が進行し、2つの世界でそれぞれ別の美術担当を起用した点への注目も高い中、宮藤監督は「現世と地獄の統一感を出さないことで、あえて面白い交わりが生まれると思ったので、オファーをする時に、別々に分けたいとお伝えしていました。だって、現世の人は地獄のことを知らないじゃないですか(笑)」と美術の担当を地獄と現世で分けた理由を説明。さらに「演劇では、観客の想像力に頼る手法を撮るのですが、思い返せば映画でそれをやってこなかったなあと。木下惠介監督の映画『楢山節考』を見たとき、演劇の手法がすごく取り入れられていて、昔の映画でもこんなにすごいことやっているんだから、自分もやりたいなって思ったんです」と、本作への熱いこだわりを明かしました。

『地獄』の美術担当の桑島十和子さん
『地獄』の美術担当の桑島十和子さん

そんな宮藤監督のこだわり抜いたオファーに、『地獄』の美術を担当した桑島さんは「見た目でいえば、小泉さんの方が地獄担当っぽいと思ったのですが、私が地獄担当なんだ…って思いました(笑)」と率直な感想を告白しつつ、「スタジオには当然限界があるので、そこを逆手にとって、あえてセット感がバレても良い風に仕上げました。また地獄の風景を幕で描いたのは楽しかったし、初めての経験でした。」とコメント。
それに対して宮藤監督は「桑島さんは作りこむのが好きな人なんだなって、以前から感じていたので、あえて地獄担当としてお任せしました。閉塞感のある地獄をすごく良く表してもらいました」と称賛の言葉を送りました。

一方、「台本を読んだ当初は、地獄を踏まえて『現世』を考えるのかなと思っていましたが、監督と話して、地獄担当の桑島さんとはほとんど相談しないように、それぞれ別の世界観を作れるように心がけた」と、こだわりを明かした小泉さん。演出の一つとして、劇中に登場する焼肉屋に飾られた宮藤監督のサインをはじめとした著名人のサインは自身で書いたと言い、「宮藤さんのサインは完コピして、実は何人かにサインを勝手にしたんです。じぇじぇじぇと書いてあるのは偽物ですよ(笑)」と明かし、会場は笑いに包まれました。

『現世』の美術担当の小泉博康さん
『現世』の美術担当の小泉博康さん

また、宮藤監督のこだわりはキャストにも。今回主演を務めた長瀬智也、神木隆之介について、「長瀬君は顔芸がとても面白くて良かった。長瀬君とは仕事を一緒にしすぎて、カッコいいことを時々忘れてしまうんですが、ライブシーンを見た時に改めてやっぱりカッコいいなあって思いましたね。神木くんとは現世のシーンは色々とディスカッションを交わしましたが、地獄のシーンでは神木くんに好きにやってもらうよう伝えました。赤鬼(清野菜名)と緑鬼(桐谷健太)がそれに勝手に反応するからって。神木君はいつも元気でいてくれれば、それだけで良いというか(笑)」と振り返りました。

続く観客からのQ&Aコーナーでは、「ものづくりの上で一番楽しい瞬間は?」と聞かれた宮藤監督は「あらすじを説明したとき、最初は相手にポカンとされていても、時間をかけてイメージを共有していく過程が一番楽しい。暗闇から明るいところに行く感じがします」とキャスト・スタッフ皆で作品を作り上げていく魅力を熱弁。イベント終了時刻が迫ると、「もっと色々話したかったのに!」と残念がる表情を見せつつ、フォトセッションでは劇中にも登場するHELL(地獄)の頭文字「H」を表した<HELLポーズ>(メロイック・サイン)で締めくくり、大盛り上がりのままイベントは終了しました。

■『TOO YOUNG TO DIE!若くして死ぬ』
6月25日(土)全国ロードショー

監督・脚本:宮藤官九郎
出演:長瀬智也 神木隆之介 /尾野真千子 森川葵/桐谷健太 清野菜名 古舘寛治 皆川猿時 シシド・カフカ 清/古田新太/宮沢りえ
製作:アスミック・エース 東宝 ジェイ・ストーム パルコ アミューズ 大人計画 KDDI GYAO
制作プロダクション:アスミック・エース
配給:東宝=アスミック・エース

■公式サイト

(2016年5月31日 CREATIVE VILLAGE編集部)

あわせて読みたい